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ソニーα55【第4回】

〜自由度の高いスイングパノラマを試す

Reported by 伊達淳一


 “Spring has come!”って、前回のレポートから、なんと半年もの間が空いてしまってゴメンなさい。ようやく長き冬眠から冷めたので、さっそくレポート再開! 春眠しないよう頑張ります。

 さて、ボクがソニー「α55」を購入した最大の理由は「スイングパノラマ」だ。カメラをサッと一振りするだけでカメラ内でパノラマしてくれる機能で、レンズの歪みがもっとも少ない画面中央部分を短冊状に切り出し、高精度につなぎ合わせ合成しているので、手作業でパノラマ合成するよりもつなぎ目が目立ちにくいのが特徴だ。

 サイバーショットやNEXにもスイングパノラマは搭載されているが、α55のスイングパノラマは、サイバーショットよりも高画質。超広角レンズも使えるので、画角の広いパノラマ撮影にも対応できる。NEXもマウントアダプターを使えばα(A)マウント用の交換レンズを装着できるので、超広角のパノラマ撮影は可能だが、NEXに手ブレ補正を搭載していないレンズを装着すると、ブレを抑えるため、強制的に1/500秒の高速シャッターを切る仕様になっている。そのため、手ブレ補正搭載の、「E 18-55mm F3.5-5.6 OSS」や「E 18-200mm F3.5-6.3 OSS」以外は、室内や夕景などちょっと光量が足りなくなると、途端に露出不足になってしまうのだ。

 その点、ボディ内手ブレ補正採用のα55にはそのような制約はなく、NEXよりもスイングパノラマ撮影できるシーンは多い。実は「NEX-5」も買ったのだが、すっかり防湿庫でお留守番の日々が続いている(マウントアダプターで他社製レンズを装着して遊ぶのには最適なんだけどね)。

 さて、α55のスイングパノラマには[画像サイズ]と[撮影方向]の設定があり、カメラをどの方向に振るか、あらかじめ指定しておく必要がある。[画像サイズ]は[標準]と[ワイド]、[撮影方向]は[上]、[下]、[左]、[右]を選択でき、それぞれの組み合わせによって次のように記録画素数が異なっている。

撮影方向が[右]または[左] 標準:8,192×1,856ピクセル
ワイド:12,416×1,856ピクセル
撮影方向が[上]または[下] 標準:2,160×3,872ピクセル
ワイド:2,160×5,536ピクセル

 スイングパノラマではカメラを振る方向が表示されるので、その方向にカメラを振るだけでパノラマが撮影できる。撮影中には画面下に進捗ゲージが表示されるので、これを目安にカメラをスイングするスピードを調節しよう。α55は電子水準器が内蔵されているので、水準器を表示させてスイングパノラマを開始すると水平を保ちやすい。

【動画】スイングパノラマ撮影中のライブビュー

 

 また、3Dスイングパノラマに切り換えると、選択できる撮影方向は[右]または[左]だけとなり、画像サイズは[16:9]、[標準]、[ワイド]の3種類。フルハイビジョンテレビの解像度に合わせ、短辺のサイズが1,080ピクセルとなるので、記録画素数は通常のスイングパノラマよりも少なくなる。大きくプリントしたいときは、通常のスイングパノラマでも撮影しておくべきだろう。

16:9:1920×1080ピクセル
標準:4912×3872ピクセル
ワイド:7152×1080ピクセル

・作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、長辺800ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。

山梨県北杜市の明野のひまわりを3Dスイングパノラマで撮影(試作機)。3Dスイングパノラマ撮影では、通常のJPEGファイルとMPフォーマットのファイル(拡張子がMPOのファイル)の2つが同時記録される。ちなみに、ボクは3D対応のハイビジョンテレビやパソコンを持っていないので、この3Dスイングパノラマがどのように見えるかまだ知らなかったりする。うまく立体に見えればいいのだが……
α55 / DT 16-80mm F3.5-4.5 ZA / 4,912×1,080 / 1/250秒 / F11 / 0EV / ISO100 / スイングパノラマ / WB:太陽光 / 24mm
MPOファイルのダウンロード
2010年の横田基地日米友好祭(フレンドシップフェスティバル) にて。2機対に並んだラプター(F-22)を3Dスイングパノラマで撮影してみた(試作機)。通常のスイングパノラマに比べると画素数はちょっと少なめなので、3Dで記録する必要がなければ、通常のスイングパノラマの方が高解像度だ
α55 / DT 16-80mm F3.5-4.5 ZA / 4,912×1,080 / 1/160秒 / F9 / 0EV / ISO100 / スイングパノラマ / WB:オート / 26mm
MPOファイルのダウンロード

 このように、スイングパノラマはあらかじめ記録画素数が固定されているので、途中でカメラを振るのをやめたり、時間内にスイングし終わらないと、パノラマの端がグレーになってしまう。といって、あまり速くカメラをスイングすると、手ブレ補正が効く範囲を超えてしまい、ブレブレで不鮮明なパノラマになってしまう(液晶モニターの再生では気づきにくいので、ブレやピンボケになっていないか、撮影終了後に必ず拡大表示してチェックしよう)。

 レンズが広角になるほどスイングする角度は大きくなるが、スイング撮影が強制終了するまでの時間は変わらないので、できるだけゆっくり、なおかつ、制限時間内にカメラを振り終えられるスピードをしっかり身に付けることがポイントとなる。

失敗例1:スイングするスピードが速すぎてぶれてしまった
焦点距離50mm(75mm相当の中望遠の画角)でスイングパノラマしているので、広角レンズのようなスピードでカメラを振るとブレブレで不鮮明なパノラマになってしまう。広角レンズを使用している場合も、光量が少ないときにはブレたパノラマを量産しやすい。室内など低光量下でのスイングパノラマ撮影では、できるだけ明るいレンズを使い、画像サイズを[標準]にしてカメラを振る角度を抑え、ゆっくりとカメラを振るのがコツだ
α55 / DT 18-55mm F3.5-4.5 ZA / 5,536×2,160 / 1/200秒 / F9 / 0EV / ISO100 / スイングパノラマ / WB:オート / 50mm
失敗例2:時間内にスイングし終えず時間切れ
スイングパノラマはある一定時間が経過すると、強制的に撮影が終了してしまう。そのため、あまりゆっくりカメラを振ると時間切れで撮影が強制終了してしまい、撮影できなかった部分はグレーになってしまう。そのままでは見苦しいが、レタッチソフトなどでトリミングしてしまえばOKだ
α55 / DT 16-80mm F3.5-4.5 ZA / 8,192×1,856 / 1/250秒 / F11 / -0.3EV / ISO100 / スイングパノラマ / WB:オート / 16mm

スイングパノラマ撮影のコツ

 スイングパノラマに限った話ではないが、パノラマ撮影時には前後左右ともカメラを水平に保って回転させるのが基本だ。できれば、撮影者が回転の軸となるのではなく、レンズの中央あたり(ノーパララックスポイント)を軸に回転させると、近距離の被写体も段々にならずにきれいにつなげることができるが、手持ち撮影ではそこまでの精度を求めるのは酷というもの。せめて、できるだけカメラを撮影者の身体に引き寄せて、小さな円を描くように回転するのが、ズレの少ないパノラマ撮影のコツだ。

 ちなみに、スイングパノラマでついついやってしまうのが、カメラを仰角にしてスイング撮影してしまう失敗だ。カメラを水平に構えると、高い建物や樹木などの上部が切れてしまうため、つい少しカメラを仰角にしてスイングパノラマしてしまいやすいのだ。α55には、左右だけでなく前後方向の傾きも検出できる電子水準器が内蔵されているので、これを目安にカメラを構えれば、こうした失敗を防ぐことができる。

 カメラを水平に保ったまま、少しでも上下方向を広く撮影したいときは、もっと焦点距離の短いレンズ(超広角レンズ)を使うのが基本だが、カメラを縦に構えてスイングパノラマすれば(撮影方向は[上]または[下]を選択する)、同じ焦点距離のレンズでも上下方向をより広く写すことができる。横方向の長さは比率的に短くなるので、ワイド感はややモノ足りなくなるものの、短辺のサイズが1,856ピクセルから2,160ピクセルに増えるので、より解像感も高くなる。

カメラを横位置に構えてスイングパノラマ。画像サイズは[標準]だが、これでも結構な角度でカメラを振る必要がある。欲を言えば、青空をもっと入れたいところだ(β機で撮影)
α55 / DT 16-80mm F3.5-4.5 ZA / 8,192×1,856 / 1/200秒 / F3.5 / 0EV / ISO100 / スイングパノラマ / WB:太陽光 / 16mm
撮影方向を[上]または[下]に変更し、カメラを縦に構えてスイングパノラマしてみた。画像サイズは[ワイド]だ。縦横比がおとなしくなったので左右のワイド感は少なくなったものの、上下方向の広がり感が大幅に増している(β機で撮影)
α55 / DT 16-80mm F3.5-4.5 ZA / 5,536×2,160 / 1/200秒 / F10 / 0EV / ISO100 / スイングパノラマ / WB:太陽光 / 16mm

 とはいえ、被写体によっては、わずかに仰角や俯瞰気味でスイング撮影しても、ひずみがそれほど目立たないケースもあるので、あまり細かいことを気にせず、大胆にスイング撮影してみると、ダメ元で思わぬ効果が得られることもある。また、高層ビルなど仰角で撮影しなければ間延びしてしまう被写体の場合は、思い切って回転軸そのものを傾け、斜め方向にスイングパノラマしてみるのもおもしろいと思う。

失敗例3:カメラを仰角にしたままスイングパノラマ
縮小画像だと一見うまくパノラマ合成されたかのように見えるが、拡大表示して見ると、ビルの上部が段々になっている。パノラマ合成技術と処理スピードが向上すれば、仰角で撮影した写真もパースペクティブを自動補正してうまくつながる時代が訪れるかもしれないが、現状のスイングパノラマではカメラを水平にしてスイング撮影する必要がある
α55 / DT 16-80mm F3.5-4.5 ZA / 3,872×2,160 / 1/200秒 / F10 / 0EV / ISO100 / スイングパノラマ / WB:オート / 16mm
思い切って斜めスイングパノラマというのもおもしろい。といって、高層ビル群をカメラを水平に保って撮影しても、地面が多く撮影されてしまい、肝心のビルの上部が切れてしまい、なんのためにパノラマ撮影したのかわからなくなる
α55 / DT 16-80mm F3.5-4.5 ZA / 3,872×2,160 / 1/200秒 / F10 / 0EV / ISO100 / スイングパノラマ / WB:オート / 16mm
そこで、カメラを斜めに構え、斜め上方向にスイングパノラマしてみたのがコレ。斜めの軸を保ったまま、スイング撮影するのは意外とむずかしかったが、うまく決まればこのようにダイナミックなパノラマ撮影が楽しめる
α55 / DT 16-80mm F3.5-4.5 ZA / 3,872×2,160 / 1/200秒 / F10 / 0EV / ISO100 / スイングパノラマ / WB:オート / 16mm
失敗例4:画面中央にゴミが付着したままスイングパノラマ
長野県佐久市の「関所破りの桜」。1枚写真だと柵など余計なものをできるだけ写し込まないようにするのだが、桜のある周囲の状況がわかるようにとスイングパノラマで撮影してみたが、家に帰って愕然。画面中央にゴミが付着していたので、スイングパノラマ撮影ではそれが繰り返し記録されていたのだ。通常撮影に比べ、ゴミの付着のダメージは遙かに大きい
α55 / DT 16-80mm F3.5-4.5 ZA / 3,872×2,160 / 1/200秒 / F10 / 0EV / ISO100 / スイングパノラマ / WB:オート / 18mm
せっかくの桜がこのままでは台無しなので、Photoshopのコピースタンプツールでゴミの影をひとつひとつ修正。とりあえず、パッと見には無問題になったものの、絵柄によってはかなり補正に苦労するかも。スイングパノラマ撮影前には、ゴミが付着していないか、しっかりチェックしておくのが無難だ

いくつかの注文もあるが満足度は高い

 α55のスイングパノラマ機能は非常に気に入っているのだが、少々不満なのは、スイングパノラマ撮影時には、ISO感度を手動で設定できない点だ。せっかくα55は高感度でもノイズが目立ちにくいのだから、室内など光量の少ないシーンではもっと感度を上げて、少しでも速いシャッタースピードで撮影したいもの。

 また、個人的には標準から中望遠でパノラマ撮影することもあるのだが、カメラの制御が広角を想定しているのか、少しシャッタースピードが中望遠に対しては遅すぎ、よほどの晴天でもない限り、ブレブレのスイングパノラマになりやすい。エントリーモデルとはいえ、このあたりはもっと撮影者に選択肢を与えてほしいと思う。それと、ブレないようゆっくりカメラをスイングすると時間切れになってしまうので、もう少し、時間的に余裕を持たせて欲しいが、これ以外は、実に満足している。

スイングパノラマ作例

α55 / DT 16-80mm F3.5-4.5 ZA / 12,416×1,856 / 1/250秒 / F11 / -0.7EV / ISO100 / スイングパノラマ / WB:オート / 35mm
α55 / DT 30mm F2.8 Macro SAM / 12,416×1,856 / 1/160秒 / F5 / -0.3EV / ISO100 / スイングパノラマ / WB:オート / 30mm
α55 / DT 16-80mm F3.5-4.5 ZA / 4,912×1,080 / 1/250秒 / F11 / 0EV / ISO100 / スイングパノラマ / WB:太陽光 / 35mm
α55 / DT 16-80mm F3.5-4.5 ZA / 8,192×1,856 / 1/200秒 / F10 / 0EV / ISO100 / スイングパノラマ / WB:オート / 45mm
α55 / DT 16-80mm F3.5-4.5 ZA / 5,536×2,160 / 1/320秒 / F13 / -0.7EV / ISO100 / スイングパノラマ / WB:オート / 16mm
α55 / DT 16-80mm F3.5-4.5 ZA / 5,536×2,160 / 1/160秒 / F9 / -0.3EV / ISO100 / スイングパノラマ / WB:太陽光 / 16mm
α55 / DT 16-80mm F3.5-4.5 ZA / 5,536×2,160 / 1/200秒 / F10 / -0.3EV / ISO100 / スイングパノラマ / WB:オート / 16mm
α55 / DT 16-80mm F3.5-4.5 ZA / 5,536×2,160 / 1/200秒 / F10 / 0EV / ISO100 / スイングパノラマ / WB:オート / 30mm
α55 / DT 11-18mm F4.5-5.6 / 5,536×2,160 / 1/160秒 / F9 / +0.3EV / ISO100 / スイングパノラマ / WB:オート / 15mm
α55 / DT 16-80mm F3.5-4.5 ZA / 3,872×2,160 / 1/200秒 / F10 / -1EV / ISO100 / スイングパノラマ / WB:オート / 16mm
α55 / DT 11-18mm F4.5-5.6 / 2,160×5,536 / 1/160秒 / F9 / +0.3EV / ISO100 / スイングパノラマ / WB:オート / 12mm α55 / DT 16-80mm F3.5-4.5 ZA / 2,160×3,872 / 1/160秒 / F9 / 0EV / ISO100 / スイングパノラマ / WB:オート / 20mm
α55 / DT 16-80mm F3.5-4.5 ZA / 2,160×5,536 / 1/250秒 / F11 / 0EV / ISO100 / スイングパノラマ / WB:太陽光 / 24mm α55 / DT 16-80mm F3.5-4.5 ZA / 2,160×5,536 / 1/200秒 / F10 / 0EV / ISO100 / スイングパノラマ / WB:太陽光 / 26mm
α55 / DT 16-80mm F3.5-4.5 ZA / 2,160×5,536 / 1/160秒 / F8 / 0EV / ISO100 / スイングパノラマ / WB:オート / 16mm



伊達淳一
1962年生まれ。千葉大学工学部画像工学科卒業。写真、ビデオカメラ、パソコン誌でカメラマンとして活動する一方、その専門知識を活かし、ライターとしても活躍。黎明期からデジタルカメラを専門にし、カメラマンよりもライター業が多くなる。自らも身銭を切ってデジカメを数多く購入しているヒトバシラーだ。ただし、鳥撮りに関してはまだ半年。飛びモノが撮れるように日々精進中なり。

2011/5/13 13:54