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ライカM9【第2回】

〜AWBの精度と高感度ノイズをチェック

Reported by 藤井智弘


M9に装着した「ズミクロン50mmF2」。右のレンズは「ズミクロン35mmF2」(前)、「ズミクロン90mmF2」(後)

 ライカ「M9」で、オートホワイトバランス(AWB)の精度や、高感度ノイズが気になる人は多いだろう。ユーザーである筆者自身は、M9はモノクロ作品をメインにしているため、ホワイトバランスの精度は特に気にしていない。また高感度ノイズについても、神経質にはなっていない。とはいえAWBの精度が高いにこしたことはないし、高感度ノイズも少ないにこしたことはない。そこで今回は夜の街をスナップし、人工光での仕上がりや、高感度に設定した際のノイズの状態を見てみた。

 前回、日中の屋外で撮影した際には、なかなかの好結果だったM9。実はライカ「M8」が登場した時、β機を使わせてもらったことがあるのだが、正直なところAWB精度の低さに驚いた記憶がある。もちろんβ機なので仕方がないのだが、それにしても“もうちょっと……”と思ったものだ。しかしM9は、太陽光ではおおむね良好。M8からの進化を感じた。

 それでは人工光ではどうなるのか。厳密にテストするなら、蛍光灯や電球の条件を作って試すのだろうが、M9はカメラの性格上“作品を撮る上で”とした方が実践的だろうと考え、あえて夜の街のスナップにした。

 結果は作例をご覧いただこう。ホワイトバランスはすべてオート。JPEGで無加工の画像だ。筆者の印象は「かなり健闘している」だった。とはいえ大きく外れることもあり、同じ被写体でもちょっとしたフレーミングの違いで色がバラつくこともあった。おそらく日本メーカーのデジタルカメラと比べると、決してAWBの精度が高いとはいえない。だが「ダメだ」とガッカリするほどひどくもない。少々乱暴な言い方だが「これだけ写れば上々」という感想だった。

 もし気に入らないならRAW、あるいはRAW+JPEGで撮影し、不満なカットはRAWから調整すればいい。そもそもM9は、日本メーカーのデジタルカメラと同じ土俵で検証するカメラではない。これもM9を使いこなす楽しさと考えるのが、M9と上手に付き合うコツだと思う。

 では、高感度ノイズはどうだろうか。35mmフルサイズ機なので、低ノイズは期待したいところだ。日本メーカーのデジタル一眼レフカメラには、ISO3200でも常用域といえるほど高感度に強い機種もある。ここでは同じ被写体で最低感度のISO80から最高感度のISO2500まで撮影したテストも行なった。


M9はベース感度がISO160。最高ISO2500まで1/3段ずつ設定できる。また拡張でISO80が設定可能。さらにISO感度オートが設定できる

 M9のベース感度はISO160。ISO80はソフト上で感度を落としている。そのせいか、露出がややオーバー気味。ダイナミックレンジも狭く感じる。ISO160の上は、ISO400、ISO800、ISO1600、ISO2500で撮影してみた。ISO400でもピクセル等倍で見ればISO160との差はある。それでも個人的には気になるレベルではない。ISO800までは実用の範囲だと感じた。ISO1600はかなりノイジー。ISO2500は緊急用だろう。35mmフルサイズとしては物足りなく感じるかもしれない。

 しかし筆者は、これまでM型ライカはISO400のモノクロフィルムを常用してきた。そのせいか、ISO800まで実用なら問題ないと考えている。ちなみにISO1600は、試しに彩度を「白黒」にしてみたら、なかなか興味深い結果だった。ノイズがフィルムの粒子のようで、モノクロフィルムで撮ったような仕上がりなのだ。“デジタルっぽさ”が少ないため、長年モノクロフィルムを愛用してきた人にも馴染みやすいかもしれない。

 ノイズにしても、やはり日本メーカーのデジタル一眼レフカメラと比べるものではない。多機能で高速連写ができて、ライブビューや動画も可能。さらに高感度に強くAWBの精度も高い。そんなカメラを求めるなら、はじめからM9は問題外だ。M9にはM9の楽しさがある。それが理解できる人には、M9は良き相棒になってくれるだろう。言葉で説明するのは難しいのだが、人間と機械の密接なコンビネーションで作品を撮る。しかもデジタルで。その感覚がライカM9の楽しさではないか、と感じる。


実写サンプル

※作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像(JPEG)を別ウィンドウで表示します。

AWB

M9 / ズミクロン50mm F2 / 5,261×3,472 / 1/350秒 / F2 / +0.7EV / ISO400 / WB:オート M9 / ズミクロン50mm F2 / 5,261×3,472 / 1/30秒 / F2 / +0.3EV / ISO400 / WB:オート
M9 / ズミクロン35mm F2 / 5,261×3,472 / 1/30秒 / F2 / −0.7EV / ISO1600 / WB:オート M9 / ズミクロン50mm F2 / 5,261×3,472 / 1/30秒 / F2.8 / 0EV / ISO400 / WB:オート
M9 / ズミクロン50mm F2 / 5,261×3,472 / 1/90秒 / F2 / 0EV / ISO800 / WB:オート M9 / ズミクロン50mm F2 / 5,261×3,472 / 1/40秒 / F2 / 0EV / ISO800 / WB:オート
M9 / ズミクロン50mm F2 / 5,261×3,472 / 1/60秒 / F2 / 0EV / ISO400 / WB:オート M9 / ズミクロン50mm F2 / 5,261×3,472 / 1/125秒 / F2 .8/ 0EV / ISO400 / WB:オート
M9 / ズミクロン50mm F2 / 5,261×3,472 / 1/30秒 / F2 .8/ −0.7EV / ISO800 / WB:オート M9 / ズミクロン90mm F2 / 5,261×3,472 / 1/90秒 / F2 / −0.7EV / ISO400 / WB:オート
M9 / ズミクロン50mm F2 / 5,261×3,472 / 1/500秒 / F2 / 0EV / ISO160 / WB:オート M9 / ズミクロン35mm F2 / 5,261×3,472 / 1/350秒 / F2 / 0EV / ISO160 / WB:オート
M9 / ズミクロン90mm F2 / 5,261×3,472 / 1/90秒 / F4 / 0EV / ISO160 / WB:オート M9 / ズミクロン90mm F2 / 5,261×3,472 / 1/90秒 / F2 / −1EV / ISO800 / WB:オート
M9 / ズミクロン50mm F2 / 5,261×3,472 / 1/90秒 / F2 / 0EV / ISO1600 / WB:オート M9 / ズミクロン50mm F2 / 5,261×3,472 / 1/60秒 / F2.8 / −1EV / ISO800 / WB:オート
M9 / ズミクロン50mm F2 / 5,261×3,472 / 1/30秒 / F4 / −1.3EV / ISO1600 / WB:オート / 彩度:白黒

ISO感度

共通設定:M9 / ズミクロン35mm F2 / 5,261×3,472 / WB:オート

ISO80 ISO160 ISO400
ISO800 ISO1600 ISO2500





(ふじいともひろ)1968年、東京生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1996年、コニカプラザで写真展「PEOPLE」を開催後フリー写真家になる。現在はカメラ雑誌での撮影、執筆を中心に、国内や海外の街のスナップを撮影。社団法人日本写真家協会会員。

2010/3/4 00:00