ペンタックスK-7【第2回】

新機能「ファインシャープネス2」を試す

Reported by 中村文夫


 10月22日、K-7ファームウェアのバージョンアップ第2弾が発表された。内容はファインシャープネス機能の充実。従来は、あり/なしの選択しかできなかったが、今回の改良で、強弱が選べるようになった。このほか、デジタルフィルターの「水彩画&パステル」のプレビュー画面品質と画像処理性能が向上。バッテリーグリップ装着時のエラーが改善された。

 新ファームウェアのバージョン番号は1.02。バージョンアップを行なうと、シャープネスメニューで「ファインシャープネス2」が新たに選べるようになる。数字の付かない「ファインシャープネス」は従来と同じで、FS2は効果をさらに高めたものだという。

 なお11月20日に公開になったペンタックスデジタルカメラユーティリティ4.11(Mac用)のブラウザー機能で撮影情報を表示させたところ、ファインシャープネスの欄はON/OFF表示しか出なかった。つまりファインシャープネスとファインシャープネス2の違いを確認するには、カメラ側で画像を再生し撮影情報を表示させるしかない。カメラ本体のファームウェアとユーティリティソフトのバージョンアップは、同時に行なうのが普通だと思うのだが……


ファインシャープネスの設定画面。左から、ファインシャープネス2、ファインシャープネス、ファインシャープネスなし。後ダイヤルを操作すると、シャープネス(S)の表示が切り替わる

 実際に撮り比べてみたのが、以下の画像だ。そもそもファインシャープネス自体が微妙な設定なので、カメラの液晶モニターで見ても差はほとんど分からない。またパソコンのディスプレイで見ても、等倍表示でやっと違いが分かる程度。使用ディスプレイによっても、差が出るので、その点に留意して欲しい。

※共通設定:K-7 / DA 16-45mm F4 ED AL / 約9.7MB / 4,672×3,104 / 1/400秒 / F8 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 16mm / カスタムイメージ:ナチュラル

ファインシャープネス2(左写真の一部を等倍に拡大)
ファインシャープネス(左写真の一部を等倍に拡大)
ファインシャープネスなし(左写真の一部を等倍に拡大)

 ファインシャープネスなしとファインシャープネスありを比べると、ありの方が窓枠の輪郭がはっきりしている。これに対し、ファインシャープネスとファインシャープネス2の差はわずかで、この撮影場合は等倍以上に拡大しないと、ほとんど差が分からない。

 簡単に説明すると、ファインシャープネスとは高周波(細かい線)の輪郭強調を行なう機能だ。ただし、通常より細い線で輪郭をトレースするのでノイズが目立ちやすくなる性質がある。そこでノイズの出やすい低輝度の条件でも試してみた。

※共通設定:K-7 / DA 16-45mm F4 ED AL / 約10.6MB / 4,672×3,104 / 1.0秒 / F5.6 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 45mm / カスタムイメージ:ナチュラル / 長秒時NRオフ、(Exif情報では「高感度NR中」と表示されているが、高感度開始ISOを800に設定したのでNRは作動していない)

ファインシャープネス2(左写真の一部を等倍に拡大)
ファインシャープネス(左写真の一部を等倍に拡大)
ファインシャープネスなし(左写真の一部を等倍に拡大)

 ファインシャープネスをオンにした画像はシャープ感が増し、ファインシャープネスなしに比べると全体にくっきりした印象を受ける。ただしノイズの目立ちやすい空の部分では、ファインシャープネスありの方が明らかにノイズが増えている。またファインシャープネスよりファインシャープネス2の方がノイズが目立つので,夜景撮影などでファインシャープネス2を使うときは注意が必要だ。

 ちなみに今回のファームウェアでは、私が待ち望んでいた操作系の改良はなし。実は、このレポートと並行してペンタックスK-xの試写を行なっていたが、ボディ上面と背面のボタン機能がK-7と異なるので、とても不便な思いをした。さらにK20Dを持ち出すと状況はさらに深刻で、何かしようとする度に、ボタン表示を確認ししなければならず、同じメーカーの製品を使っているとは思えない状況が続いている。個人的には、こちらも対応して欲しかった。

左手前からK-7、K-x、K20D。最近のペンタックスは、新製品が出る度にボタン類の配置が変わる。1台だけ使うユーザーならともかく、複数台を一緒に使うと不便な思いをする


中村文夫
(なかむら ふみお)1959年生まれ。学習院大学法学部卒業。カメラメーカー勤務を経て1996年にフォトグラファーとして独立。カメラ専門誌のハウツーやメカニズム記事の執筆を中心に、写真教室など、幅広い分野で活躍中。クラシックカメラに関する造詣も深く、所有するカメラは300台を超える。

2009/11/26 00:00