前回、「高輝度側・階調優先」と「オートライティングオプティマイザ」を同時に使ったときの検証を行なった。結果は、高輝度側・階調優先は機能したもののオートライティングオプティマイザは単独で使用したときに比べ効きがほとんど感じられないものであった。どちらも機能すれば、白トビと黒ツブレの両方が抑えられると期待していただけに、今更ながらちょっと残念な結果に終わっている。
さて、6月2日にEOS 5D Mark IIの新ファームウェアがWeb上に公開された。いくつかの機能向上と修正が盛り込まれたが、そのうち注目すべきは「高輝度側・階調優先設定時の、オートライティングオプティマイザ機能のアルゴリズムを修正しました」という項目。前回の長期リアルタイムレポートをキヤノンのエンジニアが見たかどうかは不明だが、実によいタイミングで対応してきた。ちなみに、これまでのバージョンは1.0.7、ファームアップ後は1.1.0となる。
Ver.1.0.7からVer.1.1.0の進化点は、高輝度側・階調優先設定時のオートライティングオプティマイザ機能のアルゴリズム修正を含め公開されているだけでも6項目に及ぶ。EOS 5D Mark IIユーザーは、ぜひファームアップしてみてほしい |
で、早速、トライしてみることにした。所有するEOS 5D Mark IIはすでにファームウェアをアップデートしているので、デジカメWatch編集部に旧ファームウェアのEOS 5D Mark IIを探してもらい、そのカメラとの比較となる。検証は前回と同じく下記の設定で行った。
- 高輝度側・階調優先「しない」 / オートライティングオプティマイザ「標準」
- 高輝度側・階調優先「しない」 / オートライティングオプティマイザ「弱め」
- 高輝度側・階調優先「しない」 / オートライティングオプティマイザ「強め」
- 高輝度側・階調優先「しない」 / オートライティングオプティマイザ「しない」
- 高輝度側・階調優先「する」 / オートライティングオプティマイザ「標準」
- 高輝度側・階調優先「する」 / オートライティングオプティマイザ「弱め」
- 高輝度側・階調優先「する」 / オートライティングオプティマイザ「強め」
- 高輝度側・階調優先「する」 / オートライティングオプティマイザ「しない」
果たして今度こそ高輝度側・階調優先とオートライティングオプティマイザとの合わせ技で、ハイライト側とシャドー側のディテールが再現されダイナミックレンジの広い画像が得られるのだろうか。気になる結果は以下のとおりとなった。
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。
- HTP=高輝度側・階調優先(Highlight tone priority)、ALO=オートライティングオプティマイザ(Auto Lighting Optimizer)の略です。
HTP:しない /ALO:標準 | HTP:しない / ALO:弱め | HTP:しない / ALO:強め | HTP:しない / ALO:しない |
HTP:する / ALO:標準 | HTP:する / ALO:弱め | HTP:する / ALO:強め | HTP:する / ALO:しない |
HTP:しない /ALO:標準 | HTP:しない / ALO:弱め | HTP:しない / ALO:強め | HTP:しない / ALO:しない |
HTP:する / ALO:標準 | HTP:する / ALO:弱め | HTP:する / ALO:強め | HTP:する / ALO:しない |
HTP:しない /ALO:標準 | HTP:しない / ALO:弱め | HTP:しない / ALO:強め | HTP:しない / ALO:しない |
HTP:する / ALO:標準 | HTP:する / ALO:弱め | HTP:する / ALO:強め | HTP:する / ALO:しない |
HTP:しない /ALO:標準 | HTP:しない / ALO:弱め | HTP:しない / ALO:強め | HTP:しない / ALO:しない |
HTP:する / ALO:標準 | HTP:する / ALO:弱め | HTP:する / ALO:強め | HTP:する / ALO:しない |
HTP:しない /ALO:標準 | HTP:しない / ALO:弱め | HTP:しない / ALO:強め | HTP:しない / ALO:しない |
HTP:する / ALO:標準 | HTP:する / ALO:弱め | HTP:する / ALO:強め | HTP:する / ALO:しない |
HTP:しない /ALO:標準 | HTP:しない / ALO:弱め | HTP:しない / ALO:強め | HTP:しない / ALO:しない |
HTP:する / ALO:標準 | HTP:する / ALO:弱め | HTP:する / ALO:強め | HTP:する / ALO:しない |
HTP:しない /ALO:標準 | HTP:しない / ALO:弱め | HTP:しない / ALO:強め | HTP:しない / ALO:しない |
HTP:する / ALO:標準 | HTP:する / ALO:弱め | HTP:する / ALO:強め | HTP:する / ALO:しない |
HTP:しない /ALO:標準 | HTP:しない / ALO:弱め | HTP:しない / ALO:強め | HTP:しない / ALO:しない |
HTP:する / ALO:標準 | HTP:する / ALO:弱め | HTP:する / ALO:強め | HTP:する / ALO:しない |
撮影結果によると、アップデートにより見事に改善されているようだ。高輝度側・階調優先をONにしたときのオートライティングオプティマイザは、単独で使用した時と同様しっかりと機能し、シャドー部が「標準/弱め/強め/しない」の各設定に合わせて適切に調整されていることがわかる。Ver.1.0.7では、「強め」にしてやっと暗部が少し持ち上がっているのと大違いだ。この言葉が適切かどうかは別にして、“見かけ上のダイナミックレンジ”がVer.1.1.0では2つの機能を同時に使うとさらに拡大すると述べて間違いないものとなっている。高輝度側・階調優先を使用すると、ややノイズが浮きやすくなるところもあるが、明暗比の高い被写体などの場合、積極的にオートライティングオプティマイザと同時に使用していくとよいだろう。
2009/6/22 00:00