パナソニックLUMIX DMC-GH1【第1回】

高感度でG1と対決

Reported by 本誌:折本幸治


 発表と同時に“動画対応モデル発売”のアナウンスがあったため、初のマイクロフォーサーズ機「LUMIX DMC-G1」に手を出せなかった人は多いと思う。私も昨年秋から年初にかけて、主にオールドレンズユーザーの間で起こった「G1旋風」を横目に見ながら耐えた一人。動画機能は発表会取材やイベントレポートで役立つとの考えがあったためだ。

 そのころの最大の関心事は、まだ具体的に発表されていない“動画対応モデル”の発売時期だった。つまり発売がはるか先の話なら、さっさとDMC-G1を入手するのも悪くない。どこで線を引くのかが問題だが、私は3月のPMA09とPIE2009で参考出品、夏頃の発表と睨んでいた。

 結局、動画対応モデル「LUMIX DMC-GH1」の発売が正式に決定したのは、PIE2009を目前にした3月25日だった。しかも発売日は4月24日と予想より早い。DMC-GH1は、HD動画を除くとマルチアスペクトぐらいしか新機能がないものの、動画記録はレンズ交換式デジタルカメラ初のフルタイムAFに対応。「待っててよかった」と感じた人もいるだろう。一方、動画が必要ない現DMC-G1ユーザーにとっては、静止画についてはDMC-G1との差が少ないことに、安心を覚えたことと思う。

 しかし実際には静止画において、予想外の差があった。それが高感度での画質だ。DMC-GH1とDMC-G1を同時に揃える機会がなかなか訪れなかったものの、ようやく1回目のテーマ「DMC-GH1とDMC-G1の高感度対決」が可能になったのでレポートしたい。

 そもそもDMC-GH1とDMC-G1では撮像素子が違うので、画質が異なるのは当たり前かもしれない。ともに撮像素子は有効1,210万画素の4/3型Live MOSセンサーながら、総画素数はDMC-GH1が1,398万、DMC-G1が1,306万と差がある。100万画素ほどDMC-GH1が多いのは、ご存知の通りマルチアスペクト機能を実現するためのマージンだろう。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。
  • ノイズリダクション、暗部補正ともオフにしています。
  • 使用レンズはLUMIX G VARIO HD 14-140mm F4-5.8 ASPH.です。
DMC-GH1 / 約5.3MB / 4,000×3,000 / 1/15秒 / F5.8 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 140mmDMC-GH1 / 約5.7MB / 4,000×3,000 / 1/30秒 / F5.8 / 0EV / ISO200 / WB:晴天 / 140mmDMC-GH1 / 約6.1MB / 4,000×3,000 / 1/60秒 / F5.8 / 0EV / ISO400 / WB:晴天 / 140mm
DMC-GH1 / 約6.4MB / 4,000×3,000 / 1/125秒 / F5.8 / 0EV / ISO800 / WB:晴天 / 140mmDMC-GH1 / 約5.8MB / 4,000×3,000 / 1/250秒 / F5.8 / 0EV / ISO1600 / WB:晴天 / 140mmDMC-GH1 / 約6.4MB / 4,000×3,000 / 1/500秒 / F5.8 / 0EV / ISO3200 / WB:晴天 / 140mm
DMC-G1 / 約4.7MB / 4,000×3,000 / 1/15秒 / F5.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 140mmDMC-G1 / 約5.1MB / 4,000×3,000 / 1/30秒 / F5.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 140mmDMC-G1 / 約5.6MB / 4,000×3,000 / 1/60秒 / F5.8 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 140mm
DMC-G1 / 約5.5MB / 4,000×3,000 / 1/125秒 / F5.8 / 0EV / ISO800 / WB:オート / 140mmDMC-G1 / 約5.2MB / 4,000×3,000 / 1/250秒 / F5.8 / 0EV / ISO1600 / WB:オート / 140mmDMC-G1 / 約5.9MB / 4,000×3,000 / 1/500秒 / F5.8 / 0EV / ISO3200 / WB:オート / 140mm
DMC-GH1 / 約5.0MB / 4,000×3,000 / 1/40秒 / F5.8 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 140mmDMC-GH1 / 約5.6MB / 4,000×3,000 / 1/80秒 / F5.8 / 0EV / ISO200 / WB:晴天 / 140mmDMC-GH1 / 約6.0MB / 4,000×3,000 / 1/160秒 / F5.8 / 0EV / ISO400 / WB:晴天 / 140mm
DMC-GH1 / 約6.2MB / 4,000×3,000 / 1/320秒 / F5.8 / 0EV / ISO800 / WB:晴天 / 140mmDMC-GH1 / 約5.6MB / 4,000×3,000 / 1/640秒 / F5.8 / 0EV / ISO1600 / WB:晴天 / 140mmDMC-GH1 / 約6.2MB / 4,000×3,000 / 1/1300秒 / F5.8 / 0EV / ISO3200 / WB:晴天 / 140mm
DMC-G1 / 約4.5MB / 4,000×3,000 / 1/40秒 / F5.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 140mmDMC-G1 / 約5.0MB / 4,000×3,000 / 1/80秒 / F5.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 140mmDMC-G1 / 約5.6MB / 4,000×3,000 / 1/160秒 / F5.8 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 140mm
DMC-G1 / 約5.6MB / 4,000×3,000 / 1/320秒 / F5.8 / 0EV / ISO800 / WB:オート / 140mmDMC-G1 / 約5.1MB / 4,000×3,000 / 1/640秒 / F5.8 / 0EV / ISO1600 / WB:オート / 140mmDMC-G1 / 約5.9MB / 4,000×3,000 / 1/1300秒 / F5.8 / 0EV / ISO3200 / WB:オート / 140mm
DMC-GH1 / 約4.9MB / 4,000×3,000 / 1/60秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 48mmDMC-GH1 / 約5.1MB / 4,000×3,000 / 1/125秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:晴天 / 48mmDMC-GH1 / 約5.3MB / 4,000×3,000 / 1/250秒 / F8 / 0EV / ISO400 / WB:晴天 / 48mm
DMC-GH1 / 約5.3MB / 4,000×3,000 / 1/500秒 / F8 / 0EV / ISO800 / WB:晴天 / 48mmDMC-GH1 / 約5.1MB / 4,000×3,000 / 1/1,000秒 / F8 / 0EV / ISO1600 / WB:晴天 / 48mmDMC-GH1 / 約5.6MB / 4,000×3,000 / 1/2,000秒 / F8 / 0EV / ISO3200 / WB:晴天 / 48mm
DMC-G1 / 約4.3MB / 4,000×3,000 / 1/80秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 48mmDMC-G1 / 約4.6MB / 4,000×3,000 / 1/160秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 48mmDMC-G1 / 約5.0MB / 4,000×3,000 / 1/320秒 / F8 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 48mm
DMC-G1 / 約5.3MB / 4,000×3,000 / 1/640秒 / F8 / 0EV / ISO800 / WB:オート / 48mmDMC-G1 / 約4.9MB / 4,000×3,000 / 1/1300秒 / F8 / 0EV / ISO1600 / WB:オート / 48mmDMC-G1 / 約5.8MB / 4,000×3,000 / 1/2500秒 / F8 / 0EV / ISO3200 / WB:オート / 48mm

 おおざっぱな印象としては、ISO400ではほとんど差はない。ISO800になると輪郭やカラーノイズの彩度に違いを感じる箇所が出てくるが、個人的には騒ぎ立てるほどの差はないと感じる。

 しかし、ISO1600になると違いがはっきりしてくる。DMC-G1の方が輪郭がぼさぼさしており、ノイズもきつい。一部の色も薄くなっている。さらに最高感度のISO3200になると、DMC-G1の方が輪郭のとろけ具合が激しくなり、輝度ノイズもくっきり浮き出ている。もっとも今までのフォーサーズ機の感触からすると、DMC-G1も決して物足りない性能ではないと思う。それだけに、DMC-GH1のISO1600とISO3200の優秀さに感心した。

 結論としては、ISO800ぐらいまでなら大きな差はなく、ISO1600以上をよく使うなら、DMC-GH1のほうが画質的に有利。LUMIX G VARIO HD 14-140mm F4-5.8 ASPH.のような暗いレンズを多用するなら、DMC-GH1の方が多少心強いケースが多いだろう。

 ただしノイズの許容度は個人によって異なるし、両者とも35mmフルサイズセンサーを搭載した最新モデルに比べると、その差はドングリの背比べレベルといっていい。よほどISO1600以上での撮影にこだわりがない限り、DMC-G1ユーザーは、あまり気にしない方がよいと思う。

 それよりも興味深かったのは、DMC-GH1のカスタムメニューにある「表示スタイル」設定だ。LVFとLCDの両方について、「ファインダースタイル」と「液晶モニタースタイル」のいずれかを選べる。

 これまで「液晶モニタースタイル」でしか使っていなかったこともあり、正直言って2つの表示スタイルの違いは、黒縁が“あるか”(ファインダースタイル)、“ないか”(液晶モニタースタイル)程度のものだと思っていた。ところが今回、表示スタイルを変えると、操作方法も変化することを発見した。もっとも、DMC-G1も同様のインターフェイスなので、DMC-G1ユーザーからすれば、「何をいまさら」といったところなのだろう。

 きっかけは今回頻繁に変えることになった、ISO感度設定を何とかしたかったことから。DMC-GH1でISO感度を変える方法はいくつかあるが、最もわかりやすくて素早く設定できるのが、十字ボタン上を押すと表示されるISO感度ショートカットメニューを使うことだろう。

 しかしAFエリアを「ダイレクト1点AF移動」にしていると、このショートカットが使えなくなる。十字ボタン=AFエリアの移動に使われるため、十字ボタンに割り当てられた全てのショートカットが封印されるためだ。三脚を使って撮影した今回の場合、「ダイレクト1点AF移動」は譲れない。となるとISO感度の変更は、撮影メニューで行なうか、Q.MENUボタンを押すと現れるクイックメニューを使うことになる。

 というわけでおもむろに、クイックメニューからのISO感度変更に挑戦してみた。Q.MENUボタンを押すと、LVFまたはLCDに表示された設定項目がハイライト表示され、項目間を前ダイヤルで移動できるようになる。目的の項目を選んで前ダイヤルを押し込むと、その項目のポップップメニューが現れ、パラメーターを指定できる仕組みだ。もちろんクイックメニュー中にはISO感度もある。

 ここで戸惑ったのが、ISO感度を変える際、前ダイヤルではなく十字ボタン操作しか受け付けない点。具体的には動画を見てほしいが、ポップアップする設定メニューが上下に広がり、十字ボタンの上下でパラメーターを指定することになる。しかし、DMC-GH1の十字ボタンは小さくて押しづらい。何度も撮影していると辛くなってきたので、十字ボタンではなく、前ダイヤルでISO感度を変更できれば、と考えた。

 

 
「液晶モニタースタイル」でのISO感度設定

 そこでふと思い立ち、表示スタイルを液晶モニタースタイルからファインダースタイルにしてみた。するとQ.MENU→前ダイヤル→前ダイヤル押し込みまでは液晶モニタースタイルと同じながら、ポップアップメニューが上下ではなく左右に展開することを発見。その後は前ダイヤルでISO感度の選択が可能になる(十字ボタン左右でもOK)。DMC-GH1とDMC-G1を液晶モニタースタイルに揃えることで、だいぶ撮影がはかどった。

 

 
「ファインダースタイル」でのISO感度設定

 前ダイヤルの押し込みを代表として、DMC-GH1とDMC-G1には特徴的な操作が多い。正直いってまだ使いこなせていないので、いいかげん早く慣れるよう使い込もうと思う。

 【2009年6月15日】「総画素数はDMC-GH1が1,398万、DMC-G1が1,306万と差がある。400万画素ほどDMC-GH1が多い」との表記を行ないましたが、「100万画素ほどDMC-GH1が多い」に訂正しました。



本誌:折本幸治

2009/6/15 00:00