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AF対応のコンタックスGアダプターが実用レベルに
高速化したTECHART「TA-GA3」を試してみる
2014年6月27日 09:00
テックアートのAF対応コンタックスGアダプターが、35mmフルサイズ機のソニーα7シリーズに対応した。本製品については初代TA-GE1Bを「コンタックスGレンズのAF対応アダプターを試す」にてレポートしたが、今回取り上げるのはその最新バージョンだ。
コンタックスGレンズのマウントアダプターは各社から登場しているが、AF動作に対応しているのがテックアートの製品だけである。
本製品はフルサイズ機α7シリーズ対応版となり、機能的にはふたつの点で大きく進化している。
ひとつ目はAF動作の高速化だ。従来製品は世界初のAF対応コンタックスGアダプターとして注目を集めたが、AFパフォーマンスは実用的とは言い難いものだった。コンタックスGレンズをAFでガシガシ使うというよりも、不可能を可能にしたロマンを堪能するタイプの製品と言えるだろう。その点最新バージョンのTA-GA3は、AF速度が実用レベルまで向上している。
テックアートが独自開発したハイスピードマイクロモーターを搭載し、従来製品よりも50%以上高速化しているという。実際に試してみると、ミラーレス機の純正レンズ同等とまではいかないが、その気になれば動体を狙う気にもなれる程度のパフォーマンスだった。ただし、従来製品と同様、レンズの焦点距離によってAFパフォーマンスに差がある。この点については作例を交えながら後述する。
ふたつ目のポイントはワイヤレスのソフトウェアアップデート機能だ。マウントアダプターにBluetooth4.0を搭載し、パソコンやスマートフォンからワイヤレスでソフトウェアのアップデートが可能だ。TA-GA3にはアップデート用のソフトを収録したUSBメモリー、そしてUSB接続型のBluetooth4.0アダプターが付属し、アップデートに必要なものはすべてそろっている。今後のアップデートによって、AF動作のさらなる高速化が可能だという。常に最新状態に更新でき、買って長く使える製品だ。
なお、アップデートソフトは現在はWindows 8に未対応だ。対応版がリリースされた際、販売店である焦点工房のサイトにて公開予定だという。
作例
TA-GA3は総じてAF動作が高速化している。従来製品と使い比べると、特にその差を実感できるだろう。しかしながら前述の通り、装着したレンズの焦点距離により、動作パフォーマンスにちがいがある。今回はビオゴンT* 28mm F2.8、プラナーT* 45mm F2、ゾナーT* 90mm F2.8の3本を装着し、AFモードをフレキシブルスポットMに設定して撮影した。なお、作例はAFランプが点灯し、狙い通りに合焦したカットを掲載している。
Biogon T* 28mm F2.8
本レンズはα7で周辺の色かぶりが軽微であり、広角オールドレンズの中では使用頻度の高い部類と言える。TA-GA3と組み合わせると、中近距離ではAF速度とピント精度、ともに良好な結果だった。ただし、無限遠ではAFランプが点灯しないことが多く、MF操作で撮影した方が迅速だった。
この点はメーカーも把握しており、28mmと21mmの無限遠撮影についてはAF微調整システムでの調整を薦めている。調整方法は製品マニュアルに譲るが、この機能で調整した内容はマウントアダプターに自動的に記録される仕組みだ。ただし、レンズごとに調整結果を記録できるわけではないので、複数のコンタックスGレンズを使う場合はその都度調整し直す必要がある。広角レンズは無限遠撮影する機会が多いので、ソフトウェアアップデートによる改善を期待したいところだ。
なお、APS-C機では問題なく無限遠撮影できるという。
Planar T* 45mm F2
コンタックスGレンズのラインナップの中で、標準レンズに位置する製品だ。TA-GA3に装着した際、AF速度、ピント精度ともに良好で、従来製品と比べてかなり快適に撮影できた。合焦ランプが灯ればおおむね狙い通りの場所にピントが合い、安心してカメラまかせで撮影できた。薄暗いガード下でも絞りを開放にしておけばしっかりとピントが合い、無限遠撮影も問題なかった。条件を選ばずにAFを使うことができ、実用性の高いセットアップと言えるだろう。
Sonnar T* 90mm F2.8
今回試した中でもっとも手こずったのがこのレンズだ。AF速度はそれなりだが、合焦ランプが点灯してもピントを外しているカットは少なくなかった。ミラーレス機は像面位相差AFセンサーおよびコントラスト検出AFセンサーでピントを合わせるため、メーカーは絞り開放でのピント合わせを推奨している。しかしながら、ゾナーT* 90mm F2.8は開放でピント合わせしてもピンぼけになるシーンがあった。2~3度シャッターボタンを半押ししてまごつくようなら、MFに切り替えた方が確実だろう。
ちなみに、TA-GA3はMFホイールをまわすだけに速やかにAFからMFに切り替わる。絞り優先AEの場合、MFホイールでピント調整した後、シャッターボタン半押しでシャッタースピードが決まる。そのままシャッターボタンから指を離さずに押し込むと撮影可能だ。撮影後は自動的にAFに復帰しており、シャッターボタン半押しでAFが動作する。
TA-GA3はレンズの焦点距離によってAFパフォーマンスに差があるものの、AFとMFを直感的に切り替えることができ、メイン使いのコンタックスGアダプターとして申し分ない実力を備えている。
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