デジカメアイテム丼

マンフロット「KLYPケース for iPhone 5」

iPhone 5を三脚にセット。LEDライトなどのアクセサリーにも対応

 2013年2月、強豪三脚ブランドのひとつマンフロットから、同社初となるスマートフォンアクセサリが発表された。iPhone 4/4S用のケース「KLYP」だ。この発売にiPhone 5ユーザーはさぞヤキモキしたことだろう。そして遅れること約4カ月、満を持してiPhone 5用のケースが6月12日に発売された。

 “iPhone用ケース”である「KLYP」は、マンフロットらしくカメラユーザー視点に立った拡張性・デザインが特徴となる。iPhoneの使い方によって、さまざまなオプションと組み合わせられるのだ。

 今回発売された「KLYPケース for iPhone 5」には、付属品が異なる2つのパッケージが用意されている。

 基本となるのが、「KLYP iPhone 5用ケース(アタッチメント付)」で、「iPhone 5用ケース」と「アダプタークリップ」(1/4カメラ小ネジ付とアクセサリーシュー付の2種)の組み合わせだ。価格は4,998円。

 もうひとつが、「KLYP iPhone 5用ケース(アタッチメント付)」にLEDライト「ML240-1」(MINI LEDライト24)を組み合わせた「KLYPケース for iPhone5 + ML240 LED」。こちらは1万1,193円だ。

「KLYPケース for iPhone5 + ML240 LED」

 当然iPhoneケースとしては高価な部類に位置する。しかし、保護性能や質感、ケースデザインといったものに優れており、さらに撮影用途を意識した付属の2つのアタッチメントが本製品の価値を高めている。

 もちろん、ケースそのものの高級感や機能性も問題はない。本製品はポリカーボネイトを使った、いわゆるハードケースだ。耐衝撃性や耐熱性に優れており、総じてスマートフォンケースに向いている素材といえる。

 表面はさらさらとしたマットな質感。iPhoneと直接触れる内側には、要所にフェルト地が貼られ、傷つきにくい構造になっている。外からの傷だけでなく、ケースを装着することで付く可能性のある小傷も防げるわけだ。

 最大の特徴といえる2種類のアダプタークリップ(アタッチメント)は、ケースの外周に装着するものだが、とってつけたような構造ではなく、アダプタークリップ未装着時のデザインもよい。

ケース自体は、さらさらしながらもマットな質感が特徴
iPhoneが直接触れる部分はフェルト地が貼られており、傷が付きにくい構造になっている
ケースは上部と下部に分かれている。装着する際は、スライドさせながら押し入れる
iPhone 5を装着したところ。カメラ部だけでなく、アップルロゴも確認できる
正面の様子。基本的に背面と側面、上部、下部をカバーするケースなので、液晶部は保護されない

 付属する2種類のアダプタークリップは、それぞれ三脚などに固定するための1/4カメラ小ネジ付と、クリップオンストロボなどを固定するためのアクセサリーシュー付となっている。

 取り付け箇所は、iPhone 5の画面を正面にみた場合、右上、左下、底部の三カ所。アダプタークリップの取り付け箇所に指定がないため、縦位置・横位置が自由に決められる。

ケース右上にある取り付け箇所
こちらはケース左下の取り付け箇所だ。音量ボタンなどは覆うタイプではなくむき出しになる
付属する2種類のアダプタークリップ

 1/4カメラ小ネジ付のアダプタークリップを使うことで、iPhone 5を三脚に固定することが可能だ。マンフロットはテーブルフォト向けの小型三脚を数多く出しており、そういった意味では本製品との相性も抜群。また、今回同時に発売された「PIXI ミニ三脚 ブラック」ならば、収納性も良く、持ち歩きにも便利だろう。収納形態では、ボトムグリップのように使えるのもよい。

 ただしこのミニ三脚、一般的なボールヘッドタイプの雲台(自由雲台)に良くある切り欠きが設けられてない。そのためカメラを縦位置でセットすることは不可能だ。KLYPならアダプタークリップの取り付け位置を変えることで、iPhoneの横位置/縦位置を変更できるので、切り欠きは必要ない。つまり、PIX ミニ三脚は、実質的にKLYP専用の三脚といえるだろう。ボールヘッドの動作の滑らかさは、さすがマンフロットとうなずけるレベルだ。

推奨製品の「PIXI ミニ三脚 ブラック」(3,570円)
1/4カメラ小ネジ付のアダプタークリップを装着したところ
ロゴ部を押し込むと、角度の調整が可能となる

 アクセサリーシューは電子的な接点がないため、クリップオンストロボなどの固定用にしか使えない。どちらかというと、同社のLEDライトシリーズとの組み合わせを考えるべきだろう。

 同梱パッケージでは「ML240-1」(MINI LED ライト 24)が選択されているが、電源となる単四電池2本を含めても100g程度。同梱製品だけあって、ケースとのバランス・相性はよい。光量が足りないなら、同シリーズの「ML360-1」(MINI LED ライト 36)なども検討したいところだ。

「KLYPケース for iPhone5+ML240 LED」に付属する「ML240-1」(MINI LED ライト 24)

 なお、ML240-1の色温度は5,600K。光度は84カンデラとなる。照射角は30度で照度220ルクス。定常光のみの対応となる。。

右側面のダイヤルを回すことで電源が入るほか、調光が可能となる
電源には単四電池2本を利用する
アクセサリーシュー付のアダプタークリップを装着したところ
横位置
縦位置
「PIXI ミニ三脚 ブラック」は閉じることでボトムグリップのように利用できる

 KLYPケース for iPhone5+ML240 LEDとPIXI ミニ三脚を組み合わせて利用するなら、三脚にLEDライトを装着して光源にするといった利用法もある。

ML240-1(MINI LEDライト24には三脚ネジ穴があり、PIXI ミニ三脚に装着できる

 実際使ってみると、ケースとしては常用できるレベルだし、カメラでの撮影旅行の際、三脚などそのままの環境でカメラとiPhoneを交換、撮影できるというのは想像以上に手軽だった。iPhone自体のカメラ性能については、基本的にシャッターボタンをタップするだけなので、如何に固定するか、環境を整えるのかが重要。そういった意味で、デジカメ撮影の環境をそのまま利用できるというのは便利だ。

 また、フリーハンドでも、LEDライトなどを利用すれば暗所撮影でも対応できるし、テーブルフォトなら必要十分といえる。

 FacebookやTwitterに写真をアップロードするなら、iPhoneは最適なデバイスのひとつ。プリント用撮影の片手間に、iPhoneで同じ写真を撮る。そういった使い方をしたいなら、本製品ほど魅力的なものはないだろう。確かに、iPhoneを三脚に固定するパーツは存在する。しかし、ケースを装着したままだと上手く固定できなかったり、そもそも利用できないこともある。その点、はじめから三脚で固定することを念頭に作られた本製品なら安心だ。

 iPhoneを使って撮影することが多い、あるいはデジタル一眼の撮影時にiPhoneでも撮るといったユーザーなら、本製品は考慮するに値する製品だ。

 なお、マンフロットが開発したiPhone用アプリ「KLYPAPP」が無料で公開されている。KLYPの利用者をサポートするようなアプリになっており、インターバル撮影やタイマー撮影、ナイトモードなど、三脚の利用を念頭に置いた機能を利用できる。簡易編集機能も搭載し、トリミングや彩度/コントラスト/露出の調整などにも対応。FacebookやTwitter、Instagramへの投稿にも対応している。

iPhone用アプリ「KLYPAPP」
音シャッターや連写などの設定が可能
電子水準器機能もある
写真データは、アプリから直接Twitter、Facebook、Instagramに投稿できる
トリミングや露出調整といった簡易編集機能も搭載

飯塚直