ロープロ「クラシファイドスリング180AW」

機材を素早く取り出せるコンパクトなカメラバッグ

クラシファイドスリング180AW

 クラシファイドスリングは、米国ロープロブランドのショルダーバッグ「クラシファイド」シリーズをスリングタイプにしたもの。バッグを体の正面に回して機材を扱うことができ、ノートPCの収納に対応するスペースを前面部に備える。素材はバリスティックナイロン。

 ラインナップは、15.4型のノートPCに対応するクラシファイドスリング200AWと、7~9型に対応する同180AWの2種類。今回は一眼レフカメラとネットブックを持ち歩くシーンを想定し、180AWを試用した。価格は200AWが4万2,000円、180AWが3万5,700円。カラーはブラックのみ。

 外寸は270×225×420mm(幅×奥行き×高さ)。メッセンジャータイプより厚みがあり、バックパックより幅がスリムという印象だ。体にしっかりフィットするようストラップの長さを調節すれば、機材をフルに収納してもバッグは揺れず安定する。


背面側面
クラシファイドスリング180AWを背負ったところ

 スリングタイプのメリットは、バッグを地面に下ろすことなく収納部にアクセスできることだ。また、座ってバッグを膝に乗せた状態を立ったまま確保できる。おかげで、バッグの奥を探すにも体をかがめたりといった苦労がない。バッグを下ろさずに済むメリットは、足場が悪い場所でなくとも大きかった。

機材を取り出すところ。体の正面でバッグがしっかり止まるため、不安がない長時間の移動時は逆サイドからの補助ストラップを併用。バッグは回らなくなるが、より安定する
補助ストラップを使用しない場合は、背面にまとめて収納できる

 メインの収納部は、ひとつの気室を付属の仕切り板で自由に分ける仕組み。仕切り板はベルクロで取り付けるタイプで、持ち歩く機材に合わせてレイアウトできる。標準ズームレンズを装着した中級一眼レフカメラ、交換レンズ2本、クリップオンストロボなどを収納可能。ノートPC収納部は、メイン収納部の外側に備える。

機材を収納。標準ズームレンズを装着したニコンD300と、奥にクリップオンストロボSB-900、ストロボの手前には高倍率ズームレンズを収納している。カメラ本体は黒い縁取りのある仕切りの間に収納

 スムーズにカメラを取り出すには、収納したカメラのグリップ付近にある程度の隙間を空けたほうがよいだろう。私は充電器を入れるか、収納時にカメラストラップをまとめるためのスペースとしていた。

フタのように使える仕切り板も付属。写真では標準ズームレンズと充電器を底部に収納し、フタをしている。これでさらに上部へ物が入る仕切りのレイアウトを変更。標準ズームレンズを装着した一眼レフカメラのみを収納した場合、メイン収納部の半分ほどが空く
すべての仕切り板を取り外したところ。メイン収納部には、上面、側面のジッパー式フラップからアクセスする取り外した仕切り一式。ベルクロ式で自由に配置できる
ポケット付きの仕切りを上面フラップ部に配置すると、上面フラップの内部を小物入れとすることができる

 機材を主に出し入れする側面部のフラップは、内側にメディア収納スペースとジッパー付きのポケットを備える。3つのメディア収納スペースは両面からクッションでメディアを包み込み、ベルクロ式のフラップには使用状況を識別できるタブがそれぞれついている。

側面のフラップ。3つのメディア用ポケットはCFまで対応。使用済みメディアを区別するタブもついている。マチのないポケットも備えるmsi Wind U100ネットブックを収納。10型だが問題なく収納できた。外観への影響もない

 ノートPC収納部は表側。クッションが入っている。7~9型までのノートPCの収納に対応し、いわゆるネットブックの収納を想定していると思われる。代わりに雑誌なども入るが、角2サイズの封筒は入らなかった。ノートPC収納部のサイズは240×370×25mm。

 バッグの側面には三脚ホルダーを備える。取り付けには側面底部に格納された三脚ホルダーと、側面のバックル式ストラップを用いる。三脚を持ち歩かない場合はバックル式のストラップを取り外すこともでき、側面がフラットになる。ベルトを多少短めに調整してから三脚を固定すると、あそびがなくしっかりと固定できた。

三脚を固定したところ縮長がバッグと同程度までなら安定する
収納式の三脚ホルダーを取り出したところ

 また、背面底部にはオールウェザーカバーを格納。ロープロのカメラバッグではお馴染みだろう。雨や砂埃から機材を守ってくれる。

オールウェザーカバーを装着裏側にゴムの力で固定
オールウェザーカバーはバッグ背面底部に格納。バッグ本体から取り外すことはできない

 ショルダーベルトにはクッション性のあるパッドが取り付けられている。これにより、ストラップが当たっている箇所が痛むこともなかった。このパッドでストラップの長さを調整して余った部分をまとめることもできる。

 なお、ショルダータイプの「クラシファイド」では、カメラストラップを肩に掛けた際の滑落を防止するレザータブがショルダーパッドに付いている。しかしクラシファイドスリングは滑落防止機構を持たないため、肩にカメラを掛ける際は気をつけたい。

ショルダーベルト部。使用時の状態パッドを取り外したところ。余ったストラップを束ねる役割も果たす
パッドのおかげで体に密着させても痛くない

 一眼レフカメラやストロボに加え、普段持ち歩く小物類などを収納。その状態で街を歩き回ったが、特に体のどこかに痛みを感じることもなかった。ストラップを短めに調節するとバッグを回す際に多少の抵抗となるが、すぐに慣れてスムーズに扱えるようになった。

 なによりバッグ自体が比較的コンパクトなため、大げさな印象を与えないのがとても好ましい。見た目のバランスには「かわいい」という意見もあった。それでいて、機材はどこでも素早く取り出せる。機能的でありながら威圧感のない、スマートなカメラバッグだ。



(本誌:鈴木誠)

2009/11/10 00:00