デジカメアイテム丼
ケンコー・トキナー「aostaインターセプター トートバッグ」
“防水”と“デザイン性”を両立。超個性派のカメラバッグ
(2013/4/22 00:00)
ケンコー・トキナーの自社カメラバッグブランド「aosta」(アオスタ)がアツい。新たな開発部署を設けたのを機に、これまでの無難な印象のラインナップから、攻めの姿勢が見える個性的な製品が目立つようになってきた。
今回はそのうちのひとつ、「aostaインターセプター トートバッグ」を紹介したい。
「インターセプター」というのは、防水性能とデザインを両立させた新カメラバッグシリーズにつけられた名称。トートバッグ、メッセンジャーバッグ(M)、メッセンジャーバッグ(S)、スリングバッグが同じコンセプトのもとでラインナップされている。
トートバッグはその中で、最も個性的な製品だ。価格はオープンで、店頭での実勢価格は9,000円前後。ピンク、イエロー、ブラックの3色が選べる。発売は4月20日。今回はそのうちのひとつ、イエローを試用した。
トートバッグの説明に入る前に、シリーズ共通のコンセプトとを少し。
印象的なのは、本体の素材にラフティングボートなどで使用される完全防水のターポリン生地を使用していること。さらにその生地が、針で縫わない熱溶融接合で仕立てられているのだ。これらにより、従来のカメラバッグとは次元を超えた防水性能が期待できるというわけ。
カメラバッグの場合、雨対策は付属、あるいは本体装備のレインカバーを使うのが一般的だ。インターセプターではそれを必要とせず、本体だけで防水性能を実現しており、水辺や雨の中での撮影が多い人に、うってつけの製品といえる。
中でもトートバッグの防水対策は強力だ。開口部にロールアップ式と呼ぶカバーを採用。ジッパーを使わないことから、同じインターセプター(メッセンジャーバッグ、スリングバッグ)よりも浸水に強い。
ロールアップ式カバーの閉め方は、開口部を面ファスナーで留めた後、くるりと巻いておくだけ。カメラバッグとして考えると慣れないうちは違和感が残るが、慣れるとジッパーよりも素早い開閉が可能になる。しかも防水にもつながるわけで、よく考えられた方式だと思う。
バッグの底ももちろん防水対策が施されており、濡れた地面にためらいなく置ける。着いた土や砂は簡単に拭き取れる。筆者自身、いままで渓流や砂浜ではリュックを背負ったまま撮影していたが、このバッグなら何も気にすることなく地面に置ける。機材が重いときなど、本当にありがたく感じた。
バッグ内部には、取り外し可能なインナーバッグを装備。このインナーバッグが凝っている。バッグ全体が末広がりに見える特徴的な外観に合わせた専用設計なのだ。
インナーバッグは別のバッグ製品と組み合わせて販売されたり、単体製品としてラインナップされることから、専用設計はとても珍しい。また専用設計とすることで、内部でインナーバッグが動いたり、本体が型くずれするようなこともない。
ちなみに今回は海外旅行先で試用したが、インナーバッグを外すと、大きさ的にも、ちょっとしたショッピングバッグの感覚で使用できることがわかった。撮影に行くときはインナーバッグを装着、買い物に行くときは本体のみという使い分けが便利だった。
とにかく、水のあるところで撮影する人にはおすすめのバッグだ。ただし、メモリーカードや外したレンズキャップなどを収納できるような、気の効いたポケット類は一切ない。防水性能を第一に考えた結果なのだろう。別途、ポーチやメモリーカードケースなどで工夫したい。
また、ターポリンという素材の特性上、ごわごわした質感や表面のツヤについても、一般的なカメラバッグとはずいぶん異なる。アウトドア用品が好きな人なら自然に受け入れられそうだが、気になる方は実際に店頭で確かめて欲しい。また、水に強く丈夫な代わりに、他の素材からの色移りが比較的多いところは覚悟したい。
他のインターセプターについても簡単に触れておこう。
メッセンジャーバッグはMとSが用意されている。こちらはトートバッグと異なり、止水ジッパーを採用することから、防水性能は若干落ちる。ジッパー部のみ生活防水になってしまうからだ。とはいえ同種のメッセンジャーバッグ製品と比べると、防水性能に関しては随一の存在だろう。
ワンショルダーも同じく、ターポリンと溶着製法を組み合わせて作られている。ショルダーベルトは左右付け替え可能だ。
防水を謳う製品はこれまでにもあったが、ここまでデザイン性に富み、チャレンジングなコンセプトを製品に落とし込めた例は少ないだろう。実用性も高く、砂浜での撮影が多い筆者も、次期主力バッグにと考えている。新生aostaの勢いを象徴するシリーズだ。
(協力:株式会社ケンコー・トキナー)