エツミ「カルディナリュックM」

ありそうでなかった?“カメラ用小型バックパック”

カラーは写真のブラックのほかに、グレー、オリーブ、ベージュをラインナップ。価格は9,450円

 カメラ機材用のショルダーバッグには、タウンユースに適したコンパクトなものがいくつか見られる。一方バックパックはおしなべて大きめで、街中で使うには少々気が引けるサイズが主流だ。せっかく両肩を使うのだから、大量機材の収納を前提にした設計になるのもわかる気がするものの、カメラボディとダブルズームレンズ程度を収納するだけなら、一般的なタウンユースのリュックと同程度の大きさでも問題ないのでは……と常々考えていたところ、エツミが目的に適いそうな「カルディナリュックM」を4月に発売。さっそく試してみた。

 確かにカメラ機材向けバックパックとしては驚くほど小さく、タウンユースのバックパックと雰囲気では近いものがある。重量も530gと軽く、手に持つと拍子抜けするほどだ。ポケット類は比較的充実しており、外側前面の2つに加え、手探りでアクセスできる両サイドにも1つずつ装備。そのうち1つはペットボトルを収納できるサイズになる。上部に取っ手がついているのもありがたい。

 コンパクトな外観と引き換えになったのは、もちろん内部の収納スペースだろう。1気室の2段式を採用。上段と下段の仕切りはベルクロで装着するタイプで、ベルクロ側をヒンジとして折り畳むことも可能だ。エツミでは下段を交換レンズの収納部として想定しているようで、ここに中仕切りが2枚とりつけられている。あまり大きなレンズは入らないが、上段と下段を分ける仕切りを取り外すと、70-200mm F2.8程度の望遠ズームレンズにも対応可能。とはいえ、開放F2.8のズームレンズ3本・プロ用ボディ2台が収納できる本格的な製品に比べると、収納性においても取り出す際の使い勝手においても、いささか見劣りするのは確か。ショルダーベルトも薄く、重い機材を長時間背負う事態は想定されていないようだ。

 もっとも、普段出し入れする小物を外側のポケットや上段収納部に入れておき、下段にはカメラとレンズを常備しておきたい……といった「街歩き・ときどき撮影派」のニーズにはピッタリはまる製品だと思う。

 惜しむらくはデザインが大人しすぎるところ。そもそも、中高年女性の写真愛好家からの要望を取り入れた製品とのことで、見てくれにもその辺のセンスが反映された結果なのかもしれない。

 とはいえデザインは個人の趣味趣向に左右される部分だし、実際に使ってみると軽さを含めた絶妙な使い心地に感心した。本製品をベースにした、スタイリッシュなタイプにも期待したい。カメラ機材向けバックパックの世界に、新しいトレンドの到来を予感させる製品だ。

内部は1気室。仕切りで上段と下段に分かれている下段には2枚の中仕切りを装着可能
左手側にはペットボトルホルダーを装備右手側のポケットはレンズキャップの収納に便利
前面上段のポケット下段にもポケットがある


(本誌:折本幸治)

2009/6/10 14:43