Canon EF LENS 写真家7人のSEVEN SENSES

「迫力・躍動感あふれる作品に挑戦してほしい」
鉄道撮影のプロ、米屋こうじさんの場合

キヤノン EOS 7D Mark II + EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMの魅力を探る

夜明けとともにやって来た「ななつ星in九州」。露光量は不足気味だったが、開放付近の絞り値でもしっかりとした描写力で早朝の空気感まで写しとれた。
キヤノン EOS 7D Mark II / EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM / 153mm(245mm相当) / マニュアル露出(F5、1/500秒) / ISO2000
列車と万里の長城の構図のバランスを見て、ズーミングしながら連続撮影した。撮影場所は急斜面のため三脚を使用することが難しかったが、レンズの重量バランスが良いために、手持ちで楽に撮影できた。
キヤノン EOS 7D Mark II / EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM /100mm(160mm相当) / マニュアル露出(F8、1/1,600秒) / ISO400
金色の外装が独特な「或る列車」を露光間ズームで撮影。AIサーボAF+1点AFで列車正面の測距点に設定。確実に追いかけてくれた。
キヤノン EOS 7D Mark II / EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM /158mm(253mm相当) / マニュアル露出(F11、1/20秒) / ISO200
観光特急「ゆふいんの森」を深い森を抜けるイメージで狙った。針葉樹の木々の高さを強調するために列車を画面下端に配置。F8の絞り値は周辺部までシャープな描写力でまったく非の打ち所がない。
キヤノン EOS 7D Mark II / EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM /241mm(386mm相当) / マニュアル露出(F8、1/800秒) / ISO640

「動きモノ」を撮るうえで至高の組み合わせといわれるのが、「EOS 7D Mark II」と「EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM」の2製品だ。画質、AF、連写、操作性、サイズ感など、期待を裏切らない実力が評判を呼んでいる。

この2製品を手にした「動きモノ」のプロたちは、どういう感想を持ち、どう使いこなしているのか。

今回は、海外での鉄道写真作品で有名な米屋こうじさんに話を聞いた。

聞き手:笠井里香

EOS 7D Mark II
EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM

鉄道と人の両方に魅せられて

−−写真を始めたきっかけ、また鉄道の撮影を始めたきっかけを教えて下さい。

子どものころ、鉄道が好きだったんですね。実は母親が駅のキオスクで働いていました。

小学校4年のころだったかクラスにやってきた秋田からの転校生が鉄道マンの息子さんで、とても仲良くなったんです。彼から影響を受けてますます鉄道好きになっていきました。朝4時に起きて、夜行列車を見に行ったりしていました。

かっこいい鉄道を写真に撮りたいという自然な気持ちからカメラを持つようになりました。当時はもちろんフィルムカメラでしたから、我が家で一眼レフを購入することになったときには、父が私にどれを買うか選ばせてくれて、鉄道を撮るためにシャッタースピード優先モードのあるカメラを選び、それを使って写真を撮りました。

中学生になると、青春18きっぷを使って、休日に撮影に出かけていました。昭和初期の古い車両がとても好きで、消え行くものを写真に残そうと当時は車両を中心に撮っていましたね。

写真を仕事にしたいと考えるようになったのは高校生くらいのことです。雑誌のグラフページなどを見て、車両だけでなく中に乗っている人や駅弁などの生活感が写った川井聡さんの写真に衝撃を受けました。鉄道というのは人が乗ってこそ魅力がある、そう思うようになって、スナップなども撮るようになりました。

1968年山形県天童市生まれ。東京工芸大学短期大学部卒業。安達洋次郎・真島満秀氏の助手を経て1993年よりフリーランス。1994年よりアジア各国の鉄道を訪ねる旅に出かける。インドシナ半島から東アジアまでの8カ国を特急や急行をなるべく使わずに鈍行列車で乗り巡る。2003年「Asian train love」で富士フォトサロン新人賞を受賞。

−−フリーランスになった翌年から、アジアの列車の撮影旅を始めていますが、アジアでの撮影に入るきっかけはあったのですか?

タイの鉄道がいいよと、雑誌の編集さんに教えて頂いたんです。実際に行ってみると、古い車両もたくさん走っていて、自分が撮りたかったけれど撮れなかった世界がそこにあると思いました。とても居心地のよい場所でしたね。鉄道と、そこにいる人の写真を撮りたいと思うとアジアの方が撮りやすいと感じています。

−−米屋さんの鉄道写真は、列車そのものだけでなく、各地の人々の生活など、息づかいを感じられるものが多いですが、撮影に即して、カメラ、レンズの機材に求める性能はどんなことですか?

機材は、EOS 6Dに28mm、35mm、40mmなど単焦点レンズを付けることが多いんです。特にEF40mm F2.8 STMはとてもコンパクトでカメラに装着した状態でも上着の下などに隠せるくらいです。人の写真を撮るために、撮っていることを意識させないような、緊張感を与えないような機材を選ぶことが多いですね。望遠レンズではEF70-200mm F4L IS USMなども使っています。

タイムラグを感じさせない作動感。画質も文句なし

−−今回使って頂いているEOS 7D Mark IIで魅力的に感じられた部分をぜひ教えて下さい。

高速で走ってくる新幹線のような鉄道を撮る場合には、高速連続撮影10コマというのは素晴らしいと思います。

また、EOS 7D Mark IIはシャッターのタイムラグが少なく、シャッターボタンを押したらすぐ撮れるという感覚でした。シャッター音も静かで人を撮るにはとてもいいですね。

−−撮影時に主に使用する撮影モードやAFの設定を教えて下さい。

露出はマニュアルモードでコントロールしています。鉄道の撮影では、ヘッドライトで露出が変わるんです。それを調整しながら撮影しています。
鉄道の撮影の場合、1/1,000秒や1/2,000秒でも被写体ブレを起こすことがあります。やはりブレた写真はNGですからシャッタースピード側で露出を調整しています。

車両を中心に撮る場合、動きものでも撮影時は置きピンで撮ること多いんですが、その際にはワンショットAFに設定、迫ってくるものを撮り続ける場合にはAIサーボAFを使います。フルオートのAIサーボは65点自動選択ですが、ピント精度はとても高かったですね。S字カーブでの撮影でも、正面にほぼピントが来ていました。先頭車両部をセットすると、そのままずっと追従してくれ、正確性も高かったですね。

カーブで迫り来る列車を400mmで撮影。「ゾーンAF(ゾーン任意選択)」でエリアを右端に選択。「AIサーボAF」で追従させながら、10コマ/秒連写で撮影した。
キヤノン EOS 7D Mark II / EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM /400mm(640mm相当) / マニュアル露出(F9、1/1,250秒) / ISO400
AFはカメラ任せでも、フレーミングは任せることはできない。列車の先頭部分を気にするあまり、車体右がフレームアウトしている。
手持ちだとコマ間で構図のズレが出てしまう。周辺を意識しながらシャッターを切ると良い。この写真は画面右側が空いてしまっている。

ピクチャースタイルはスタンダードに設定していますが、ポートレートに設定することもあります。風景を入れて撮影するときにポートレートに設定すると、「風景」よりも派手さが抑えられ、きれいな色に写すことができますよ。

−−光学ファインダーは視野率が100%となっていますがいかがでしたか?

ファインダーはとても見やすいですね。水準器がファインダー内で見えるのも便利です。望遠レンズを使っているときにはどうしても傾いてしまいやすいので、ファインダーを覗きながら調整できるのはいいと思います。

−−操作ボタンのカスタマイズはされていますか?その内容を教えて下さい。

シャッターレリーズでAFが作動しないよう、親指AFを設定しています。押すとAFが動くようにしていますね。

AF-ONボタンにAF動作を設定。

−−APS-C機ですが、画質はどう感じましたか?

画質面はまったく問題ないと思います。色もよくて、パーフェクトです。高感度性能もISO1600くらいまでであれば分からないくらいでしたね。

−−メモリーカードはデュアルスロットになっています。どのように使い分けていますか?

撮影はRAW+JPEGで行うので、CFにRAW、SDにJPEGと振り分けて使っています。バックアップの意味でもデュアルスロットは便利だと思いますね。

−−EOS 7D Mark IIで鉄道写真を撮る際に便利だった機能があれば教えて下さい。

GPSが使えるのはとてもいいですね。撮影ポイントを明確にできますから、ONにしたままで撮影しています。特に海外ロケでは有効だと思います。

新緑萌える岩壁を背景にしたシチュエーション。光線状態は、ほぼ逆光でもクリアーに再現してくれる。また、ヘッドライトの強い光源でハレーションが発生することもなかった。
キヤノン EOS 7D Mark II / EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM /200mm(320mm相当) / マニュアル露出(F8、1/1,000秒) / ISO400

手持ちで超望遠撮影が可能に

−−EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMの描写についてはいかがでしたか?

開放F値を見て、暗いかな……と思いましたが、いまでは感度も上げられますし、使ってみて問題ありませんね。

周辺が流れることもなく、列車の車体などはカッチリとした写りだなと感じました。逆光のような条件でも写りに破綻はありません。天候の悪いときに撮影をしたのですが、防塵防滴ですので急な雨などにも対応でき、安心して使えるのはいいですよね。

100-400mmという望遠ズームでは、新幹線など被写体との間に電線などさまざまな障害物があるときでも、そういった物を抜いて撮影できるので重宝します。

長い貨物列車を線路際からテレ端400mmで切り取った1枚。望遠レンズの圧縮効果で連なる貨車のうねりを強調した。列車の中間に連結された機関車を画面左端に入れている。
キヤノン EOS 7D Mark II / EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM /400mm(640mm相当) / マニュアル露出(F8、1/800秒) / ISO400

しかも、EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMは手持ちで撮影できるのでいいですね。鉄道の撮影というと三脚をつけるイメージがあるかもしれませんが、EOS 7D Mark IIとEF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMの組み合わせはバランスもよく、手持ちで十分に撮影できます。

暗くても、ISO感度を上げられるカメラになっていますし、撮りたいシーンですぐに撮れるという機動力は素晴らしいと思います。

−−補正効果4段分の手ブレ補正は体感できましたか? また設定はどれにしていますか?

手ブレ補正については、とてもよく効くなという印象です。暗いなか、信号機の灯りだけでもブレずに撮影できましたし、感度を上げて開放での撮影でも十分対応してくれます。

手ブレ補正は、通常時にはモード1を、流し撮りの際にはモード2(流し撮り)に設定して撮影しました。

上海駅を出発する高速鉄道の列車を跨線橋の上から金網越しに撮影した。人通りが多い場所なので三脚は使用せず手持ち撮影。こんな条件では手ブレ補正機能がガッチリとサポートしてくれるので安心だ。
キヤノン EOS 7D Mark II / EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM /200mm(320mm相当) / マニュアル露出(F8、1/1,000秒) / ISO400

望遠レンズらしい圧縮効果を作品に生かす

−−これから鉄道の撮影をしてみたいという人のために、撮影シーンも含め、EOS 7D Mark IIとEF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMの組み合わせで得られるメリットなどを教えて下さい。

中国で200両以上も連なる貨物列車の撮影をしたのですが、圧縮効果でギュっと詰まった絵作りができました。望遠ズームとはいえ、隅々まで緻密な描写をしてくれます。

貨車210両編成、全長約2kmの列車を400mmの圧縮効果でギュッと縮めた。先頭の機関車は画面左隅になったが画面の隅々まで緻密な描写だ。
キヤノン EOS 7D Mark II / EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM /400mm(640mm相当) / マニュアル露出(F7.1、1/2,000秒) / ISO400
ワイド側の100mmに引いて、210両の全編成がSカーブに収まるアングルで撮影した。レンズのヌケが良く、雄大な風景を走る列車を詳細を記録してくれた。
キヤノン EOS 7D Mark II / EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM /100mm(160mm相当) / マニュアル露出(F7.1、1/2,000秒) / ISO400

100mmと400mmでは列車の動きによって構図も変わってきますから、回転式ズームで微調整しながら向こうからやってくる列車を撮ることもできますし、APS-C機では160-640mmという焦点距離域になりますから、被写体にグっと迫ることもできます。

EOS 7D Mark IIとEF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMの組み合わせでは、迫力のある躍動感あふれるシーンを撮影できると思います。望遠レンズならではの圧縮効果を活かした絵作りにはとてもいい組み合わせだと思いますね。

米屋こうじさんの主なEOS 7D Mark II設定例

設定項目 設定内容
画質(圧縮率) RAW+JPEGでの撮影も
ドライブモード 高速連続撮影
AFモード AIサーボAF、ワンショットAF
測距エリア選択モード 被写体により変更
AFカスタム設定ガイド機能 Case1
被写体追従特性 -2
速度変化に対する追従性 ノーマル
測距点乗り移り特性 ノーマル
ピクチャースタイル スタンダード、ポートレート
高感度時のノイズ低減 する
高輝度側・階調優先 標準
オートライティングオプティマイザ しない
周辺光量補正 する
色収差補正 する
歪曲収差補正 しない


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月刊誌「デジタルカメラマガジン」でも連携企画「Canon EF LENS 写真家7人のSEVEN SENSES」が連載中です。EFレンズを知り尽くした写真家によるレンズテクニックが収録されています。

笠井里香

出版社の編集者として、メカニカルカメラのムック編集、ライティング、『旅するカメラ(渡部さとる)』、『旅、ときどきライカ(稲垣徳文)』など、多数の書籍編集に携わる。2008年、出産と同時に独立。現在は、カメラ関連の雑誌、書籍、ウェブサイトを中心に編集、ライティング、撮影を務める。渡部さとる氏のworkshop2B/42期、平間至氏のフォトスタンダード/1期に参加。