デジカメドレスアップ主義:ネオクラシック・デジタル、最初の挑戦

富士フイルムFinePix X100
Reported by澤村徹

 FinePix X100は、大胆なまでにオールドスクールスタイルを取り入れたカメラだ。ドレスアップファンにとってありがたいことに、アクセサリーシューには外付けファインダーが装着でき、アダプターリング「AR-X100」を介せば好みのレンズフードが取り付けられる。往年のレンジファインダーカメラをモチーフに、クラカメ用アクセサリーで存分にスタイルチェンジが楽しめそうだ。今回はボディカラーのシルバーとブラックをテーマに、ふたつのスタイルを考えてみた。

  • ボディ:富士フイルムFinePix X100
  • ファインダー:ニコン 3.5cmファインダー
  • レンズフード:フォクトレンダー 310/47
  • ステップアップリング:マルミ 49-52mmステップアップリング
  • ステップアップリング:ケンコー OMリングセット52mm
  • ソフトレリーズ:Leicatime Concave solid stainless
  • ストラップ:weiche Brise ディケイドダイアスタッズ

 1例目はシルバーベースのドレスアップだ。シルバーのレンズフード、外付けファインダー、そしてソフトレリーズを組み合わせてみた。FinePix X100のシルバーはやや青みを帯びているが、今回用意したアイテムは特に違和感なくまとめることができた。もともとオールドスクールスタイルのカメラなので、クラカメ用アクセサリーであればどれもそつなく似合う。これはFinePix X100のアドバンテージといえるだろう。

シルバーボディのカメラは、やはりシルバーベースのアクセサリーがよく似合うLeicatimeのソフトレリーズボタンはeBayかメールオーダーで購入可能。価格は30ドル
ニコンS向けの35mmファインダーはそれなりに流通量がある。中古価格は1万円半ば程度だOMリングセット52mmの内側に半周ほどパーセルを貼り、フードを押し込む。完全にロックはできないが、実用可能な程度に固定できる

 ただし、見方を変えると、無難にまとまってしまったという点は否めない。このスタイルにクラカメ用の黒革ストラップを合わせてしまうと、ドレスアップというよりは、ごく普通のクラシックカメラに見えてしまう。そこで今回は、ストラップで遊び心を見せることにした。このweiche Briseのストラップは、クラッシュレザーを用いたアウトロースタイルが特徴的だ。ホワイトレザーの鏡面にひび割れを入れ、さらに裏革にブラックをあてがっている。本来白は清楚や純潔といったイメージだが、そこにひび割れとブラックという正反対の要素を加え、荒々しさを強調したデザインだ。FinePix X100に装着すると、タキシードにヘンリーネックシャツを合わせたような雰囲気がおもしろい。

weiche Briseのディケイドダイアスタッズはクラッシュレザーを使用。価格は7,665円クラッシュレザーにスタッズを打ち込んでいる。裏革が付いているので、使い心地がよい
スタッズはサビ加工が施してある。同社のストラップのなかでも特にハードなスタイルだ長さ調節用のバックルを2つ備えている。カメラへの取り付けは二重リング式だ


  • ボディ:富士フイルムFinePix X100
  • ファインダー:コダック レチナ35/80mmファインダー
  • レンズフード:ペンタコン 49mm径レンズフード
  • ソフトレリーズ:Leicatime Convex solid stainless
  • ストラップ:adequate ヴィンテージファブリックカメラストラップ

 2例目はブラックベースのドレスアップだ。FinePix X100はレザー調のブラックを採用している。ただし、このカラーリングは黒というよりも、ダークグレーと解釈した方がドレスアップしやすいだろう。試しにブラックペイントのフードやファインダーを合わせてみたところ、光沢感が目立って思いのほか組み合わせが難しい。そこでボディとテイストを合わせるために、縮緬塗装のフードとファインダーを選んでみた。黒の縮緬塗装は光沢感がやわらぎ、ダークグレーに近い見え方になる。ボディカラーとバランスがとれ、トータルコーディネイトしやすいはずだ。

コダックレチナの35/80mmファインダーは、7,000円程度。それなりに流通量のあるアイテムだドイツ製の角型メタルフードは3〜5千円程度。元々は一眼レフカメラ用レンズ向けのフードだ
シャッタースピードダイヤルにかぶさってしまうのが難点。Aモードにセットして使いたい標準レンズ用フードだが、ケラレなしで撮影できる。49mm径なので、AR-X100に直接ねじ込める

 ストラップは1例目と同様、個性の強いものを組み合わせてみた。adequateはビンテージレザーとビンテージファブリックを得意とする工房だ。今回選んだヴィンテージファブリックストラップは、1940〜1960年代のUS NAVY製ダッフルバッグをリメイクしている。昨今、ビンテージテイストを演出したストラップはよく見かけるが、adequateの製品はリアルビンテージという点が特徴だ。いわゆるリメイクものは少なからずぎこちなさが見え隠れするものの、同社はマテリアルの組み合わせ方が絶妙で、このままの姿で数十年の時を経たようなリアリティがある。高次元の本物志向は同ブランドならではのテイストだ。

ビンテージ風ではなく、リアルビンテージマテリアルを使用する。価格は1万2,800円肩当て部分は革を2枚仕込み、厚みとコシを出して実用面にも気を配っている
ステンシルは後から加えたものだが、かすれ具合といい褪せ具合といい、オリジナルと見間違うほどだ金具もビンテージものを組み合わせている。コンディションのよいものを厳選している


(さわむらてつ)1968年生まれ。法政大学経済学部卒業。ライター、写真家。デジカメドレスアップ、オールドレンズ撮影など、こだわり派向けのカメラホビーを提唱する。2008年より写真家活動を開始し、デジタル赤外線撮影による作品を発表。玄光社「オールドレンズ・ライフ」シリーズをはじめ、オールドレンズ関連書籍を多数執筆。http://metalmickey.jp

2011/4/11 00:00