インタビュー

サンディスクに聞く「UHS-II」エクストリームプロカードの実力

「世界最速のSDカード」をうたう「サンディスク エクストリーム プロ SDHC/SDXC UHS-IIカード」(以下、エクストリーム プロ UHS-II)を発表したサンディスク。発売は4月だが、カメラ関連展示会のCP+では、サンディスクもブースを設け、最新カードをアピールしていた。

Susan Park氏

 CP+にあわせて来日した米SanDisk Retail Product Marketing DirectorのSusan Park氏に、新しいUHS-IIカードについて話を聞いた。

――エクストリーム プロUHS-IIカードの優位点を教えて下さい。

 他社に比べてより高速な点でアドバンテージがあります。サンディスクブランドの信頼性もあり、ブランド力も優位点です。性能も優位点で、カードのコントローラーに独自のエンジンを搭載しており、それによる性能差で差別化をしています。(UHSスピードクラスの)「U3」に対応しているのもポイントです。

サンディスク エクストリーム プロ SDHC/SDXC UHS-IIカードのスペック。最大280MB/sの読み取り、最大250MB/sの書込速度を実現。容量は16~64GB。

 コントローラーは高性能・高速で、PCのプロセッサのようなものです。これが従来とは全く違います。これによって高速化できるようになっています。

 UHS-II規格では、従来の1列目のピンに加え、UHS-IIのために2列目のピンが追加され、高速化しています。これによって速度が3倍(UHS-IIの規格上の最大バス速度は312MB/s)に向上しています。この3倍高速化したというのは非常に重要なポイントで、SDカード市場で、これまでになかった可能性が出てくるポテンシャルを秘めています。4K動画の撮影などが一気に可能になります。

サンディスク エクストリーム プロSDXC/SDHC UHS-IIカード

――U3自体は、UHS-Iでも対応していましたが、UHS-IIで何か違いがあるんでしょうか。

 確かに、U3はUHS-Iでも対応していました。U3の規格は、最低限30MB/sの書込速度を保証する、というものです。例えば4K動画は、カメラメーカーがどういう機能を入れてくるかはわかりませんが、より圧縮率を低くしたり、より高画質にしたりするために、30MB/sよりも高速な次世代のスピードが必要になってきます。そこにクオリティの差が出てきます。

 そうした場合、30MB/sよりもさらにその先の高速化が望ましいと考えられるはずで、その中で、UHS-IIというカードによって、カメラメーカーがこの高速性をどう生かしてくるか、ということにかかっていると思います。

 UHS-IIに対応した初めてのカメラであるFUJIFILM X-T1で、エクストリームプロカードでテストしてみたところ、UHS-I対応カードとUHS-II対応カードでは、特に連写でより高速に書き込めました。

 記録モードRAW+JPEGで、より高解像度の写真を書き込む場合のように、高速性能がいかせる場面はほかにもあります。どういったカメラが、このスピードを生かした機能を搭載してくるか分かりませんが、この利点がUHS-Iとの差になります。

UHS-II規格では、最大312MB/sのバス速度まで対応できる。カード裏面のピンに下段が追加されている(写真はCP+2014のSD Associationブースのもの)
サンディスクのカードにおけるこれまでの速度と、UHS-II対応カードの速度差。

――サンディスクとして、高速化を生かした使い方、ユースケースなど、想定しているものはりますか?

 それはカメラメーカーにとって良い質問ですね(笑)。高速化を利用して、新しい使い方をメーカーが作っていって欲しい。写真家の中には、4K動画を撮影してそのフレームを使っている人もいます。つまり、4K動画は高速で高解像度の画像を撮っているということで、これまでにない活用ができるという可能性も出てくると思います。動画と写真、その間で活用の仕方は一つの方向性になると思います。可能性は大きいともうので、カメラメーカーにも色んなアイデアを出してもらえればと思います。

――今後のラインナップはどうなりますか? すべてUHS-IIに対応するのでしょうか。また、64GB以上の大容量化に関してはどうなりますか?

 市場の需要がある限り、UHS-IIのラインナップは拡張していきますが、今話せることはありません。

 大容量化に関しては、技術的な問題という言い方は悪いかもしれませんが、現在使用可能だったり調達可能だったりするメモリを含めて、技術的な範囲内である程度の制約があるので、それを踏まえてリリースがこの容量まで、と考えて下さい。

 ラインナップに関しては、ユーザーのタイプ、カメラのタイプで分けていきます。それぞれで必要とされるパフォーマンスがあるので、それに適したラインナップにします。例えばプロシリーズは高速性が要求されます。UHS-IIは、今後予想される新しいカメラへ対応したカードという位置づけです。

 単純にローエンドをUHS-Iにするとか、低価格にするとかではありません。細分化されたユーザーに応じて、全体のプロファイリングを行なっていきます。

――microSDカードに関してはどうですか?

 microSDカードは、SDカードの家族のようなものですし、microSDカードに関してもUHS-II規格はできています。市場動向やニーズ、要件、スマートフォンやタブレットを含めた全般的な市場の需要、そういったものを見極めた上で、今後の設計を行っていく予定です。

――UHS-II対応として、サンディスクでは最初の製品ですが、これまでのUHS-Iカードでアピールしていた信頼性に関しては、従来どおりでしょうか。

 全く心配ありません。正式にリリースしているということは、徹底的にテストをして、信頼性の確保も十二分に対応しています。エクストリームプロは、プロフェッショナルのお客様に使っていただく前提もあるので、徹底した信頼性の確保を行った上でリリースしています。プロのお客様も、信頼性に関しては心配する必要はありません。

――今、UHS-II対応カメラのない人が、UHS-IIカードを購入する意味はあるでしょうか。

 UHS-IIカードは、UHS-Iと上位互換なので、UHS-I対応カメラでも利用はできます。その場合、UHS-Iのエクストリームプロと同じ速度で書き込みはできます。UHS-IIカードは、PCへの転送速度も向上しますので、UHS-II対応メモリカードリーダーを使うことで、PCへのデータ転送速度が高速になり、全体のワークフローが高速化するのはメリットだと思います。

サンディスクが同時発売するUHS-II対応メモリカードリーダー

小山安博