写真展

第34回土門拳賞受賞作品展 下瀬信雄写真展「結界」

(ニコンサロン)

「結界」は仏教用語で、聖域を定めて結ぶ境界のことで、作者が自然に対する時のキーワードにした言葉である。古来我々日本人は多くの物に神が宿っていると考えてきた。人智を超える自然の力を感じるとそこに注連縄などを巡らせて結界地にしてきたのである。
実際に作者が撮影していても、むやみに自然に介入することはためらわれ、なによりその気持ちがどこから来るのか、我々と自然はどう関わって行けばよいのかを思索し続けたのがこのシリーズだという。
作者が写すものはごく身の回りのありふれた自然である。地方から一歩も出ることのない地味な写真家だが、その分ゆっくりと思索を巡らせることができたのだという。

毎年巡る季節にまた新しい発見があり、気がつけば20年余りの集積になった。その中から選んだ33点を展示する。そして自然から生まれた我々はまたそこから学ぶほかはないのだという思いを作者は新たにしている。

(写真展情報より)

会場・スケジュールなど

  • ・会場:銀座ニコンサロン
  • ・住所:東京都中央区銀座7-10-1STRATA GINZA(ストラータ ギンザ)1・2階
  • ・会期:2015年5月6日水曜日~2015年5月19日火曜日
  • ・時間:10時30分~18時30分(最終日は15時まで)
  • ・休館:会期中無休
  • ・入場:無料

  • ・会場:大阪ニコンサロン
  • ・住所:大阪市北区梅田2-2-2ヒルトンプラザウエスト・オフィスタワー13階
  • ・会期:2015年6月4日木曜日~2015年6月17日水曜日
  • ・時間:10時30分~18時30分(最終日は15時まで)
  • ・休館:会期中無休
  • ・入場:無料

作者プロフィール

1944年満州生まれ。67年東京綜合写真専門学校卒業。以後萩市で写真館を経営しながら、郷土の風土や暮らしに目を向けた独特の作風で作家活動をつづけている。80年杉道助記念・萩市芸術文化奨励賞受賞。86年山口県芸術文化振興奨励賞受賞。90年日本写真協会新人賞受賞。2004年山口県選奨受賞(芸術・文化・スポーツ功労)、05年伊奈信男賞受賞。09年第63回山口県美術展大賞受賞。

主な写真展に、77年「萩」、87年「凪のとき」、89年「風の中の日々」、96年「結界」、2005年「下瀬信雄の萩」「天地結界十年の歩み」、08年「国木田独歩没後100年記念特別番組・青春の置き土産」パネル展、13年「つきをゆびさす」などがあり、主な写真集・著書に、「萩・HAGI」(求龍堂)、「下瀬写真館の春夏秋冬」(エッセイ集・近代文藝社)、「萩の日々」(講談社)などがある。

(本誌:河野知佳)