写真展

山下晃伸写真展「moving still life」

(柴田悦子画廊)

この作品は暗闇の中で、その時の天候によるが数分~数十分を超える長時間の露光によって撮影されている。目で直視するだけでは見えない夜光ならではの世界が、カメラを通して、初めて現われてくる。夜光写真の魅力を引き出した作品である。

夜光による表現の世界は、人工照明の発達やカメラ及び写真に関わる技術の飛躍的な進歩により、これまでにない表現領域としての可能性を有している。夜光写真の撮影は周囲の光源の弱い状況下で、三脚の使用がなければほぼ不可能に近かった段階を経て、カメラの高性能化、ISO感度の高感度化などにより、大きな変化が生じている。特に三脚を用いた長時間露光による撮影では、どのような微弱な光源の下でも夜光写真の撮影が可能になり、そのことによって撮影する被写体も変化している。夜の屋外で撮影することが難しいとされる人物や動くものに対してストロボを用いない自然な撮影が可能となってきている。

今回、掲載した「moving still life」と名づけている作品の被写体は日本各地にある公園の中で特徴の強い怪獣の形になっている遊具やオブジェを選んでいる。この公園の遊具、オブジェは、インターネット上のブログやツイッターなどで公開されている口コミ情報を参考に、夜実際に足を運び、その撮影条件を見て被写体を決めている。

この被写体を、昼の光ではなく夜の光を使い撮影することでしか出ない表現や色合い、出来事を一つの形にすることを考え、被写体が公園のどこにあるか、街灯の数がどれだけあるのか、撮影に行く日の天候はどうなのかなどを全て見極め、写真に収めている。

この「moving still life」の作品の撮影は2007年から続けており、100ヶ所以上撮影した中から選出して展示をする。全国にはまだ私の知らない公園が多数あるので、時間をかけて撮影を続けていきたいと考えている。

(写真展情報より)

会場・スケジュールなど

  • ・会場:柴田悦子画廊
  • ・住所:東京都中央区銀座1-5-1第3太陽ビル2F
  • ・会期:2015年4月13日月曜日〜2015年4月19日日曜日
  • ・時間:12時〜19時(日曜日・祝日は18時)
  • ・休館:会期中無休

作者プロフィール


    1984年 生まれ
    2007年3月 東京工芸大学 芸術学部 写真学科 卒業
    2009年3月 東京工芸大学 大学院 芸術学研究科 博士前期課程 修了
    2013年3月 東京工芸大学 大学院 芸術学研究科 博士後期課程 修了
    博士号(芸術学)取得
    現在  写真家として活動中(株式会社AKYA代表取締役)
    就労継続支援B型施設「飛翔クラブ」写真撮影講師

    受賞歴
    2006年10月 フォックス・タルボット賞 第二席 受賞
    2007年10月 富士フォトサロン新人賞 2007 受賞
    2009年 3月 東京工芸大学 後援会長賞 受賞
    2010年 3月 エプサイトギャラリースポットライト対象展 選出 など

    展示歴
    2005年 「night urban district」アートスペース銀座ワン
    2006年 「follow」アートスペース銀座ワン
    2009年 「moving still life~公園の夜に見えたもの~」 Mott gallery 2F
    2010年 「moving still life~公園の夜に見えたもの~」 epsite ギャラリー
    「新宿」フレームマンギンザサロン
    「新宿」銀座・芹川画廊
    2012年 「夜光」フレームマンギンザサロン

    その他 多数参加経験あり

(本誌:河野知佳)