写真展告知

内藤明写真展「echo」

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レリーズの衝動。

途絶えぬ耳鳴りのなかで妙なる響きを捉える。

飛来していた光の粒が銀の粒子になるとき、

あの時以上に神経を沸き立たせる調べ。

長い間次なる響きを求め彷徨っている。

この繰返し。

(内藤明)

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銀塩写真において、フィルム上に形成される像とは、被写体に触れた光に他ならない。そして、ネガポジ法のプリントプロセスにおいては、そのフィルムを透過した光により印画紙上に像が現れる。印画を見る私たちに届く光は、かつてここではない場所で被写体に触れた光とどのような関係があるのだろうか。さまざまな物質に媒介されながら光を遠くへと届けようとすること。

写真の記録性とは、写真自体に深く刻まれた宿命だ。

内藤明は化学的な反応や、光学的な原理によって生成される銀塩写真の極めて即物的なあり方に深い造詣と探究心を持ち制作を行う。内藤の写真に焼きついた深い闇と眩しい光は、印画紙上の銀の粒子が束の間、見る者に呼び起こす幻視でもある。

しかし「いまこの場所で」が「かつてここでない場所で」になろうとも、たとえかつては触れることのできた笑顔が一枚の紙になろうとも、人はある瞬間を留めようとする。ある瞬間の忘却に抵抗しようと試みる。人の肉体よりもはるかに長い時間を耐えうる銀という物質、その輝きは人間が失うことのできないsentimentだろうか。

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会場・スケジュールなど

  • ・会場:Alt_Medium
  • ・住所:東京都新宿区下落合2-6-3堀内会館102
  • ・会期:2017年3月2日(木)~3月14日(火)
  • ・時間:12時~20時(最終日16時まで)
  • ・休館:水曜日
  • ・入場:無料

作者略歴

1948 東京都生まれ
1972 東京写真大学短期大学部写真技術科 卒業
1973 東京写真大学短期大学部研究生 修了
1985 東京工芸大学短期大学部 講師
2005 東京工芸大学芸術学部 教授
2008 東京工芸大学芸術学部長
2013 日本写真芸術学会 会長
2014 東京工芸大学 退職、東京工芸大学 名誉教授

過去の個展

2015 「in the wind」(スタイケントーキョー / 東京)
2014 「light」(スタイケントーキョー / 東京)
2006 「真昼」 (アートスペースモーター / 東京)
1979 「真昼時」 (新宿ニコンサロン / 東京)

受賞

2010 日本写真学会 功労賞

著書

2006 「デジタル写真の基礎」(共著/コロナ社)
2001 「ファインイメージングとディジタル写真」
    (日本写真学会出版委員会編 共著/コロナ社)
2000 「ディジタル写真入門」(共著/コロナ社)
1997 「デジタルスチルカメラの開発」
    (共著・監修/トリケップス)
1991 「実務者のためのカラー写真」(共著/共立出版社)
1984 「写真大辞典」(共著/講談社)
1977 「写真工業別冊 写真処方の特性と効果」(共著/写真工業出版社)

ほか