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「第37回世界の中古カメラ市」レポート

オールドレンズの珍品が多数並ぶ

「第37回世界の中古カメラ市」は2月18日(水)~2月23日(月)に東京・松屋銀座8階イベントスクエアにて開催。時間は10時~20時(最終日は17時30分閉場)

「第37回世界の中古カメラ市」が2月18日より来週月曜23日までの6日間、東京・松屋銀座8階イベントスクエアにて開催されている(10時~20時、最終日は17時30分閉場)。ここでは初日の様子をお伝えするとともに、筆者が独断と偏見でピックアップした、ミラーレスカメラで楽しめそうなレンズなどを紹介したい。

この中古カメラ市は、I.C.S.(Imported Camera Society=輸入カメラ協会)が主催する中古のカメラやレンズなどを即売するフェアだ。I.C.S.では、年3回中古カメラ市を開催。今回は2015年最初のもので、同協会に加盟する17店のカメラショップのほか、コシナなど協賛3社の合計20店が出店している。

中古のデジタル一眼レフをショーケースに並べるショップも多い。フラッグシップ機をはじめ手頃な値段で購入できる。そのほかミラーレスや高級コンパクトデジタルなどの中古も多数見受けられた。(アカサカカメラ)

筆者は初日午前11時半頃に会場を訪れたが、平日の午前中、しかも外は冷たい雨が降っているとは思えないほど多くのカメラ愛好家で熱く賑わっていた。I.C.S.代表で秀光社長の高井氏に、今回の中古カメラ市の様子をうかがったところ「いつも通り初日オープニングから多くのカメラ愛好家が訪れています」とのこと。

「昨日の17時半にはデパートの前にお客さまが並びはじめ、今朝9時半には250人を越すほどの行列になりました。そのため、これも毎度のことでもありますが、定刻よりも10分早い9時50分に開店しました」と語る。

松屋銀座は銀座交差点からほど近いところにある。日曜日は銀座通りが歩行者天国となるので、中古カメラ市をのぞいた後は、購入したカメラやレンズで撮影を楽しんでもよいだろう。

午後となって客の入りは比較的落ち着つきはじめたが、それでも熱心なカメラ愛好家でイベント会場はたいへんな賑わいだ。「円安の影響もあって海外からのバイヤーがさらに増えたように思えます。それが賑わいに拍車をかけているのでしょう」と高井氏が話すように、中国語や英語が日本語に混じってあちこちから飛び交っている。

「今回は特別企画として21日の土曜日に『理由ありセール』を開催します。ちょっとしたスレやキズのあるものなどが手頃な価格で手に入るかと思います。また、各ショップの常連さま向けとして、本イベント案内ハガキを持ってこられた方にお買い物券の当たる抽選会を実施します」と高井氏。恒例となった専用の用紙に入札価格を記入して行うサイレントオークションも土曜、日曜の両日に開催される。

マウントアダプターを取り扱うエレフォトも今回出店していた。中古市でレンズを手に入れ、さらにここでマウントアダプターを購入して、銀座の街に繰り出すのもありだ。(エレフォト)

この中古カメラ市は世界的に見ても他に類を見ないほど規模の大きなフェアであるという。そのためレンズをはじめ自分に合ったアイテムに出会える可能性も高い。

この週末、中古カメラに興味ある写真愛好家ばかりではく、そうでない人もぜひ足を運んでみてほしい。これまで知らなかったようなカメラやレンズと出会えるはずだ。

【注意】掲載した商品は、取材時のものです。すでに完売や予約済みになっている場合があることをご承知置きください。

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ミノルタAF85mm F1.4G
ミノルタαシリーズの大口径中望遠レンズ。製品名末尾のGは高級レンズである証し。写真のアイテムはフードのほか、元箱も付属。(ペンギンカメラ)
キヤノンミラーボックス+200mm F3.5
焦点距離が長くなるほど距離計の精度が低下するレンジファインダーの場合、望遠レンズはミラーボックスと組み合わせて使用するものも多い。写真の200mmF3.5もそのひとつで、正確なピント合わせが可能だ。(ペンギンカメラ)
キヤノン85mm F1.5
Lマウントの中望遠レンズである。開放絞りF1.5の場合、レンジファインダーではピントの厳しいこともあるが、ミラーレスでの使用なら正確なピント合わせができ、よりこのレンズの特性が楽しめる。ボケ味も気になる1本である。(アカサカカメラ)
ライカSUMMICRON 90mm F2
本レンズは珍しいLマウントの90mmズミクロン。ヘリコイドのローレット部をはじめ加工精度の高さは他のライカレンズ同様である。もちろんL→Mアダプターを介せば、Mマウントのカメラでも撮影は存分に楽しめる。(アカサカカメラ)
ニコンLENS SERIES E 50mm F1.8
輸出向けのニコンEM用として製造されたレンズである。筆者の知りうるかぎり国内販売はなかったと記憶する。絞りリングなど同じパンケーキのAiニッコール50mmF1.8と意匠が異なる。最短撮影距離は60cmとやや長め。(アカサカカメラ)
ニコンFisheye Nikkor 6mm F2.8
今回の中古市で注目の1本。資料などによると1972年頃に受注生産され、画角は220度。鏡筒の直径は236mmで質量は約5.2kgと超弩級のフィッシュアイレンズである。当時の販売価格は60万円だったという。(早田カメラ)
ライカElmar 50mm F3.5ニッケルショート
エルマーの最初期モデルは、その後のモデルにくらべ全長が短く、ショートエルマーなどと呼ばれる。本レンズもその一本だ。光学系の設計が全長の長いエルマーと異なるため、このような違いが生まれたとのこと。(早田カメラ)
ライカThambar 9cm F2.2
タンバールは、専用のフィルターによってレンズの中心に光を通さないようにし、収差の大きい周辺部のみで結像させることで独特のにじみやボケが得られるレンズ。フィルターを外したときのために、レンズには2つの絞り値が刻まれている。(新橋イチカメラ)
キヤノン19mm F3.5
1964年に発売の開始されたLマウント超広角レンズである。キヤノンのレンジファインダー用レンズとしては最も広い画角を持つ。後玉が飛び出ているので、ミラーレスに装着する際は注意が必要。写真の個体は専用のファインダーが付属。(新橋イチカメラ)
ライカVarob 5cm F3.5
ライカの引伸し用のレンズである。一説には光学系は同時代のエルマーと同じだといわれている。バロイをはじめとするライツの引伸し機だけでなく、国産引き伸ばし機にも使ってみたい。写真のアイテムにはケースが付属。(カメラのアルプス堂)
フォクトレンダーNOKTON 50mm F1.5
いわゆるオリジナル・ノクトンである。製造初年は1951年。名称の由来は、夜を意味する「Nokt」からだ。コシナ製NOKTON 50mm F1.5 AsphericalはMマウントであるのに対し、本家本元はLマウントとしている。(カメラのアルプス堂)
ニコンMacro-Nikkor 12cm F6.3
ベローズ専用のマクロレンズである。恐らくは産業用だったと思われる。ベローズに装着すると無限遠がでるため、アイデア次第では様々な撮影で楽しめそうだ。写真のアイテムにはFマウントアダプターBR-15が付属。(カメラのアルプス堂)
コニカM-HEXANON 50mm F1.2 Limited
2001年に限定2001本、コニカHEXAR RF Limitedとセットで発売された大口径レンズである。コシナ製NOKTON 50mm F1.1が登場するまで国産Mマウントレンズとして最高の明るさを誇った。写真のアイテムには専用フードなど付属。(フォトベルゼ)
アンジェニュー90mm F1.8 TYPE P1
フランスのアンジェニュー社から1950年代にリリースされたExaktaマウントの中望遠レンズ。光学系は4群5枚のエルノスタータイプを採用する。開放値での描写は、フレアがハイライトにかかり同社らしい美しいものである。(フォトベルゼ)
富士写真フイルムCristar 85mm F2 SAMPLE
Cristar銘のレンズであるだけでも珍しいが、鏡筒にSAMPLEの文字が刻まれる。恐らくはマスコミなどの写真関係者、あるいはカメラ店などに一時的に貸し出されたものであろう。フロントキャップに描かれたCristarの書体もオシャレ。(フォトベルゼ)
カールツァイスDistagon 25mm F2.8
コンタレックス用の広角レンズである。黒い鏡筒にシルバーのフォーカスリングはこの当時のカールツァイスレンズの証し。仕上げのよさも特筆すべきところだ。このレンズは後のY/Cマウントのディスタゴン25mm F2.8 AEに引き継がれていく。(千曲商会)
ローライQBMHFT Planar 85mm F1.4(3ピン)
ローライSL35/SL2000シリーズ用のレンズである。本レンズはPlanarの銘を冠するが、コーティングがT*ではなくローライ独自のHFTとする。絞り穴の形状をおむすび型とする3角絞りを採用しているのも本レンズの特徴だ。(千曲商会)
カールツァイスDistagon 15mm F3.5
ヤシカ/コンタックスマウントの超広角単焦点レンズである。製造初年は1975年。今から40年も前だが、この画角のレンズをつくりあげた事は驚きに値する。レンズ構成は12群13枚。UVをはじめとする4種類のフィルターを内蔵。(千曲商会)
ニコンGN Nikkor 45mm F2.8
テッサータイプのパンケーキレンズ。GNとは、絞りとフォーカスリングがストロボのガイドナンバーに連動する機構を備えることから。本レンズ自体はさほど珍しいものではないが、ピックアップしたレンズには、貴重なフードが付属する。(秀光)
コシナCOSINON 55mm F1.2
富岡光学の製造といわれるコシナの大口径標準レンズ。スクリューマウントゆえ開口部が狭く、しかも信号ピンを鏡筒内から出すために、後玉の一部は大胆にもカットされている。開放のとろけるような描写を味わいたい。(秀光)
ヤシカMLレフレックス500mm F8
ヤシカ/コンタックスマウントのミラーレンズ。このクラスのミラーレンズとしては一般的な焦点距離、開放値とする。マイクロフォーサーズでの使用では、焦点距離1,000mm相当となり、これまでにない未知の世界が楽しめる。(秀光)
ライカMR-TELYT-R 500mm F8
ライカで唯一のミラーレンズ。R用のレンズで、ミラーレンズとしては標準的な焦点距離500mm、開放値F8とする。最短撮影距離は4mと望遠マクロレンズとしても活用できそうに思える。製造初年は1970年代後半、日本製。(ラッキーカメラ店)
富士写真フイルムフジノン35mm F2
1954年、富士写真フイルムから発売された焦点距離35mmのLマウント広角レンズ。ライバルに先駆け、焦点距離35mmのレンズとしてF2の明るさを実現した。同社のLマウントレンズはタマ数が少ないので、気になったら即ゲットしたい。(ラッキーカメラ店)
ズノー光学工業ズノー13mm F1.1、ズノー38mm F1.1
中古市場では高価なものの多いズノーのレンズだが、よく探せばこんな手頃なものも。名玉50mm F1.1を連想させる開放値を持つが、実はダブル8用のDマウントレンズだ。ペンタックスQシリーズを持つユーザーは、必携のレンズである。(ラッキーカメラ店)
旭光学工業Super-Takumar 85mm F1.9
ローレットの仕上がりが美しい大口径中望遠レンズである。このスーパータクマーから完全自動絞りとなり、操作性が大きく向上した。同社は、当時カメラ、レンズとも高性能でありながら比較的安価であったため、大いに人気を博した。(ムサシ商会)
チノンAuto-CHINON 55mm F1.4
これも富岡光学製と見られるM42マウントのレンズである。モノコートだが、極端な逆光ではないかぎり描写的に不足はないだろう。新しいペンタックスのフルサイズモデルがリリースされれば、より一層見直されるはずだ。(ムサシ商会)
ペトリOrikkor 50mm F2
ペトリがリリースしたM42マウントのレンズである。1959年のペトリペンタに合わせてM42のオリコールシリーズ6本が発売された。本レンズはそのうちの1本。開絞りをF2と抑えたものであるが、立派なつくりの鏡筒を持つ。(ムサシ商会)
シュナイダー・クロイツナッハXenon 50mm F1.9
シュナイダーはカールツァイスと双璧を成すドイツの光学メーカー。かつて35mmカメラ用のレンズを多数展開しており、本レンズもそのような時代にリリースされたものである。レンズは半自動絞りで、フィルター径49mmとする。(ムサシ商会)
フェーズワンP40+645DF
デジタルバックと中判一眼レフ、そして交換レンズの組み合わせ。買ったその日から撮影が楽しめそうである。デジタルバックは扱いが難しいように思えるが、基本的にはデジタル一眼レフやミラーレスとほとんど変わることがない。(ナショナルフォート)
フェーズワンのデジタルバックがいくつも並ぶショーケース。まだまた高価だが、それでも新品の半値以下だ。このようなアイテムが見られるのも中古カメラ市の魅力。(フォトベルゼ)

(大浦タケシ)