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キヤノン、12コマ/秒・ISO204800のプロ向けフルサイズ機「EOS-1D X」

〜1D系と1Ds系を統合。AFシステムも刷新

 キヤノンは、35mm判相当サイズの撮像素子を搭載したプロ向けデジタル一眼レフカメラ「EOS-1D X」を2012年3月に発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は65万円前後の見込み。

EOS-1D X

 EOS-1D Xは、これまでの「EOS-1D」シリーズと「EOS-1Ds」シリーズを統合した新ラインのカメラ。2009年に発売した「EOS-1D Mark IV」と2007年に発売した「EOS-1Ds Mark III」の後継モデルで、EOSシリーズの新たなフラッグシップ機となる。

 同社のプロ向けデジタル一眼レフカメラはこれまで、報道やスポーツ分野に向けた連写性能優先タイプのEOS-1Dシリーズ(APS-Hサイズセンサー)とスタジオなどに向けた画素数優先タイプの「EOS-1Ds」シリーズ(35mmフルサイズセンサー)の2ラインで展開してきた。キヤノンは今回、EOS-1D Xでこれら2ラインを「1台2役が十分に可能」(同社)と判断し統合した。「従来以上の高画質と機動性を1台で達成した」(同社)とする。

 キヤノンでは、EOS-1D Xで報道およびスポーツ分野でのシェア拡大を目指す。加えて、広告、スタジオ、風景(動画を含む)においてもさらなる拡販を図るという。また、プロシューマー層にも訴求していく。

 EOS-1D Xの発売に伴い、「EOS-1D Mark IV」と「EOS-1Ds Mark III」の生産は終了する。

新方式のゴミ除去機能を採用

 撮像素子は、有効1,810万画素の35mmフルサイズ(約36×24mm)CMOSセンサー。EOS-1D Mark IV(有効1,610万画素)からは、撮像素子のサイズアップと画素数向上を実現した。一方EOS-1Ds Mark III(有効2,110万画素)からはセンサーサイズは同じだが、画素数が減少することになる。

有効1,810万画素の35mmフルサイズセンサーを採用 新方式のダストクリーニングユニット

 今回、センサー上で光を集めるマイクロレンズの隙間をなくすギャップレス化を実施。光を効率よくフォトダイオードに届けられるという。ダストクリーニングには新たに「搬送波方式」を採用。ローパスフィルター表面のフッ素コートと併せてゴミの除去率がアップしたという。

 感度は通常でISO100-51200になり、拡張時は最大ISO204800(H2)での撮影が可能。映像エンジンは新開発の「DIGIC 5+」を2機搭載したデュアル構成。これによりノイズ処理の能力も大幅に向上したとする。同社ではノイズ感のイメージ例として「“EOS-1D XのISO51200”≒“EOS-1D Mark IVのISO12800”」と説明している。

メイン基板。DIGIC 5+を2機搭載する

 従来の2機種にはなかった色収差補正機能(倍率、軸上含む)、多重露光機能、カメラ内RAW現像機能も搭載した。

 連写性能は約12コマ/秒。超高速連写撮影モードではAF、AE、絞り固定、JPEGのみ、ミラーアップという制限付きながら14コマ/秒で撮影できる。

 AFシステムも刷新した。測距点を61点、クロス測距点を最大41点(レンズにより異なる)に増やした。測距点の配置パターンもEOS-1D Mark IVなどとは異なる新タイプ。中央の5点(縦に5つ並ぶ)は縦横F5.6対応クロスセンサーに加えて、F2.8対応デュアルクロスセンサーを採用。いずれも斜めセンサーも搭載しており、ストライプや低コントラストといった被写体も捕捉可能だとする。

新開発のAFセンサー

 また、F4およびF5.6対応AFセンサーの基線長を長くすることでセンサー分解能を向上させた。これにより、F4対応測距が従来のF2.8対応測距と同レベルの合焦精度になったとしている。なお、EOS-1D Mark IVなどでは一部の開放F4レンズを除いて、開放F4と開放F5.6のレンズではクロス測距できなかったが、EOS-1D XではF4レンズで41点、F5.6レンズで21点のクロス測距が可能になった。

 加えて、測距点を配置したエリアもEOS-1D Mark IVの横15mmから横19mmに拡大した。最低輝度限界もEOS-1D Mark IVの-1EVから-2EVになった。

AFモジュール クイックリターンミラーに対する設置位置
測距点の配置 対応光束別の測距点位置

 さらに、被写体追従AFのための色移り検出を高精度化した。約10万画素のRGB AEセンサーとAE専用の画像処理エンジン(DIGIC 4)を新採用。被写体の色や顔を認識して被写体を自動追尾できるという。

AEセンサーモジュール
AE処理用としてDIGIC 4を搭載する

操作系も改善

 ボディのシルエットは従来モデルを踏襲しているが、操作系は大幅に変更した。

窪みのあるボタンが前面のマルチファンクションボタン

 シャッターボタン付近とマウント付近にマルチファンクションボタンを新設。任意の機能を割り当てることで、瞬時に呼び出せるとしている。

 背面にはライブビューとファインダー撮影を切替えるLVボタン、右手のみでカメラ設定ができるクイック設定ボタン、縦位置マルチコントローラーなどを配置した。また液晶モニター下には、再生、拡大、削除、プロテクトの各ボタンを配置。画像確認の一連の動作が左手で素早く行なえるとしている。

EF 50mm F1.4 USMの装着例
EF 50mm F1.2 L USMの装着例
EF 70-200mm F2.8 L IS II USMの装着例
EF 24mm F1.4 L II USMの装着例

 本体は引き続きマグネシウム合金製で、防塵防滴構造を採用。シャッターユニットは耐久40万回。従来モデルの2機種はともに30万回だった。液晶モニターはこれまでの4:3から3:2に変更した。サイズは3型で、解像度は104万ドットになっている。電子水準器も表示できる。

ボディはマグネシウム合金製
防塵防滴のためのシールド(赤線)を施した
ライブビュー画面に電子水準器を表示したところ シャッターユニット

記録はCFのみに

 記録メディアスロットはCFのデュアルスロットを採用した。EOS-1D Mark IVとEOS-1Ds Mark IIは、CFとSDHCメモリーカードのデュアルスロットだった。これはEOS-1D Mark IIの発売当時、SDメモリーカードの方が転送速度が速かったため。現在は、CFの転送速度がSDメモリーカードを凌ぐため、容量と信頼性に優れるというCF×2のスロットにした。なお、これまでサポートしていたMicrodriveは非対応になっている。

CFのデュアルスロットを採用

 CFスロットはUDMA Mode7やexFATに対応する。EOS-1D Mark IV同様、2つのスロットにおいて自動切り替え、振り分け、同一書き込みが可能。スロット間でのファイルコピーも行なえる。

 本体には、新たに有線LAN端子(Gigabit-Ethernet、IEEE802.3u)を搭載。DLNAにも対応する。HDMI端子も引き続き装備した。

本体側面には有線LAN端子などを装備する
LANの設定画面

 動画撮影機能「EOSムービー」では、新たにフレーム間圧縮を行なわない記録モード「ALL-I」が加わった。またフレーム間圧縮を利用する「IPB」モードも利用できる。いずれもコーデックはMPEG-4 AVC/H.264(MOV形式)。ALL-I記録は画質を維持しながら、1フレーム単位で編集を行なえるのがメリットだという。

 ビットレートは可変だが、1,920×1,080ピクセル 30/24fps時のIPB記録が約235MB/分(約31.3Mbps)、ALL-I記録時が約685MB/分(約91.3Mbps)。ALL-I記録時は30MB/秒以上、IPB記録時は10MB/秒以上の転送速度を持った記録メディアが必要だとしている。1,080×720ピクセル記録時は、最大60pの記録も可能となっている。

 動画記録はタイムコードに対応した。音声はリニアPCM形式。内蔵モノラルマイクを備えるほか、外部ステレオマイク用の端子も利用できる。録音レベルは記録中にも調整可能で、ウインドカット機能も搭載した。

動画にはタイムコードも記録できる
バッテリーは「LE-E4N」(1万7,850円、同梱) 充電器は「LC-E4N」(3万8,850円、同梱)
ストラップは「ワイドストラップL7」(2,100円、同梱) 同梱品
EOS-1D Xのシステムマップ

WFT-E6B

 EOS-1D X対応のワイヤレスファイルトランスミッター。発売は2012年3月下旬価格は6万3,000円。

WFT-E6B 装着例

 IEEE 802.11/b/g/nに対応する。複数のカメラを同期させて撮影する連動撮影機能や、複数のカメラを同期させるカメラ時計同期機能も備える。Bluetooth通信機能も利用可能。本体は防塵防滴設計。

GP-E1

 EOS-1D X対応のGPSユニット。発売は2012年4月。価格は2万6,250円。

GP-E1 装着例

 撮影時に画像に位置情報を付加できるユニット。ロガー機能は非搭載。電子コンパスやGPSの信号によるカメラの時刻合わせ機能を有する。防塵防滴設計。


EOS-1Ds Mark III、EOS-1D Mark IVとの比較
製品名 EOS-1D X EOS-1D Mark IV EOS-1Ds Mark III
発売年月 2012年3月 2009年12月 2007年11月
実勢価格(発売時) 65万円前後 57万円前後 90万円前後
撮像素子 タイプ CMOSセンサー
サイズ 35mmサイズ相当
(約36×24mm)
APS-Hサイズ相当
(27.9×18.6mm)
35mmサイズ相当
(約36×24mm)
有効画素数 1,810万 1,610万 2,110万
感度 通常 ISO100-51200 ISO100-12800 ISO100-1600
拡張設定時 ISO50-204800 ISO50-102400 ISO50-3200
ダスト対策 新方式+フッ素コート 従来方式+フッ素コート
ライブビュー
液晶モニター サイズ 3.2型(3:2) 3型(4:3)
ドット数 約104万 約92万 約23万
ファインダー タイプ ペンタプリズム
視野率 約100%
倍率 約0.76倍
アイポイント 20mm
位相差AF測距点 61点 45点
最高シャッター速度 1/8,000秒
連続撮影速度 約12コマ/秒 約10コマ/秒 約5コマ/秒
動画 最大解像度 1,920×1,080
フレームレート 30fps 24fps
圧縮コーデック H.264(MOV)
記録メディアスロット CF×2 CF×1
SDHC×1
バッテリー LP-E4N
LP-E4
LP-E4
本体サイズ 約158mm 約156mm
高さ 約163.6mm 約156.6mm 約159.6mm
奥行き 約82.7mm 約79.9mm 約79.9mm
質量 本体のみ 未定 約1,180g 約1,210g
記録メディア・
バッテリー含む
未定 約1,370g 約1,405g

【2011年10月18日】「EOS-1Ds Mark III、EOS-1D Mark IVとの比較」を追加しました。
【2011年10月18日】「EF 70-200mm F2.8 L USMの装着例」を「EF 70-200mm F2.8 L IS II USMの装着例」に修正しました。


(本誌:武石修)

2011/10/18 14:09