西華産業、レッドの次世代デジタルカメラを説明
西華産業は18日、「REDユーザーフェスティバル」を都内で開催した。会場には、来日した米レッドデジタルシネマ(RED Digital Cinema)社のTed Schilowitz氏が登場。次世代デジタルカメラ「SCARLET」(スカーレット)と「EPIC」(エピック)について最新の発売時期と価格などを説明した。
グリップを装着したEPIC | デジタル一眼レフカメラのように、片手で持つことができる |
SCARLETおよびEPICは、レッドデジタルシネマが「DSMC」と呼ぶコンセプトのデジタルカメラ。DSMCとはデジタル・スチル・アンド・モーション・カメラの略で、動画撮影のみならず静止画撮影にも対応するモデル。いずれも既に開発発表を行なっており2009年の発売を予告していたが、開発の遅れにより2010年以降のリリースになった。西華産業はレッドデジタルシネマ製品の国内総代理店を務めており、SCARLETとEPICについても発売次第取り扱うとしている。
ともに、カメラ機能の中核を成す「ブレイン」と呼ばれる本体に、グリップ、ファインダー、液晶モニター、記録メディアスロット(CF用)、入出力部、バッテリーモジュールなどのユニットを組み合わせて使用できるカメラシステム。
特に、シャッターボタンを備えたグリップを装着することで、デジタル一眼レフカメラに近いスタイルになり、手持ちでの撮影に対応する。なお、Schilowitz氏によると開発の状況により発売時期、価格、仕様は変更になる可能性もあるとしている。
Schilowitz氏は、「タイム」などの雑誌において表紙と同じ動画をWebなどで配信する必要があったことや、同じ製品のCMとポスターを同時に撮影するためにRED ONEが使われている事例をあげ、「RED ONEは(動画撮影用だが)核心に迫ればデジタルスチルカメラだ。ただ、RED ONEでは静止画のカメラを目指したつもりはなかった。ところが、デジタル一眼レフカメラに匹敵する画像が得られるため、ムービーとスチルを同時に撮っていた。これは大変興味のあること」と話し、次世代モデルの開発では静止画撮影にも注力したことを伺わせた。
Ted Schilowitz氏 | 発売済の4Kデジタルシネマカメラ「RED ONE」 |
著名な雑誌の表紙をRED ONEで撮影した事例を紹介した |
EPICは、スーパー35mmサイズ相当の5K撮像素子を搭載したモデル。スーパー35mmサイズは、ハイエンドデジタルシネマカメラの標準的なセンサーサイズで、APS-Cサイズよりやや小さい。レンズマウントは交換式でPLマウントのほか、キヤノンやニコンのレンズに対応したマウントを用意する。
EPICとSCARLETを「デジタル・スチル・アンド・モーション・カメラ」(DSMC)と説明 | EPIC |
EPIC |
EPICをベースに写真撮影向きの構成にした「TATTOO」(タトゥー)というモデルも用意する。タトゥーは2010年春の発売で、価格は2万8,000ドルという。この価格は同社のデジタルシネマカメラ「RED ONE」(RED ONE)ユーザー向けのもので、手持ちのRED ONEのセンサーを新型センサー「MXセンサー」にアップグレードする費用も含む。TATTOOオプションで今後発売するEVF「BOMB」なども装着できる。
デジタル一眼レフカメラのような外観のTATTOO |
なおEPICの量産を本格的に開始するのは2010年夏頃としており、その時期には、手持ちのRED ONEとの交換でEPICを販売するメニューも用意する。価格は1万500ドルとしている。
EPICはモジュール式のため必要に応じてさまざまなオプションを装着できる | デジタル一眼レフカメラのようにホールドできる点をアピールしていた |
RED ONEと比較して小型な点も強調 | レンズマウントは交換式 |
各種のレンズマウントを用意する | レッドデジタルシネマでは、35mmフルサイズ対応のレンズもラインナップするという |
今後、高精度なEVFである「BOMB」やタッチスクリーンの外付け液晶モニターも発売する | 液晶モニターの表示例。タッチした被写体を追尾するAF機能も備えるという |
バッテリーおよび入出力モジュール | カメラの操作を行なうコントローラー |
フォーカスなどをダイヤルで操作可能になる「レッドモートプロ」の発売も予告 | さまざまなオプションを装着したところ |
なおEPICは製造段階をいくつかのステージに分けて、時期をずらしながら展開していくとしている。
一方、SCARLETは撮像素子に2/3型のセンサーを使用したモデル。EPICの廉価版という位置づけになる。解像度は3Kとなる。2010年5~6月の発売を目標に開発しているという。
レンズは8倍ズームを固定したタイプのほか、PLマウント、EFマウント、Fマウントなどのモデルを用意する。価格は、ブレインのみで2,750ドル、固定レンズ、CFモジュール、タッチスクリーン液晶モニター、バッテリーなどを含むフルキットで4,750ドルを予定。
2/3型で3KとなるSCARLET |
既存のデジタル一眼レフカメラより小型な点をアピール | 2/3型の交換レンズもラインナップする |
SCARLETに対応する各モジュールやアクセサリーは、EPICと互換性を持つ。動画撮影モードとは別に、独立した静止画撮影モードも備える。静止画でもREDCODE形式のRAW記録に対応する。HDRの静止画撮影機能も備えるという。RED ONEは起動に1分程度かかるというが、SCARLETはほぼ瞬間的に起動できるとしている。
■35mmフルサイズや中判センサーを搭載したモデルを1年後にリリース
レッドデジタルシネマでは、従来から35mmフルサイズセンサーや中判センサー搭載モデルについて、これまで度々アナウンスしてきた。Schilowitz氏は、「将来的にこれで十分などということは、私たちの辞書にはない。どんどん前進していく」と話し、今後のロードマップについて改めて説明した。
FF35(35mmフルサイズ)と645サイズのセンサーを搭載したモデルを今後発売する |
まず、35mmフルサイズセンサーを搭載した6kモデルを1年後にリリースするという。画素数は約2,400万画素で、13段のダイナミックレンジを持つ。目標価格は3万3,000ドルとしている。動画撮影時には、6Kで最大100fpsのハイスピード撮影も可能。撮影時のアスペクト比を可変する機能も備える。
併せて、645サイズの撮像素子を搭載した9Kモデルも発売する。画素数は約6,500万画素。目標価格は4万3、000ドル。レッドマウントのほかマミヤをはじめとする各中判カメラ用のレンズが装着可能。9Kで最大50fpsの動画を撮影できる。
画素数が2億6,100万画素になる28Kカメラ「EPIC 617 PRO」も紹介 | パノラマカメラを思わせる外観になるようだ |
さらに、レッドデジタルシネマでは“6×17cm”という巨大撮像素子を搭載した28Kカメラ「EPIC 617 PRO」も予告している。画素数は約2億6,100万画素に達する。価格は5万3,000ドルを想定する。レンズはレッドマウントレンズのほか、リンホフとアルパのレンズが使用できる。Schilowitz氏はEPIC 617 PROの開発に「あと1年ほどかかるだろう」とした。なお、こうした超高解像度カメラは現段階では動画での需要が少ないため、西華産業ではスチル撮影分野に向けた製品と説明している。
「EPIC 617 PRO」の現時点での仕様 | センサーサイズの比較。上から2/3、RED ONE、スーパー35mm相当、35mmフルサイズ相当、645サイズ相当、6×17cm相当 |
2009/12/24 18:24