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【伊達淳一のデジタルでいこう!】富士フイルムFinePix F200EXR

〜「F31fd」の高感度と「F100fd」の高解像度を兼ね備えた期待の星
Reported by 伊達淳一

FinePix F200EXR
 富士フイルムのコンパクトデジタルカメラ「FinePix F200EXR」が発売された。撮像素子は、新開発の1/1.6型スーパーCCDハニカムEXRで、“高解像度”、“高感度”、“広ダイナミックレンジ”に対応する3つのモードを撮影シーンに応じてダイナミックに切り替えることができるのが特徴だ。明るいところでは細かい部分まで緻密に再現できる“高解像度”を活かし、暗い場所では“高感度”を活かしてできるだけ明るくキレイ(低ノイズ)に写す。そして、明暗差の大きいシーンでは、“広ダイナミックレンジ”により、白飛びや黒つぶれを抑えた写真が撮れる、というわけだ。

 その秘密は、カラーフィルターの配列にある。スーパーCCDハニカムEXRは、隣り合った斜めの画素に同色系のフィルターが並んでいて、近い距離で画素を混合できる。つまり、画素混合により“高感度”を実現しているわけだが、従来のフィルター配列では、同じ色の画素と画素の間に別の色の画素があり、離れた位置の画素を混合することになるので、画素混合すると、偽色やジャギーが目立ってしまう。ところが、スーパーCCDハニカムEXRは、同色の画素が斜め方向に隣り合っているので、画素混合を行っても偽色が発生しにくいのがメリットだ。


EXR優先では、HR(解像度優先)、SN(低ノイズ優先)、DR(ダイナミックレンジ優先)を選択できる(発表会資料から)
 また、スーパーCCDハニカムEXRは、斜め方向に隣り合った同色系の画素を、A面、B面の2種類のレイヤーに分けて独立制御できるのも特徴で、A面、B面の露出を独立して制御し、個別に読み出すことで、A面は高感度、B面は低感度のデータを得ることができる。これらを合成することで、広ダイナミックレンジを実現しているというわけだ。

 当然のことながら、高解像度と高感度、そして広ダイナミックレンジを“同時”に実現しているわけではなく、撮影シーンや被写体によって、高解像度、高感度、広ダイナミックレンジの“どれを重視するかを1つだけ”選び、撮影モードを切り替える必要がある。残念ながら、天は二物、いや三物を与えるほど甘くはない、のである。


斜め方向の画像混合でノイズ低減を図った(同) 画素をA面、B面の2種類に分けて制御することで、広いダイナミックレンジを実現した(同)

 撮影シーンや被写体に応じて撮影モードを切り替える必要があるなんて面倒、と思うかもしれないが、その点は安心だ。FinePix F200EXRにはいくつかの撮影モードが搭載されているが、スーパーCCDハニカムEXRの特徴を最大限に引き出せるのが「EXRモード」で、高解像度優先の[HR]、高感度低ノイズ優先の[SN]、ダイナミックレンジ優先の[DR]の3つのモードほか、撮影シーンに応じてカメラが自動的にモードを切り替えてくれる[EXRオート]というモードが備わっている。つまり、撮影モードを[EXRオート]にセットしておけば、後はカメラが自動的に高解像度、高感度、広ダイナミックレンジのどれを優先するか自動的に選んでくれるので、いちいち撮影モードを切り替える必要はない。

 ただ、選択されるEXRモードによって最大記録画素数は変化する。FinePix F200EXRの有効画素数は1,200万画素で、高解像度優先の[HR]モードでは画像サイズ[12M]で記録できるのに対し、高感度優先の[SN]とダイナミックレンジ優先の[DR]モードでは、画素混合を行うので画素数が半分になり、画像サイズは[6M]になってしまう。当然といえば当然の話だが、慣れないとちょっと戸惑うかもしれないところだ。

 それと、[EXRオート]時には露出補正が行えない仕様になっていて、露出補正をしたいときには、[HR]、[SN]、[DR]のいずれかに撮影モードを変更する必要があるのはちょっと不便。また、[SN]、[DR]モードで画像サイズを設定した場合、[HR]モードに切り替えても、その設定が引き継がれてしまうというのも、吉森氏のレポートにあったとおりだが、[HR]モードで画像サイズを[12M]に設定しておけば、[SN]、[DR]モードでは[6M]の設定になるが、[HR]モードが選択されるとちゃんと[12M]の設定に戻る。つまり、画像サイズの設定をいじらなければ、常に各モードの最大記録画素数で記録できるので、特に不便に感じることはないと思う。

 さて、FinePix F200EXRでもっとも気になるのは、その「画質」だ。「FinePix F31fd」の“高感度画質”と、「FinePix F100fd」の“高解像度”を超えているかかどうかに注目が集まっている。そこで、F31fdとF100fd、F200EXRの3機種で、高解像度、高感度、広ダイナミックレンジのそれぞれを比較してみた。


※作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。


高解像度優先

 F31fdとF200EXRの[SN]、[DR]モードは[6M(600万画素)]、F100fdとF200EXRの[HR]モードでは[12M(1,200万画素)]となるが、それ以前の問題として、F31fdのレンズはワイド端で36mm相当の画角しか得られないのに対し、F100fdやF200EXRは28mm相当の画角をカバーできる。

 そのため、各機種のワイド端で撮影すると、F31fdのほうが写る範囲が狭く、その分、被写体が大きく写ってしまうので、公平な細部描写力の比較は行なえない。ただ、どれだけ広角に写せるかもカメラの性能の1つではあるので、各機種のワイド端で撮影したカットと、できるだけ画角を揃えて撮影したカットの両方をお見せしよう。


●広角端で撮影

・FinePix F200EXR


FinePix F200EXR / 4,000×3,000 / 1/160秒 / F9 / 0EV / ISO100 / EXR(HR) / WB:オート / 6.4mm
FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/150秒 / F9 / 0EV / ISO100 / EXR(SN) / WB:オート / 6.4mm

FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/300秒 / F9 / 0EV / ISO200 / EXR(DR:800%) / WB:オート / 6.4mm


・FinePix F100fd


FinePix F100fd / 4,000×3,000 / 1/150秒 / F9 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 6.4mm


・FinePix F31fd


FinePix F31fd / 2,848×2,136 / 1/480秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 8mm


 28mm相当と36mm相当の画角の差は大きく、画質うんぬん以前に、ワイド端の画角不足でF31fdの魅力度は半減してしまう。室内でのスナップや風景写真では、やはり28mm相当の画角は最低限カバーしていてほしいと思う。


●36mm相当に画角を揃えて撮影

・FinePix F200EXR


FinePix F200EXR / 4,000×3,000 / 1/170秒 / F10 / 0EV / ISO100 / EXR(HR) / WB:オート / 8.1mm FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/160秒 / F10 / 0EV / ISO100 / EXR(SR) / WB:オート / 8.1mm FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/340秒 / F10 / 0EV / ISO200 / EXR(DR:800%) / WB:オート / 8.1mm

・FinePix F100fd


FinePix F100fd / 4,000×3,000 / 1/180秒 / F10 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 8.1mm

・FinePix F31fd


FinePix F31fd / 2,848×2,136 / 1/800秒 / F6.4 / 0EV / ISO200 / プログラム / WB:オート / 8mm


 F100fd、F200EXRのズームは無段階には動作しないので、まったく同じというわけにはいかないが、できるだけF31fdのワイド端の画角に近づけて撮影している。さすがに[12M]と[6M]の画素数の差は歴然としていて、F100fdやF200EXRの[HR]モードのほうが高層ビル群の細部や樹木の枝や葉っぱまで緻密に再現されている。また、同じ1,200万画素でも1/2.3型クラスのCCDを採用した機種よりもキレが良く、樹木の細い枝がにじんだり溶け込むこともなく、しっかり画素数に見合った細部描写力が得られている。

 F100fdとF200EXRの[HR]モードを比較してみると、画面左端のビル屋上のフェンスの描写が異なっていることに気づく。F200EXRのほうが雷紋状のモアレが出ているが、これがわずかなカメラの傾きの違いによるものか、画像処理によるものか、それともスーパーCCDハニカムEXRの特殊なフィルター配列によるものかは不明。ただ、それ以外の箇所ではF100fdとほとんど同じか、わずかに解像感は高く、F100fdと同等以上の細部描写力を備えていることを確認できた。

 一方、[6M]での記録となるF200EXRの[SN]、[DR]モードと、F31fdの描写を比較してみると、F31fdはビルの輪郭に青紫のにじみが生じていて、細部の描写もF200EXRに比べるとわずかに見劣りがする。記録画素数を[6M]に落とした場合でも、低感度の画質はF200EXRのほうが上だ。


高感度

 個人的な判断基準になるが、F31fdはISO400までが常用範囲だったのに対し、F100fdの常用範囲はISO200までで、ISO400を超えるとノイズリダクションの弊害で細部の描写が甘くなってくる。つまり、F200EXRの[SN]モードの画質が、F31fdのISO400の画質を超えていれば、F31fdの真の後継機たる資格があるわけだ。

 まず、[12M]で記録するF200EXRの[HR]モードとF100fdのISO400の画質を比較してみると、F200EXRのほうが少しノイズが目立つ気もするが、カラーノイズは少なく、解像感もわずかながら上だ。ISO800になるとこの傾向はさらに顕著になり、輝度ノイズは多少目立つものの、カラーノイズは少なく、解像感の低下も少ない。高感度に強い[SN]モードを得たことで、おそらく、F100fdよりも輝度ノイズリダクションを弱めにしているものと思われる。

 ちなみに、F200EXRの[EXR]モードで設定できる感度は、[EXRオート]はAUTOのみ、[HR]モードはISO100〜800、[SN]モードはISO100〜1600とAUTO(400、800、1600)、[DR]モードはAUTO(400、800、1600)。また、撮影モードダイヤルを[P]もしくは[M]ポジションにした場合にはISO100〜12800まで感度を設定できるが、ISO6400時は画像サイズが[M]、ISO12800時には[S]となる仕様となっている。F31fdに対抗できる高感度画質が期待できるのは、画素混合を行なう[EXR]モードの[SN]モードだ。


●FinePix F200EXR

・プログラム


FinePix F200EXR / 4,000×3,000 / 1/5秒 / F4.5 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 20mm FinePix F200EXR / 4,000×3,000 / 1/10秒 / F4.5 / 0EV / ISO200 / プログラム / WB:オート / 20mm FinePix F200EXR / 4,000×3,000 / 1/20秒 / F4.5 / 0EV / ISO400 / プログラム / WB:オート / 20mm


FinePix F200EXR / 4,000×3,000 / 1/40秒 / F4.5 / 0EV / ISO800 / プログラム / WB:オート / 20mm

FinePix F200EXR / 4,000×3,000 / 1/80秒 / F4.5 / 0EV / ISO1600 / プログラム / WB:オート / 20mm

FinePix F200EXR / 4,000×3,000 / 1/160秒 / F4.5 / 0EV / ISO3200 / プログラム / WB:オート / 20mm


FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/320秒 / F4.5 / 0EV / ISO6400 / プログラム / WB:オート / 20mm

FinePix F200EXR / 2,048×1,536 / 1/80秒 / F13 / 0EV / ISO12800 / プログラム / WB:オート / 20mm


・HR(高解像度優先)


FinePix F200EXR / 4,000×3,000 / 1/5秒 / F4.5 / 0EV / ISO100 / EXR(HR) / WB:オート / 20mm

FinePix F200EXR / 4,000×3,000 / 1/10秒 / F4.5 / 0EV / ISO200 / EXR(HR) / WB:オート / 20mm

FinePix F200EXR / 4,000×3,000 / 1/20秒 / F4.5 / 0EV / ISO400 / EXR(HR) / WB:オート / 20mm


FinePix F200EXR / 4,000×3,000 / 1/40秒 / F4.5 / 0EV / ISO800 / EXR(HR) / WB:オート / 20mm


●FinePix F100fd


FinePix F100fd / 4,000×3,000 / 1/5秒 / F4.5 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 20mm

FinePix F100fd / 4,000×3,000 / 1/10秒 / F4.5 / 0EV / ISO200 / プログラム / WB:オート / 20mm

FinePix F100fd / 4,000×3,000 / 1/20秒 / F4.5 / 0EV / ISO400 / プログラム / WB:オート / 20mm


FinePix F100fd / 4,000×3,000 / 1/40秒 / F4.5 / 0EV / ISO800 / プログラム / WB:オート / 20mm FinePix F100fd / 4,000×3,000 / 1/80秒 / F4.5 / 0EV / ISO1600 / プログラム / WB:オート / 20mm FinePix F100fd / 4,000×3,000 / 1/160秒 / F4.5 / 0EV / ISO3200 / プログラム / WB:オート / 20mm

 というわけで、次はF200EXRの[SN]、[DR]モードとF31fdの画質を比較してみよう。参考までにF100fdの記録画素数を[6M]に落として撮影したものも加えている。これは、画素数を半分に落として記録することで、相対的にノイズやキレの甘さが目立たなくなることを期待してのことだ。


●FinePix F200EXR

・SN(低ノイズ優先)


FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/5秒 / F4.5 / 0EV / ISO100 / EXR(SN) / WB:オート / 20mm

FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/10秒 / F4.5 / 0EV / ISO200 / EXR(SN) / WB:オート / 20mm

FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/20秒 / F4.5 / 0EV / ISO400 / EXR(SN) / WB:オート / 20mm


FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/40秒 / F4.5 / 0EV / ISO800 / EXR(SN) / WB:オート / 20mm FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/85秒 / F4.5 / 0EV / ISO1600 / EXR(SN) / WB:オート / 20mm

・DR(ダイナミックレンジ優先)


FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/20秒 / F4.5 / 0EV / ISO400 / EXR(DR) / WB:オート / 20mm

FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/42秒 / F4.5 / 0EV / ISO800 / EXR(DR) / WB:オート / 20mm

FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/85秒 / F4.5 / 0EV / ISO1600 / EXR(DR) / WB:オート / 20mm


●FinePix F31fd


FinePix F31fd / 2,848×2,136 / 1/5秒 / F4.7 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 20.1mm

FinePix F31fd / 2,848×2,136 / 1/10秒 / F4.7 / 0EV / ISO200 / プログラム / WB:オート / 20.1mm

FinePix F31fd / 2,848×2,136 / 1/20秒 / F4.7 / 0EV / ISO400 / プログラム / WB:オート / 20.1mm


FinePix F31fd / 2,848×2,136 / 1/40秒 / F4.7 / 0EV / ISO800 / プログラム / WB:オート / 20.1mm

FinePix F31fd / 2,848×2,136 / 1/85秒 / F4.7 / 0EV / ISO1600 / プログラム / WB:オート / 20.1mm

FinePix F31fd / 2,848×2,136 / 1/160秒 / F4.7 / 0EV / ISO3200 / プログラム / WB:オート / 20.1mm


●FinePix F100fd(600万画素相当で記録)


FinePix F100fd / 2,848×2,136 / 1/5秒 / F4.5 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 20mm

FinePix F100fd / 2,848×2,136 / 1/10秒 / F4.5 / 0EV / ISO200 / プログラム / WB:オート / 20mm

FinePix F100fd / 2,848×2,136 / 1/20秒 / F4.5 / 0EV / ISO400 / プログラム / WB:オート / 20mm


FinePix F100fd / 2,848×2,136 / 1/40秒 / F4.5 / 0EV / ISO800 / プログラム / WB:オート / 20mm

FinePix F100fd / 2,848×2,136 / 1/80秒 / F4.5 / 0EV / ISO1600 / プログラム / WB:オート / 20mm

FinePix F100fd / 2,848×2,136 / 1/160秒 / F4.5 / 0EV / ISO3200 / プログラム / WB:オート / 20mm


FinePix F100fd / 2,048×1,536 / 1/320秒 / F4.5 / 0EV / ISO6400 / プログラム / WB:オート / 20mm

FinePix F100fd / 2,048×1,536 / 1/640秒 / F4.5 / 0EV / ISO12800 / プログラム / WB:オート / 20mm


 まずはISO400の描写を比較してみよう。F31fdで撮影したカットはやや緑かぶりの傾向があるが、背景のグレーバックを見るとノイズはもっとも目立ちにくい。意外(?)にもF100fdの[6M]記録も健闘していて、[12M]記録では気になっていた細部の甘さが[6M]記録ではほとんど感じられず、F31fdのISO400の描写に十分並んでいる。レンズ性能を加味すると、F100fd[6M記録]のISO400のほうがすでに上回っていると言っても過言ではないだろう。

 一方、注目のF200EXRの[SN]モードだが、このようなシーンでは[DR]モードとほとんど描写の違いは現れておらず、F31fdやF100fdの[6M]記録と比べてみても、ノイズはむしろ目立っている。ただし、F200EXRのほうが細部の情報がしっかり溶けずに残っていて、人形の布目がクッキリと再現されている。

 ISO800になるとこの傾向がよりハッキリとしてきて、F200EXRの[DR]モードのほうがF31fdやF100fdの[6M]記録よりもノイズは目立つものの、細部の情報が損なわれずにしっかりと描写されている。高感度が自慢のF31fdもISO800になると、ノイズリダクションによる解像感の喪失が大きく、ノイズは少ないがモヤッとした不快な描写になっているが、F200EXRの[SN]モードではこうした不快さはない。ISO800になると、[DR]モードよりもわずかではあるが、ノイズレベルも低く抑えられているようだ。

 ISO1600では、3機種とももはや常用したいとは思わない画質で、特にF100fdの[6M]記録は細部の描写がかなり喪失気味。その点、F31fdはこうした細部の喪失が少なく、高感度に強いという定評を裏付けている。これとほぼ並ぶのがF200EXRの[SN]モードで、ノイズはF31fdよりも目立つものの、細部の描写はしっかり残っている。高感度画質でF31fdを超えた、とまでは言えないかもしれないが、少なくとも“並んだ”と言えるのではないだろうか?


ダイナミックレンジ

 最近のデジタルカメラは、局所的に階調をコントロールすることで白飛び、黒つぶれを抑制する機能を搭載した機種が増えてきているが、富士フイルムのダイナミックレンジ拡大機能は、主としてハイライトの白飛び限界を高めるものだ。

 F100fdでは、露出を切り詰め(露出アンダーに撮影し)、信号処理でシャドー部を持ち上げることでハイライトの白飛び限界を高めているので、ダイナミックレンジを拡大すると、最低感度も高くなる制約がある。具体的には、ダイナミックレンジを200%に設定すると最低感度はISO200、400%にするとISO400になり、ダイナミックレンジを拡大するほどシャドー部の階調も荒れてくる。

 また、「FinePix F710」や「Fine Pix S5Pro」は、画素が大きく高感度のS画素と、画素が小さくダイナミックレンジが広いR画素を一対にしたダブル画素構造のスーパーCCDハニカムで、適正露出と露出アンダーの2種類の画像を同時に撮影し、信号処理で2枚の画像を合成することで、ハイライトの白飛びを抑えている。これに対して、スーパーCCDハニカムEXRは、A面、B面の2つのレイヤーを独立して露出制御することで、露光量の異なる2つの画像を得ているという違いがあり、最大で800%までダイナミックレンジを拡大できるのが特徴だ。

 ただし、F200EXRのダイナミックレンジ拡大は2種類あり、EXRモードの[DR]モードは、A面、B面の2つのレイヤーを独立して露出制御して白飛びを抑えているが、撮影モードダイヤルが[P]または[M]ポジションでは、露出アンダーに撮影し、信号処理でシャドー部を持ち上げるという100fd方式のダイナミックレンジ拡大が行われる。

 2種類のダイナミックレンジ拡大が混在しているのでちょっと混乱してしまうが、スーパーCCDハニカムEXRならではのダイナミックレンジ拡大が得られるのは、[EXR]モードの[DR]もしくは[EXRオート]で[DR]が選択されたときだ。


●FinePix F200EXR

・DR(ダイナミックレンジ優先)


100%
FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/58秒 / F3.9 / 0EV / ISO400 / EXR(DR:100%) / WB:オート / 11mm

200%
FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/58秒 / F3.9 / 0EV / ISO400 / EXR(DR:200%) / WB:オート / 11mm
400%
FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/58秒 / F3.9 / 0EV / ISO400 / EXR(DR:400%) / WB:オート / 11mm


800%
FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/28秒 / F3.9 / 0EV / ISO200 / EXR(DR:800%) / WB:オート / 11mm

・プログラム


100%
FinePix F200EXR / 4,000×3,000 / 1/15秒 / F3.9 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 11mm
200%
FinePix F200EXR / 4,000×3,000 / 1/28秒 / F3.9 / 0EV / ISO200 / プログラム / WB:オート / 11mm
400%
FinePix F200EXR / 4,000×3,000 / 1/58秒 / F3.9 / 0EV / ISO400 / プログラム / WB:オート / 11mm

●FinePix F100fd


100%
FinePix F100fd / 4,000×3,000 / 1/15秒 / F3.9 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 11mm
200%
FinePix F100fd / 4,000×3,000 / 1/28秒 / F3.9 / 0EV / ISO200 / プログラム / WB:オート / 11mm
400%
FinePix F100fd / 4,000×3,000 / 1/58秒 / F3.9 / 0EV / ISO400 / プログラム / WB:オート / 11mm

●FinePix F31fd


FinePix F31fd / 2,848×2,136 / 1/20秒 / F3.4 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 12.2mm


 ダイナミックレンジが400%、800%というと、ものすごくダイナミックレンジが広い印象を受けるが、実際の効果は“これまでちょっと白飛びしていた部分の階調が残る”という程度。白い服のディテールが白飛びで失われにくくなったり、光が反射して明るくなった部分の色が残る、といった効果はあるものの、室内と窓の外の風景を両立できるほどではない。

 それに、写真に撮って一番大切なのは中間調のメリハリだ。ダイナミックレンジが広くなったからといって全体を軟調な特性にしてしまったので、メリハリのないくすんだ写真になってしまう。そのため、中間調のメリハリはできるだけ損なわず、白飛びギリギリのハイライトの階調だけを軟調化しているのだ。

 ダイナミックレンジの違いを比較するために、通常よりは明暗差を大きくした被写体を撮影してみたが、この程度の明暗差では、ダイナミックレンジ拡大機能を搭載していないF31fdでも破綻せずに撮影できている。ただ、人形の左手の袖口の金色の部分や白い顔の描写を見ると、ダイナミックレンジの広さの違いがわかる。

 このように、わずかに白飛びしてしまう部分では、F200EXRの[DR]モードの白飛び耐性の高さが活きるが、その一方でハイライトの冴えは失われてしまう。したがって、ダイナミックレンジを手動で[DR800]などに固定して撮影するよりも、[AUTO]に設定しておいたほうがバランスの良い仕上がりが期待できる。


まとめ

FinePix F200EXRの背面。露出補正ボタン(十字キーの上方向)が復活した
 以上、FinePix F200EXRの各モードの画質を、F31fdとF100fdと比較してみたが、F31fdの高感度、F100fdの高解像度を備えていることが確認できた。もちろん、高感度と高解像度を同時に両立するまでには至っておらず、シーンに応じて“モードを切り替える”必要はあるが、[EXRオート]に設定しておけば、カメラが最適なモードを判断して自動的に切り替えてくれる。

 ただ、[EXRオート]モードでは、露出補正やホワイトバランス設定ができず、これらを設定したいときには、EXR撮影モードを[HR]、[SN]、[DR]のいずれかに切り替える必要があるのは残念。また、撮影モードダイヤルが[P]または[M]ポジション時には、画素混合を活かしたモードが設定できず、[HR]モード相当でしか使えないのも惜しい。

 とはいえ、F100fdで不評だった操作系が見直され、露出補正ボタンが復活し、撮影モードもダイヤルで切り替えられるようになったのは快適。液晶モニターも2.7型から3型へと少しだけ大きくなっている。また、絞り優先AEやマニュアル露出モードも装備され、絞りも2段階に設定できるが、実際には絞りではなくNDフィルターによる光量制御なので、絞ることで被写界深度を深くすることはできない。この点は実絞りを備えているF31fdのほうが上だし、バッテリーの持ちという点でもF31fdには及ばない。個人的には、高速赤外線通信機能「IrSimple」が省かれてしまったのも不満で、携帯プリンター「Pivi」でワイヤレスプリントができなくなってしまった。

 このように、F200EXRに些細な不満がないわけではないが、少なくともF31fdとF100fdのいい点が1台に凝縮され、切り替えて使えるようになった点には満足。ようやく、F31fdの真の後継機が登場したと言えそうだ。


フィルムシミュレーション

 従来のFinePixカラーは、[F-クローム]モードがかなりどぎつく、使えるシーンがごく限られていたが、F200EXRの[VELVIA]モードは、それほどギトギトに派手ではなく、標準の[PROVIA]モードの良さをうまく活かしつつ、適度に鮮やかになっている。ソフト仕上げの[ASTIA]モードも好印象だ。

●FinePix F200EXR


PROVIA
FinePix F200EXR / 4,000×3,000 / 1/150秒 / F9 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 6.4mm

VELVIA
FinePix F200EXR / 4,000×3,000 / 1/150秒 / F9 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 6.4mm

ASTIA
FinePix F200EXR / 4,000×3,000 / 1/150秒 / F9 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 6.4mm


B&W
FinePix F200EXR / 4,000×3,000 / 1/160秒 / F9 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 6.4mm
セピア
FinePix F200EXR / 4,000×3,000 / 1/150秒 / F9 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 6.4mm

●FinePix F100fd


スタンダード
FinePix F100fd / 4,000×3,000 / 1/160秒 / F9 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 6.4mm

フジクロームカラー
FinePix F100fd / 4,000×3,000 / 1/160秒 / F9 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 6.4mm

B&W
FinePix F100fd / 4,000×3,000 / 1/160秒 / F9 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 6.4mm


画角変化

広角端(28mm相当)
FinePix F200EXR / 4,000×3,000 / 1/200秒 / F9 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 6.4mm
中間(61mm相当)
FinePix F200EXR / 4,000×3,000 / 1/150秒 / F12 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 14mm
望遠端(140mm相当)
FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/250秒 / F14 / 0EV / ISO200 / プログラム / WB:オート / 32mm

一般作例

●プログラム


FinePix F200EXR / 4,000×3,000 / 1/320秒 / F9 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 6.4mm


●EXR(高解像度優先)


FinePix F200EXR / 4,000×3,000 / 1/240秒 / F9 / 0EV / ISO100 / EXR(HR) / WB:オート / 6.4mm

FinePix F200EXR / 4,000×3,000 / 1/220秒 / F9 / 0EV / ISO100 / EXR(HR) / WB:オート / 6.4mm


FinePix F200EXR / 4,000×3,000 / 1/170秒 / F9 / 0EV / ISO100 / EXR(HR) / WB:オート / 6.4mm

FinePix F200EXR / 4,000×3,000 / 1/170秒 / F9 / 0EV / ISO100 / EXR(HR) / WB:オート / 6.4mm


FinePix F200EXR / 4,000×3,000 / 1/150秒 / F9 / 0EV / ISO100 / EXR(HR) / WB:オート / 6.4mm FinePix F200EXR / 4,000×3,000 / 1/160秒 / F9 / 0EV / ISO100 / EXR(HR) / WB:オート / 6.4mm

FinePix F200EXR / 4,000×3,000 / 1/105秒 / F14 / 0EV / ISO100 / EXR(HR) / WB:オート / 32mm

FinePix F200EXR / 4,000×3,000 / 1/170秒 / F9 / 0EV / ISO100 / EXR(HR) / WB:オート / 6.4mm


FinePix F200EXR / 4,000×3,000 / 1/480秒 / F10 / 0EV / ISO100 / EXR(HR) / WB:オート / 9.1mm FinePix F200EXR / 4,000×3,000 / 1/120秒 / F12 / 0EV / ISO100 / EXR(HR) / WB:オート / 16mm

●EXR(低ノイズ優先)


FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/110秒 / F3.3 / 0EV / ISO800 / EXR(SN) / WB:オート / 6.4mm

FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/34秒 / F3.3 / 0EV / ISO400 / EXR(SN) / WB:オート / 6.4mm


●EXR(ダイナミックレンジ優先)

・200%


FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/450秒 / F3.3 / 0EV / ISO100 / EXR(DR:200%) / WB:オート / 6.4mm

FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/420秒 / F3.3 / 0EV / ISO100 / EXR(DR:200%) / WB:オート / 6.4mm


FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/150秒 / F3.3 / 0EV / ISO100 / EXR(DR:200%) / WB:オート / 6.4mm

FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/320秒 / F9 / 0EV / ISO100 / EXR(DR:200%) / WB:オート / 6.4mm


FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/150秒 / F9 / 0EV / ISO100 / EXR(DR:200%) / WB:オート / 6.4mm

FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/105秒 / F9 / 0EV / ISO100 / EXR(DR:200%) / WB:オート / 6.4mm


FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/120秒 / F9 / 0EV / ISO100 / EXR(DR:200%) / WB:オート / 6.4mm

FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/420秒 / F4.7 / 0EV / ISO100 / EXR(DR:200%) / WB:オート / 25mm


FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/420秒 / F5 / 0EV / ISO100 / EXR(DR:200%) / WB:オート / 32mm


・400%


FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/100秒 / F3.3 / 0EV / ISO100 / EXR(DR:400%) / WB:オート / 6.4mm

FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/320秒 / F3.3 / 0EV / ISO100 / EXR(DR:400%) / WB:オート / 6.4mm


FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/70秒 / F9 / 0EV / ISO100 / EXR(DR:400%) / WB:オート / 6.4mm

FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/300秒 / F5 / 0EV / ISO100 / EXR(DR:400%) / WB:オート / 32mm


FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/60秒 / F9 / 0EV / ISO100 / EXR(DR:400%) / WB:オート / 6.4mm

FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/70秒 / F9 / 0EV / ISO100 / EXR(DR:400%) / WB:オート / 6.4mm


FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/100秒 / F9 / 0EV / ISO100 / EXR(DR:400%) / WB:オート / 6.4mm


・800%


FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/320秒 / F10 / 0EV / ISO200 / EXR(DR:800%) / WB:オート / 7.3mm

同一シーン比較

EXR(高解像度優先)
FinePix F200EXR / 4,000×3,000 / 1/85秒 / F9 / 0EV / ISO100 / EXR(HR) / WB:オート / 6.4
EXR(ダイナミックレンジ優先)
FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/170秒 / F9 / 0EV / ISO200 / EXR(DR:800%) / WB:オート / 6.4mm

EXR(高解像度優先)
FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/80秒 / F9 / +0.7EV / ISO100 / EXR(HR) / WB:オート / 6.4mm
EXR(ダイナミックレンジ優先)

FinePix F200EXR / 2,816×2,112 / 1/160秒 / F9 / +0.7EV / ISO200 / EXR(DR:800%) / WB:オート / 6.4mm


URL
  富士フイルム
  http://www.fujifilm.co.jp/
  製品情報
  http://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/finepixf200exr/

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伊達淳一
1962年生まれ。千葉大学工学部画像工学科卒業。写真、ビデオカメラ、パソコン誌で カメラマンとして活動する一方、その専門知識を活かし、ライターとしても活躍。黎 明期からデジタルカメラを専門にし、カメラマンよりもライター業が多くなる。自ら も身銭を切ってデジカメを数多く購入しているヒトバシラーだ。ただし、鳥撮りに関 してはまだ半年。飛びモノが撮れるように日々精進中なり

2009/03/11 00:10
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