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M-DISCなどの光ディスクは写真データのバックアップとして本当に安心して使えるの?

パイオニアに光学ドライブ&光ディスクの進化を聞いてみた

大切な写真のバックアップとしても注目を集めている光ディスクが「M-DISC」。大容量を実現しながら、「100年保存」という長期保存に対応しているのが特長です。これまでに写真家のイルコ・アレクサンドロフさんGANREF読者 にM-DISCを体験していただき、その感想をお届けしてきました。

今回は、M-DISCに対応可能な光ディスクドライブの開発を行っているパイオニアに、光ディスクの現在・過去・未来、そしてさまざまな分野での活用について話を聞きました。

再び脚光を浴びている光ディスクの深い話を伺います

パイオニアデジタルデザインアンドマニュファクチャリング株式会社 事業戦略統轄部 マネージャー 下田氏、パイオニア株式会社 光ストレージ事業グループ マネージャー 部家氏に話を伺ってきました。

左)下田氏 右)部家氏

光ディスクを大きく進化させたのは「Blu-ray Disc」

書き込み可能な光ディスクは、これまでCD、DVD、BD(Blu-ray Disc)と進化してきました。光ディスクをCDやDVDの頃に使っていたと人も多いのではないでしょうか。

大容量メディアとして光ディスクが注目されたのはCDやDVDの頃です。その後はHDDやSSDなど、高速大容量のメディアが安価になってきたことで、普段はHDDやSSDをバックアップに活用するケースが増えました。

記録メディアとしての光ディスクをCDやDVDの頃のイメージでとらえている人にとっては、光ディスクは扱いが難しいと考えるかもしれません。「記録後に処理を忘れると別のドライブで読み出せない」「記録面の傷やホコリに弱くてケースに入れて保管していたはずなのに数年で読み出せなくなる」「複数枚買ったうちの一部のディスクがすぐに読み出せなくなる“ハズレ”だった」といった具合です。

光ディスクはBDで大幅な進化を遂げました

そんなイメージを持っていると、現在のBDの進化や扱いやすさに驚くかもしれません。実はDVDの時代も「きちんと製造されたメディアならば十年以上の保存特性を備えたディスクも製造・販売されていた」そうです。しかし、DVDまではメディアが玉石混淆で、メーカーが違えば品質も一定していなかった事実があります。

そうした経緯を経て、「光ディスクが大きく進化したのはBDになった時」だと下田氏は説明します。BDでは経年劣化に強い無機系記録材料を採用しているので、保存性が飛躍的に高まりました。

また、BDはディスク自体の管理がしっかりしているそうです。専門メーカー以外でも簡単にディスクを製造できたDVDとは異なり、BDは製造がかなり難しくなっています。コーティングも必要なため、しっかりとした技術のあるメーカーでないと管理されていないBDが出回る可能性はかなり低いのだそうです。そのため、ディスク自体の信頼性が高まっています。

さらに、記録のために青紫色レーザーを使用しており、DVDまでの赤色レーザーに比べてより細いビームで記録するため、記録密度が高まって容量が拡大。記録面を多層化することでも容量が増大できるのもBDの特長です。

ファイナライズが不要な点も魅力です。CDやDVDでは書き込み終了後にファイナライズ作業が必要で、この一手間を忘れて別のドライブで再生できない、といったミスがなくなりました。汎用性も高いため、「BDとドライブの相性の問題で再生ができないことはまずないのではないか」というのが下田氏の考えです。

速度面に関しては、BDはDVDより同じ倍速でのデータ転送速度が3倍強となっています。ディスクの回転速度を上げることで、さらなる高速化も理論上は可能ですが、ディスク割れなどのリスクも増加するため、無理な高速化を避けています。

ディスクも多層化で容量を増やすことは可能ですが、現状製品化されているのは、4層の128GBまでとなっています。オフライン管理するうえでは、128GBでも十分との考えからです。BDは、保管するスペースも取らないので、正副のディスクで保存することで、1枚が破損した場合にも失われるデータが少なくて済むという考え方もあります。

このあたりは、使い分けになるでしょう。記録メディアとして一般的に使われるものとしては、HDDをはじめ、SSD・USBメモリ・SDカードなどのフラッシュメモリ系があります。しかし、HDDの寿命は数年程度と短く、フラッシュメモリも意外に寿命が短いのです。放置したSDカードは数年でデータが消えることもあるので、長期保存には向きません。

その点、物理的にレーザーで書き込むBDにはそうした問題がありません。メディア自体が劣化する問題に対しても耐候性が向上して、長期保存に向いています。

各種ストレージの比較

メディアの安定性も品質も高い水準が保たれ、使い勝手も良くなったのがBDなのです。その分、1枚あたりのコストは高くなっていますが、逆に言えば「質は良くないけど安価なディスク」という存在がなくなっているわけです。

そのBDのメリットをさらに追求したのが「M-DISC」なのです。

速度面よりも「品質と保存性」を徹底的に追求

M-DISCも基本的にはBDです。そして、ドライブとディスクの双方を管理することで品質をグッと高めているというのが特長。BDはディスク自体に一定の品質がありますが、さらに高い基準で管理し、ドライブに対しても一定の品質を求めているため、より高品質な組み合わせを実現しています。

ディスクとしても金色の反射膜が他のBDに比べて特徴です。この金色の反射膜(高硬度チタン)も水分の侵入を防ぎ保存性向上に寄与しています。

書き込み品質にはスピードも重要になります。一般的なBDディスクに対しても規格に入る品質の記録をするために速度管理をしていますが、M-DISCでは現時点で6倍速に抑えられています。さらに、「品質を見ながら速度を抑えている」というのがパイオニアのドライブ作りの根底にあります。M-DISC自体が品質をある程度担保していますが、それでも速度を上げて書き込み品質が低下しないように、安定性を重視しているのです。

「M-DISCでは確実なデータの記録を求めているため、スピードよりも品質が重要」というのもパイオニアが大事にしている考えです。書き込み品質が高ければ、より長期の保存が可能になるからです。

保管についても気になると思いますが、M-DISCは以前よりも非常に楽になっています。ある程度の直射日光を避けて普通の状態であれば、長期間にわたって劣化はしないとのこと。気温30度、湿度60%よりも下回っていれば、ケースに入れておくだけで問題ないそうです。一般的な住居環境ならまったく心配がないのも魅力ではないでしょうか。

保管のしやすさも魅力です

子孫に伝える大切な写真を保護したい! 100年後にもデータは読める?

BDはCDやDVDの時代に比べれば驚くほど保存性が向上していましたが、さらに「100年保存」まで一気にジャンプアップしたのがM-DISCなのです。

「100年保存」ということで長期間保存がアピールされていますが、100年とはいわなくても数年後、数十年後に記録したディスクを読み込むことができるのか? 気になる人も多いのではないでしょうか。

日々のデータを一時的に保存するためには、容量が大きく速度の速いHDDやSSDが向いていますが、厳選した大切なデータを保管したいというのであれば、M-DISCが最適でしょう。

BDによってさらに長期保存ができるようになり、M-DISCがそれを強化し、100年という長期間の保管が可能になりました。

撮り貯めた写真をどの程度の期間、保管したいかというのは人それぞれでしょう。紙焼きの頃のアルバムのように、家族写真を子供や孫にも残したいと考えると、HDDやSSDでは心もとないので、厳選写真をM-DISCに焼いておけば、孫の代までは残せそうです。

そのうち、さらに高度な長期間保存可能なメディアが生まれたら、その時にあらためてデータをM-DISCから移行してもいいでしょう。その頃にも光ディスクが残っていれば互換性は保たれている可能性が高いです。それすら存在しなくなるなら、新たなメディアに移動すればいいだけです。

普段、写真を見るだけならHDDでも問題はないのですが、いざ、写真を保護・継承しようと考えると、途端に頼りないのがHDDやSSDです。普段のPCに繋がっていたら、操作ミスでファイルを消去してしまったり、ランサムウェアに感染して写真が上書きされたりという危険性もあるのです。

それに対して、M-DISCならばメディアに書き込めば上書き・消去をしてしまう心配はありません。大切な写真を将来に残す最後の砦として、M-DISCをバックアップに追加する検討をしてはいかがでしょうか。

GANREF読者はパッケージで判別できるようにプリントもしていました

M-DISCだけでは不安ならば「DM for Archive」という選択肢も

M-DISCは、認証を受けたドライブとディスクを使うことで書き込み品質を向上させ、BDの特徴である長期保存をさらに強化しています。そして、JIS規格においては「JIS X 6257 長期データ保存用光ディスクの品質判別方法及び長期保存システムの運用方法」が制定されています。光ディスクとドライブを適切に使用して長期間のデータ保存をするための、光ディスクの品質判別方法・データの長期保存システムの運用方法が規定されています。

考え方としてはM-DISCと似た方向性ですが、この2つに関連はありません。光ディスクとドライブの品質を高めて長期保存を目指す規格という方向性は同じですが、繋がりがあるわけではありません。

JIS X 6257では、M-DISCよりも基準が厳格でかつ標準規格として制定されているため、より長期間のデータ保存が想定されています。標準規格なので、1社の方針に左右されることもなく、長期間にわたって規格が安定しているという点もポイントでしょう。

パイオニアでは、このJIS X 6257に対応したドライブ「BDR-WX01DM」を開発し、DM for Archive対応ディスク「IPS-BD11J03P」も発売。ドライブには専用ライティングアプリ「DM Archiver」が同梱されており、対応する光ディスクであればJIS X 6257規格に準拠することができます。また、DM for Archive対応ディスクは一般のBD-Rとして使用することも可能です。

パイオニアの最新ドライブ「BDR-WX01DM」

そして、BDR-WX01DMとDM for Archiverのディスクの組み合わせは、アーカイブ用光ディスク製品認証制度(JIIMA認証)を取得。このJIIMA認証を取得したディスクとドライブを使って書き込まれた際の品質は、JIS X 6257の「良好な状態」となり、ISO/IEC 16963準拠の寿命試験で、推定寿命100年以上になるそうです。

さらに厳しい基準であるJIS X 6257をクリアした光学ドライブ「BDR-WX01DM」とBD「IPS-BD11J03P」

こうした長期保存の取り組みは、日本でも博物館や美術館など、データの長期保存が重要視される業界でも注目されており、国会図書館でも導入が始まっているといいます。国会図書館のような業務用途にも思えますが、写真愛好家がより長く厳選写真を安心して残すために選ぶというのも一つの方法でしょう。

大切なデータの長期保存に最適! パイオニアから100年保存を実現するアーカイブ向け光学ドライブ&ディスクの新製品が登場 世界初「JIS X 6257」規格のDM機能に準拠した光学ドライブ「BDR-WX01DM」とは?