DxO Creators
新しい写真表現を切り開く
第2回:コハラタケル=FilmPack 8
- 提供:
- DxO Labs
2026年10月20日 07:00
DxOの誇る4つのソフトから写真家が愛用ツールを選んで、表現の可能性を探る新連載。第2回目は何げない日常の景色を、温かくノスタルジックな空気感で切り取る作風で支持を集めるコハラタケルさんが愛用する「FilmPack」を紹介します。どのような考えでフィルムを選び、新たな表現を導き出しているのか。そのアプローチに迫ります。
1984年、長崎県生まれ。東京都在住。幼少期から手足の多汗症(掌蹠多汗症)に悩んできた経験を背景に「症状の認知を広げること」を動機の1つとして制作を続けている。主な個展に2023年『撮縁』(ライカギャラリー東京・京都)など
※本企画は『デジタルカメラマガジン2026年11月号』より転載・加筆したものです。
思いがけない色と出合うFilmPackが導く新たな表現
FilmPackはデジタルでフィルムの色調と質感を再現するソフト。私はこのソフトでフィルムの色彩や粒状感を再現しつつ、新たな仕上がりを探求している。気に入っているのは、適用後のイメージを一覧で俯瞰できる機能。調整を突き詰めると、往々にして無難な着地点に収まりがちだ。そんなとき、並んだサムネイルを眺めることで「この1枚にはこんな色調も調和するのか」と気付きを得られる。思いがけない表現に出合いたいときにこそ頼れる存在である。
使用ソフト
Ektar 100で肌の質感を残して自然な階調表現にする
舞台は早朝の海辺。肌の描写を優先し、赤みを抑えてほのかな黄みを残すべく「Kodak Ektar 100」を選択した。元画像がやや暗かったためライトで明るさを補うが、繊細な肌の質感を損なう寸前に留めている。粒状感は1:1表示で確認し、ざらつきが過剰にならない70に設定した。シャドウに強いシアンが乗るような極端な変化がなく、被写体を極めて自然に描き出してくれる点がこのフィルムの魅力である。
Amber T200のクールな青みを使い、非日常感を演出
散策中、目に留まったバラをとっさに捉えた。わずかなブレが生んだ柔らかな描写を生かすべく、未体験の「Amber T200」を選択。タングステンなどの人工光向けフィルムで、自然光下では青みを帯びたクールな発色を見せるのが面白い。過度な粒状感は画面を乾いた印象にするため、初期値の100から50強に抑え込んだ。偶然のブレによる柔らかさと冷涼な色調が交わり、何げない街角がどこか非日常的な景色に姿を変えた。
Pro 400Hの柔らかな階調を生かし、静寂を伝える
人影のない風景を通して、厳しい冷え込みを切り取った。白い雪と曇天が織りなす微妙な明暗を残し、柔らかな階調で描くべく「Fujifilm Pro 400H」を選択した。細かな雪の描写を損なわぬよう、粒状感は20に抑えている。雪の白さと路面の濃淡が静かに浮かび上がり、フィルム特有の淡い青みが張り詰めた空気を際立たせる。冬の朝、研ぎ澄まされた静寂が伝わる1枚に仕上がった。
FilmPackの前に適用して高品位な画像を作る「PureRAW」
FilmPackでの編集を高品質に仕上げるため、事前に「PureRAW」によるRAW処理を行っている。オールドレンズを使用すると、明暗差の激しい輪郭部に色収差が生じ、プリント時に目立つことがある。だがPureRAWで補正すれば、白い砂浜を背景にした草に生じる青紫の偽色も自然に消え去る。レンズ本来の味わいを損なうことなく解像感を高め、万全の土台を整えてFilmPackの編集に移行できるのだ。
INFORMATION
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