オリンパスE-30【第7回】

アートフィルター3機種揃い踏み

Reported by 安孫子卓郎


 パナソニックに続き、オリンパスからもマイクロフォーサーズ規格に準拠した「E-P1」が発売され、大ヒットを記録しているようです。不況からようやく脱出できるかという経済状況の中、明るい話題として喜ばしいことだと思います。

 これで、国内で入手できる機種のうち、アートフィルター搭載モデルは、E-30、E-620、E-P1の3機種になりました。搭載されているアートフィルターの名称と数は同じですが、中身は同じなのでしょうか。アートフィルターそのもののロジックやプロセスは同じであるとしても、撮像素子や画像処理エンジンに違いがあれば、結果も違うものかもしれません。

 ただし現時点では、E-30、E-620、E-P1のいずれも撮像素子に関するオリンパスの表記は共通。有効画素数1,230万画素、総画素数約1,310万画素となっています。一方、E-P1には新しい画像処理エンジン「TruePic V」が搭載されているのが特徴(E-30とE-620はTruePic III+)。さらにデジタルESP測光の分割数を見ると、E-30とE-620は49分割、E-P1は324分割と異なっています。アートフィルターは基本的にオートで撮影するため、ESP測光49分割と324分割で多少の差は出るのかもしれません。

 レンズは、E-30にZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5 Ⅱ、E-620にZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6、E-P1にM.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6を使用。基本はそれぞれのセットレンズを使用し、「アートフィルターオートで使用」を前提としてみました。「実際に多くのユーザーが使うであろう条件」での比較を試みたわけです。一応念のためZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5 ⅡをE-620とE-P1につけた場合も撮影してみましたが、大きな差がなかったため、掲載は割愛しました。

 なお、E-P1にZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5 Ⅱを取り付ける際、撮影時にオリンパスのフォーサーズアダプターMMF-1が入手できていなかったため、パナソニックのDMW-MA1を使用しています。

 撮影してみて、アートフィルターそのものの効果に大きな違いは感じられませんでした。ほぼ同じと考えて良さそうです。逆にいえば、E-30からE-P1までには半年の時間差があるのですから、全く同じでは物足りないともいえます。パラメーターの変更、ソフト量の調整であるとか、周辺減光の程度を変えられるなどもう一工夫の進化がほしいところだと思います。

 むしろ差として大きく感じられたのは、E-P1が見た目露出アンダーで、色が濃くなる印象を受けます。しかしExifを確認するとアンダー傾向ではないため、測光方式が進化した影響なのか、通好みに味付けが変更されているのか理由はわかりません。

 ちなみに撮り比べてみて、14-54mm F2.8-3.5 IIは評価の高いレンズだけに、さすがに14-45mm F3.5-5.6との違いが感じられました。14-45mm F3.5-5.6と違って14-54mm F2.8-3.5 IIには、ED(特殊低分散)レンズが使用されていませんが、「EDレンズ搭載なら良い」と言うものでもないことを教えてくれる結果でした。。

 E-P1に14-54mm F2.8-3.5 IIはさすがに不釣り合いですが、E-620など他のEシリーズユーザーの方で、セットレンズだけをお使いでしたら、14-54mm F2.8-3.5 IIを入手するのも効果的なバージョンアップかなと思わせる結果でした。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。

●ポップアート

E-30 / ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5 II / 約5.5MB / 4,032×3,024 / 1/500秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 14mmE-620 / ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 約5.5MB / 4,032×3,024 / 1/400秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 14mmE-P1 / ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 約5.6MB / 4,032×3,024 / 1/400秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 14mm

●ファンタジックフォーカス

E-30 / ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5 II / 約3.3MB / 4,032×3,024 / 1/160秒 / F4.5 / 0EV / ISO200 / 54mmE-620 / ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 約3.5MB / 4,032×3,024 / 1/100秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / 42mmE-P1 / ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 約3.5MB / 4,032×3,024 / 1/125秒 / F6.3 / 0EV / ISO200 / 42mm

●デイドリーム

E-30 / ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5 II / 約5.4MB / 4,032×3,024 / 1/500秒 / F7.1 / 0EV / ISO200 /14mmE-620 / ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 約5.6MB / 4,032×3,024 / 1/400秒 / F8 / 0EV / ISO200 /14mmE-P1 / ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 約5.6MB / 4,032×3,024 / 1/400秒 / F8 / 0EV / ISO200 /14mm

●ライトトーン

E-30 / ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5 II / 約5.5MB / 4,032×3,024 / 1/320秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / 14mmE-620 / ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 約5.5MB / 4,032×3,024 / 1/250秒 / F6.3 / 0EV / ISO200 / 14mmE-P1 / ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 約6.4MB / 4,032×3,024 / 1/320秒 / F7.1 / 0EV / ISO200 / 14mm

●ラフモノクローム

E-30 / ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5 II / 約4.8MB / 4,032×3,024 / 1/250秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / 14mmE-620 / ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 約4.7MB / 4,032×3,024 / 1/250秒 / F6.3 / 0EV / ISO200 / 14mmE-P1 / ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 約3.9MB / 4,032×3,024 / 1/200秒 / F6.3 / 0EV / ISO200 / 14mm

●トイフォト

E-30 / ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5 II / 約5.0MB / 4,032×3,024 / 1/125秒 / F3.5 / 0EV / ISO200 /14mmE-620 / ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 約5.2MB / 4,032×3,024 / 1/100秒 / F4.5 / 0EV / ISO200 /14mmE-P1 / ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 約5.0MB / 4,032×3,024 / 1/100秒 / F4.5 / 0EV / ISO200 /14mm


安孫子卓郎
(あびこたくお)きわめて頻繁に「我孫子」と誤変換されるので、「我孫子ではなく安孫子です」がキャッチフレーズ(^^;。大学を卒業後、医薬品会社に就職。医薬品営業からパソコンシステムの営業を経て脱サラ。デジタルカメラオンリーのカメラマンを目指す。写真展「デジタルカメラの世界」など開催。現在パソコン誌、写真誌等で執筆中。

2009/8/17 00:00