オリンパスE-620【第8回】

ちょっと気合いを入れて6:6で撮ってみた

Reported by 北村智史


今回はZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macroと10-20mm F4-5.6 EX DC HSMの2本。ライブビュー拡大表示でのMFの使い勝手を考えてのチョイス

 画面の縦横比を変えて撮れるマルチアスペクトはなかなかに楽しめる機能だと思っているのだが、実のところ、これまでほとんど使ったことがない。というのは、この機能が、ライブビュー撮影を前提にしたものだからである。

 もちろん、ファインダー撮影時にもアスペクト比を変えて撮ることはできる。が、アスペクト比の情報が付加されるだけで、画像自体は加工なしで保存される。なので、汎用の画像閲覧ソフトや画像処理ソフトで開くと、普通に4:3比率のままだったりする。

 撮影時に設定したアスペクト比に仕上げるには、カメラに付属のOLYMPUS Master 2や新しいOLYMPUS Viewer 2で開いて、「アスペクト情報を使用」してトリミングしないといけない。正直、無駄な手間だと思うし、面倒くさくってヤダなぁ、って感じである。

 ちなみに、兄貴分のE-30のマルチアスペクトは9種類もあるうえに、カスタムメニューの中ということもあって使い勝手はもうひとつだが、E-620のは撮影メニュー1のいちばん下という特等席をもらっている(撮影メニュー1に入って上キーを1回押すだけでたどりつける)。種類も基本の4:3比率のほか、3:2比率、16:9比率、6:6比率という、割とオーソドックスなものだけに絞られているので、設定変更もらくちんだ。

 が、筆者の場合、ファインダー撮影がメインで、ライブビューを使うのは、例えば、夜景とかマクロとかのAFではいまいちピントが怪しいときだったり、地面すれすれのローアングルといったファインダー撮影ではしんどい体勢を取らないといけないときとかの、かなり限られたシーンだけ。というのもあって、ライブビュー撮影が前提のマルチアスペクト機能もほとんど使わないうちに1年以上経過してしまっている。

 敬遠気味というか、敬遠そのものになったまま放っておくのももったいない。せっかく付いているんだから使ってみよう、とまあ、そういう次第で、今回は6:6比率オンリーで撮ってみることにした。3:2比率はフォーサーズ以外の一眼カメラと同じ比率で変わり映えしないし、16:9比率だと縦位置が細長すぎる。撮影中に、これは3:2比率で、これは16:9比率とか考えたくないこともあって、だったら正方形縛りでやってみようかというわけだ。

撮影1メニューの「アスペクト比設定」で「6:6」を選ぶと正方形画面で撮れるようになるが、ファインダー撮影時は普通に4:3で撮ったのを純正ソフトでトリミングするだけ。あんまり便利じゃない
で、ライブビューなのだが、HLD-5を装着している場合は、縦位置に持ってウエストレベルで構えるのが思いのほかしっくりくる

 さて、あれこれとカメラの持ち方を考えていたら、どうもウエストレベルに縦位置で構えるのがいちばんしっくりくる感じがした。画面が正方形なんだから縦も横も関係ねぇだろ、って突っ込まれそうだが、あくまでカメラの構え方の話である。それと、あくまで筆者個人の場合である(筆者は手がでかい。かつ筆者のE-620はパワーバッテリーホルダーHLD-5付き。この2点がミソである)。

 カメラを顔にくっつけない状態(つまりはライブビュー撮影である)で脇を締めると、自然にカメラ位置は低くなる。となると、液晶モニターの向きを変えたほうが見やすくなるが、横位置で構えると、液晶モニターがカメラの左側に飛び出すことになる。長方形画面の場合は縦横を使いわけないといけないので我慢するしかないが、6:6比率なら横のものを縦にしたって構わないわけで、だったらレンズと液晶モニターの位置関係がよくなる縦位置で構えたほうが、見やすくていい(いわゆるインライン配置というヤツである)。

 ちなみに、E-620でコントラストAF(ハイスピードイメージャAF)が使えるレンズは多くなくて、それ以外のレンズではハイブリッドAFになる。これは、ライブビュー中はコントラストAFが働いて、シャッターボタン全押しでブラックアウト後に位相差AFが作動して合焦後にシャッターが切れる、というもの。コントラストAF非対応レンズだけにAF駆動はハイスピードにはほど遠いまったりさで、しかもけっこうアバウトだったりするので、全押し後の位相差AFも瞬時というわけにはいかない。正直、そんなんだったらMFのほうがマシですってば的にイライラするのである。

 なので、今回は割り切ってしまうことにした。ライブビューオンリーで6:6比率オンリー、MFオンリーでやっちゃおうというわけだ。ただ、MFだとピント合わせはやはり拡大表示に頼ることになる。必然的に、全画面表示と拡大表示を頻繁に行き来しながら撮ることになるわけで、両者を切り替えるのに使うOKボタン(十字ボタンの中央にある)を押す回数も多くなる。つまり、OKボタンに指がとどきやすい構え方であるかどうかも大事なのだ。

コントラストAFに対応していないレンズだと、AFが面倒くさいのがネック。なので、拡大表示でMFのほうがストレスはずっと少ない十字ボタンで拡大したい部分を選んで「OK」ボタンで拡大/全画面の切り替えをやる。それにしても、もっと解像度の高い液晶モニターが欲しい
筆者は手が大きいので「OK」ボタンやライブビューボタンにも指がとどくけど、手の小さめの方だとちょっと不便。というか難しいかもちなみに、HLD-5には吊り金具がある。カメラを縦吊り、ストラップを首にかけてピンと張った状態にすると、ブレを抑えやすい

 その点、筆者の手は、E-620本体のグリップよりもHLD-5のグリップのほうが握りやすいくらいに大きいので、縦位置で構えても問題なく親指がとどいてくれる。さすがに、AEL/AFLボタンやFnボタンとかまでは無理だし、露出補正ボタンは絶望の向こう側。操作性の面での不利は否めない(ライブビューボタンがどうにか届く程度)。

 まあ、シャッターボタン半押しでAEロック、ダイヤル単独で露出補正という設定にしているので、上の方のボタンにとどかなくても、めちゃめちゃ困るというほどでもない。多少の我慢は必要ですけどね。

 ついでに、HLD-5の底面の吊り金具を使って縦吊りにしてみた。気分的に新鮮だというのもあるが、短くしたストラップを首にかけてピンと張る状態にしてやると、ブレを抑えやすいから、というのもある。ウエストレベルファインダーのカメラではわりとよく使われるテクニックだが、フリーアングル液晶モニターのカメラなら役に立つ。E-620の場合は手ブレ補正内蔵だから、あまり気にしなくてもいいような気もするけれど。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、別ウィンドウで800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
シグマの10-20mmは、広角端の画角はもう少し物足りないけど、歪曲収差が少ないのはいいところ
E-620 / 10-20mm F4-5.6 EX DC HSM / 3,024×3,024 / 1/30秒 / F11 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 10mm
昔から85mmよりも100mmが好きということもあって、50mm F2 Macroはとても目に馴染む。正方形画面だとちょっと感じが違うけど
E-620 / ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macro / 3,024×3,024 / 1/50秒 / F8 / -0.3EV / ISO200 / WB:太陽光
お辞儀をするウエイター。F8まで絞っていたのを忘れて撮ったらシャッター速度が1/25秒。手ブレ補正機構のおかげです
E-620 / ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macro / 3,024×3,024 / 1/25秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:太陽光
縦吊りにしたカメラを首にかけて、ストラップをピンと張った状態にするとカメラを安定させやすい。中判カメラでよく使う手法
E-620 / ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macro / 3,024×3,024 / 1/30秒 / F4 / 0EV / ISO200 / WB:太陽光
もともとは縦位置にも横位置にもトリミングできるようにと正方形にしている。だから本来は正方形の写真は邪道だったりするのだ
E-620 / ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macro / 3,024×3,024 / 1/80秒 / F4 / -0.3EV / ISO200 / WB:太陽光
シグマの50mmもいいレンズだけれど、この50mm F2 Macroも素敵な描写が楽しめる。マクロとしてはもちろん、寄れる中望遠としても価値あり
E-620 / ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macro / 3,024×3,024 / 1/60秒 / F4 / 0.7EV / ISO200 / WB:太陽光
汐留は割と新しくて個性的な外観のビルが多いところ。高層階とは意匠が替わる部分を切り取ってみた
E-620 / ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macro / 3,024×3,024 / 1/200秒 / F8 / -0.7EV / ISO200 / WB:太陽光
ファインダー撮影で真上に近いアングルって疲れるけれど、フリーアングル液晶モニターだとすごくらくちん。快適に撮れる
E-620 / ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macro / 3,024×3,024 / 1/1000秒 / F8 / -0.3EV / ISO200 / WB:太陽光
シグマのレンズのフォーカスリングは、動かしはじめが重いものもあるが、このレンズのは絶品の滑らかさ。素晴らしいフィーリングです
E-620 / 10-20mm F4-5.6 EX DC HSM / 3,024×3,024 / 1/1600秒 / F8 / -0.3EV / ISO200 / WB:太陽光 / 10mm
平日だとあまり人出は多くないけど、こういう場所で広角で撮ってて、歩いている人がひとりもいないっていうのはかなり貴重な瞬間
E-620 / 10-20mm F4-5.6 EX DC HSM / 3,024×3,024 / 1/15秒 / F7.1 / 0EV / ISO400 / WB:太陽光 / 10mm
雲は多いけど、梅雨明け間近という感じの空。もう少しコントラストが欲しかった気もする
E-620 / ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macro / 3,024×3,024 / 1/800秒 / F8 / -0.7EV / ISO200 / WB:太陽光
取り立てて目を引くところがあったわけじゃないけれど、正方形画面にちょうどはまりそうな感じがしてレンズを向けてみた
E-620 / ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macro / 3,024×3,024 / 1/40秒 / F8 / -0.3EV / ISO400 / WB:太陽光

【2010年7月29日】記事中の「10-20mm F3.5 EX DC HSM」という誤表記を「10-20mm F4-5.6 EX DC HSM」に改めました。



北村智史
北村智史(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。2011年、東京の夏の暑さに負けて涼しい地方に移住。地味に再開したブログはこちら

2010/7/28 00:00