Leofoto FIELD REPORT 三脚のある美しい写真

進化した多段トルクが超望遠による動物撮影を支える

福田幸広さんがレオフォトの新型ビデオ雲台「FH-20」の魅力を解説

カワアイサの群れが飛び立つシーン。神経質な鳥で早朝からブラインドに入って待機して撮影。雲台の水準器で水平ラインを慎重に合わせて、途中で水平が狂わないように注意した
キヤノン EOS R5 Mark II/RF1200mm F8 L IS USM/1,200mm/マニュアル露出(F8、1/4,000秒)/ISO 1600/WB:オート

動物撮影時にも三脚を多用するという福田幸広さん。特に超望遠レンズを使用する際に出番が多いが、わずかなブレも致命的な失敗につながる。正確な流し撮り、長時間の待機による疲労軽減、そして何よりも絶対的な安定性を実現するため、三脚と雲台は機材の核となる。

現在、福田さんが使用しているシステムは「LM-405C」と「FH-20」の組み合わせ。ここでは、従来のモデルから別次元の進化を遂げた新登場のFH-20の性能を中心に紹介してもらった。

福田幸広

しあわせ動物写真家。1965年東京生まれ。「山もいいけど、海もいい!」をモットーに好きな動物のいる場所で心ゆくまで撮影するスタイルを貫く。年間300日をフィールドで過ごしている。写真集多数。

※本企画は『デジタルカメラマガジン2026年1月号』より転載・加筆したものです。

超望遠撮影の安定感を高める多段トルク

私は動物や野鳥を撮影する写真家の中でも三脚の使用率が高い方ではないかと思っている。三脚の使用に重きを置くには理由が3つある。1つ目は超望遠撮影時にわずかなブレを排除するため。2つ目はブラインド内など長時間の待機時には三脚に載せている方が、疲労度が格段に低いから。そして3つ目は正確な流し撮りには滑らかに動く高性能の雲台とそれを支える頑丈な三脚が必須だからだ。

現在、私のメインレンズはキヤノンのRF1200mm F8 L IS USMだ。これに1.4倍と2倍のエクステンダーを組み合わせて既存のイメージとはひと味違う写真を撮りたいと奮闘している。これらの組み合わせにおいて、重さや大きさを考えると手持ち撮影は困難だ。私が使用しているシステムはLM-405C+FH-20の組み合わせ。

特に11月下旬に発売となったFH-20はLeofotoのビデオ雲台の最高峰モデル。私は発売の1年以上前からプロトタイプを使用してきたが、それまで使用していたFH-10とは別次元の仕上がりである。

FH-20
価格:14万3,000円(税込)/ボール径:75mm/高さ:320mm/耐荷重:15kg/質量:約2,100g

カウンターバランスはFH-10の0~8の9段階から0~15の16段階に増えたことで、より細かな調整ができるようになり、多くの機材に対応できるようになった。私が最も気に入っている点はパン・ティルトのトルク調整が0~7の8段階になったこと。FH-10ではこれまで0~3の4段階しかなく、一番重い3にしても軽く感じていたが、FH-20の7では非常にゆっくりと動かせる。

カウンターバランスは16段階、ティルトのトルク調整は0~7の8段階になった
パン操作も0~7の8段階。FH-10に比べて調整の幅が大きく広がり、よりさまざまな機材やシーンへの対応を可能にしている
FH-20の水準器にはライティング機能が備わっており、暗いシーンでも正確な機材設置ができる。ボタンを押すことで下段のライトが光り、長押しすることで、上段のライトも点灯する
雲台はアルカスイス互換対応。ロングレンズサポートなど多様なアクセサリーの装着が可能となる
LM-405C
価格:9万4,600円(税込)/全伸長:1,656mm/最低高:100mm/収納高:530mm/対応ハーフボール:φ100mm/段数:5段/最大脚径:40mm/耐荷重:30kg/質量:約2,450g

LM-405Cは最大脚径40mmの最も太いパイプを使っているため強度も申し分ない。FH-20の装着は、ハーフボールサイズ変換アダプターBA-75Lで対応する。収納高は530mmと短く、旅の多い方にもおすすめだ。三脚と雲台の総重量は約4.5kgと決して軽くはないが、その分安定感は抜群。

BA-75L
価格:8,800円(税込)/直径:99mm/質量:約175g

LM-405Cの対応ハーフボールはφ100mmになるため、ハーフボール径がφ75mmのFH-20を装着するには変換アダプター「BA-75L」が必要となる。

マガンの群れをスローシャッターで流し撮りした。超望遠レンズでの流し撮りはパンの速度が一定でないとNGカットの連発になるので、パントルクを重めに設定し慎重に流し撮りをした
キヤノン EOS R5 Mark II/RF1200mm F8 L IS USM/1,200mm/マニュアル露出(F45、1/15秒)/ISO 200/WB:オート

1,200mmクラスのレンズで動く被写体を撮影する場合もレンズを振るときの抵抗が大きい方が動きも滑らか。軽いとブレにつながってしまう。FH-20の重量感のある滑らかなパン操作を体験したらもうほかの雲台には戻れない。

双眼鏡でやっと確認できる距離にいたカンムリカイツブリを35mm換算約2,688mm相当で撮影。被写界深度が極浅なので前後のボケが大きく玉ボケするのを考慮して絞り値を調整した
キヤノン EOS R7/RF1200mm F8 L IS USM+EXTENDER RF1.4x/1,680mm(2,688mm相当)/マニュアル露出(F11、1/2,000秒)/ISO 400/WB:オート
福田幸広