Leofoto FIELD REPORT 三脚のある美しい写真

安定感ある三脚システムが作品づくりの理想をもたらす

桐野伴秋さんが愛用する「LVM-323C」+「LH-47(RD)」

悪条件の場所でも即座にスパイクに変更できるので、 しっかりと三脚を固定できる。開脚角度も柔軟に変更 できるので、ローアングル撮影も容易だ
EOS 5D Mark IV/SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE/シャッター優先AE(F2.8、30秒、±0EV)/ISO 6400/ WB:オート

三脚の脚ロックの方式としては、ナットロックとレバーロックの2種類がある。

それぞれに特徴があるため簡単に優劣を決められるものではないが、自らを「レバーロック派」または「ナットロック派」と自認する写真家は多い。

今回は桐野伴秋さんに、レオフォトから登場したレバーロック三脚「LVM-323C」の使い勝手を中心に紹介してもらった。

桐野伴秋

高知県生まれ。「一瞬の中に永遠を宿す」をテーマに美しい地球の姿や日本の情景を後世に伝えようと写真作家としての活動を始める。キヤノンの世界版企業カレンダーに起用。カレンダー「幻想の日本」(山と溪谷社)を毎年発売。写真集に『セドナ:奇跡の大地へ』(講談社)など。 https://www.kirinoworld.com/

※本企画は『デジタルカメラマガジン2022年9月号より転載・加筆したものです。

ストレスフリーな三脚だから風景と一体になれる

国内の撮影が増えた近年。四季の移ろいを今まで以上に感じるようになった。

繊細で奥深い色彩美は、見えない物の存在をより明確に醸し出す。その豊かな季節の中で、自然側に立ち、まるで同調するかのように被写体と向き合って撮影をできる。私にとってはとても重要で、理想の作品づくりの基本となる。

シイノトモシビタケ撮影のため、昼間のうちに三脚を設置。堅牢性が高いので、長時間置いた後でも構図が維持される。赤い雲台は夜間に目印の役割も果たす
EOS 5D Mark Ⅳ/SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE/バルブ(F2.8、120秒)/ISO 6400/WB:オート

その撮影スタイルに欠かせないのが三脚だが、レオフォトから以前より楽しみにしていたレバーロックシステムの三脚マンバM(LVM)シリーズが登場したことで、最近はそれを愛用している。使用モデルはLVM-323C、どっしりとした佇まいの3段モデルだ。「今日も頼むぞ」と声を掛けたくなる。

両手がふさがることの多い撮影時に、ワンタッチのレバー操作で高さ調節ができるというのはまさにストレスフリーだ。

操作部となるレバーロックの先端部はシリカゲルゴムが採用されていて、手になじみやすい。

操作性はもちろん、暗闇で撮影する孤独な時間もその感触に触れると、ほっと癒やされた気持ちになって安心感が得られる。

LVM-323C
価格:7万1,500円(税込)/伸長:1,550mm/収納高:660mm/最低高:180mm/段数:3段/最大脚径:32mm/耐荷重:25kg/質量:1,870g

LH-47(RD)
価格:3万8,500円(税込)/高さ:98mm/ボール径:47mm/ベース径:62mm/耐荷重:22kg/質量:630g

もう1点、脚部にメンテナンス用の六角レンチが装着されていることも画期的なアイデアだ。レオフォトらしい細やかな配慮と言える。

足元が不安定な撮影では、やはり石突はスパイクが有効となる。多くの三脚はゴム石突とスパイク石突を着脱して交換する必要があるが、LVMシリーズの石突は、ゴム石突を回転させると、スパイク石突が中から出てくる仕様となっている。石突を回転させるだけで、瞬時にゴムとスパイクを変更できて、とても便利だ。

外観も美しく、幾何学模様のようなカーボンパイプのデザインを個人的にはとても気に入っている。

組み合わせている雲台は自由雲台のLH-47(RD)だ。LHシリーズはとにかくバランスが良く、ノブの操作もしやすい。無機質なものほど感触を大事にしたいと常々思っている私にはピッタリだ。縦位置撮影用にノッチが2つ用意されている点も、操作性の高さに寄与している。

三脚側にも備わっているハーフボール機構とセットで、幅広く、そして細やかなアングル調整が可能だ。

安定感と利便性を兼ね備えた三脚と雲台のセットは、共に旅をしながら撮影するのにもってこいの相棒だ。刻一刻と姿を変える風景と、一瞬つながり奇跡の1枚を狙う。そのためには安心して使える三脚が欠かせない。

カルスト台地に咲くハンカイソウ。台地を担いで歩いても負担にならない軽さながら、設置後は安定感がある。脚の一部に滑り止めがあり、手に持って移動しやすい
EOS 6D Mark II/EF24mm F1.4L Ⅱ USM/24mm/絞り優先AE(F1.8、30秒、±0EV)/ISO 3200/ WB:オート

利便性を磨き上げたレバーロック式カーボン三脚

LVM-323Cは、レバーロック式を採用した脚部と、ハーフボールによるレベリングベースを兼ね備えた三脚だ。

レバーロックの操作部はシリカゲルゴムで手触りが良く、操作性も高い。

レバーロック部分はシリカゲルゴムの採用によって、ワンタッチで操作できる。クイックに三脚の設置や高さ調整を行えるので、スムーズな撮影が可能だ

特徴的なパターンの10層構造のカーボンチューブは美しさと堅牢性を兼ね備える。

脚部にはメンテナンス用の六角レンチが付属。レバーロック部分の緩みなどにすぐに対応することができる

ゴム石突とスパイク石突を瞬時に切り替えられて、足元の状況も選ばない。

ゴム石突を回転させるとスパイク石突が中から出てくる仕組みになっている。2種類の石突をいちいち着脱することなく使い分けられるのはとても便利だ

LH-47は耐荷重22kgと安定感のある自由雲台で、鮮烈な赤が印象のRDモデルと通常のブラックモデルがある。手になじむ操作性でとても扱いやすい。

LH-47(RD)は重心が低く安定感がある。ボールの動きも滑らかで気持ち良く操作できる。2カ所に設けられたノッチによって縦位置への切り替えもしやすい
三脚部にレベリングベースを搭載しているので、自由雲台と合わせて柔軟かつ繊細にアングルの調整が可能だ

制作協力:株式会社ワイドトレード

桐野伴秋