SIGMA 30mm F2.8 EX DN
DMC-GX1 / SIGMA 30mm F2.8 EX DN / 約8.3MB / 3,448×4,592 / 1/320秒 / F2.8 / +1.7EV / ISO200 / WB:晴天 / 30mm |
シグマから発売された「SIGMA 30mm F2.8 EX DN」は同社初のノンレフレックスカメラ(ミラーレスカメラ)専用の交換レンズだ。対応マウントはマイクロフォーサーズとソニーNEXのEマウントとなる。今回は先行して発売されたマイクロフォーサーズマウントのレンズを使用しての実写レポートを届けたい。
LUMIX DMC-GX1に装着。マイクロフォーサーズマウント用の発売は2月24日。価格は2万5,200円。Eマウント用の発売時期は未定 |
30mm F2.8 EX DNは、マイクロフォーサーズ機との組み合わせにより35mm判換算で60mm相当の標準域のレンズとなる。今回のレポート撮影ではパナソニック「LUMIX DMC-GX1」(以下GX1)と組みあわせて撮影を行なった。GX1と組み合わせた姿は実に落ち着いたものとなる。鏡筒はつや消しブラックの樹脂製だが、マニュアルフォーカス用のピントリングのローレットパターンも幅広かつシンプルなデザインでどことなくクラシカルだ。単焦点レンズなのでズーミングによる鏡筒の繰り出しもなく、また沈胴式でもないので撮影時においてもその姿が変化することもない。実にスマートだ。
GX1と組み合わせたサイズ感はバランスがよく、さっと手にしてパッとシャッターを切ることができる。新開発のリニアAFモーターによるAF駆動は素早く静かだ。また幅広のピントリングによるMFも適度なトルクとピッチで合わせやすい。開放F値が2.8と明るいのもAF/MF共にフォーカス速度と精度の向上に寄与していると思われる。スナップ撮影において非常に使い勝手のよいレンズだ。
開放F値2.8という明るさはスナップ撮影の幅を広げてくれる。室内や夕方など光量が少ない場合でもISO感度をむやみに上げることなくシャッター速度をかせぐことができるので手ブレ抑制となる。さらにその恩恵は被写界深度のコントロールの点においても大きく享受することができる。フォーサーズサイズの撮像素子を採用しているカメラは35mm判の撮像素子を採用しているカメラよりアウトフォーカス部がぼけにくいのだが、F2.8という明るいF値ならば、多くのマイクロフォーサーズ用標準ズームレンズより被写界深度も浅く設定することができる。もっともフルサイズ機においてF2.8で撮影したものに比べるとぼけ方は少なくなるが、スナップ撮影を念頭にした撮影ではマイクロフォーサーズ機をF2.8にて撮影したくらいの方がぼけ方が自然で好印象となることが多いのだ。
さて肝心の画質についてだが、開放値での撮影においてはピントの合った箇所は非常にシャープとなりアウトフォーカス部においても各収差が非常に少ない優れた描写となる。ぼけ味も自然で非常に好印象だ。ここから1段、2段と絞ると画面全体の描写が向上して全体に均一化していく。印象としてはすこし柔らかめな描写だが解像感は十分にある。
ここで不思議なのが開放値で撮影した画像と絞り込んだF値で撮影した画像とで描写にムラがないことだ。一般に開放F値が明るいレンズでは開放F値で撮影した画像と絞り込んだF値で撮影した画像には描写に差が出やすいのだが、このレンズではその差をあまり感じない。全体的に安定した描写という印象だ。使用するカメラの特性によって描写に違いが現れることも予想されるが、レンズが持つ素性は実に安定しているものだと言えるだろう。
実はこのレンズは、「DP2 Merrill」に搭載されているレンズと同じ開発思想で作られたものだという。DP2 Merrillは同社の開発したFoveon X3センサーを搭載したものであり、その高い解像力を引き出せるようにレンズ設計がなされているそうだ。そのレンズをミラーレス一眼カメラでも使用できるように開発したものが30mm F2.8 EX DNということになる。シグマのこのレンズに対する力の入れ具合を感じられるエピソードだ。
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- 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
DMC-GX1 / SIGMA 30mm F2.8 EX DN / 約6.7MB / 3,448×4,592 / 1/20秒 / F2.8 / 0.0EV / ISO1600 / WB:オート / 30mm |
2012/3/13 00:00