NEX-5N / 18-200mm F3.5-6.3 Di III VC / 約3.8MB / 3,264×4,912 / 1/320秒 / F8 / 0.0EV / ISO100 / WB:太陽光 / 18mm |
18-200mm F3.5-6.3 Di III VC(Model B011)は、タムロン初となるソニーEマウント専用の高倍率ズームレンズ。35mm判換算で27-300mm相当の幅広い画角をカバーする万能レンズだ。今回はNEX-5Nに装着して使用した。
レンズの全長は102mmで最大径は68mm、重量は460g。350mlのアルミ缶と同等の直径で、長さは少し短いくらいと考えてもらえればイメージし易いはずだ。純正のE 18-200mm F3.5-6.3 OSSと比べると軽量化され少しスリムな印象を受ける。同等のスペックを持つ高倍率ズームレンズのなかでも、かなりコンパクトな部類に入るだろう。
NEX-5Nに装着。発売は12月15日。価格は8万4,000円 |
レンズ構成は、LD(異常低分散)レンズ2枚、ガラスモールド非球面レンズ3枚、XR(高屈折率)レンズ1枚、複合非球面レンズ1枚の13群17枚で構成されており、ズームレンズの大敵である色収差などを良好に補正しているという。最短撮影距離は、ズーム全域で0.5mと近接撮影にも強く、最大撮影倍率は1:3.7倍となっている。
外装には金属を採用。高級感があり、NEX-5Nとの相性は抜群だ。カラーもブラックとシルバーが用意してある。また、高倍率ズームレンズといえば、鏡筒がやや弱いイメージがあるが、本レンズは鏡筒の造りがよくガタツキなどはまったくない。そのためか、レンズの自重で勝手にレンズが伸びることもなかった。一応、ロック機構が備わっているが、筆者は使わなかった。
NEX-5Nとの組み合わせは、カメラが小さいためレンズに重心がくる。他の多くのNEX用レンズと同じだ。しかし、レンズを中心にホールドすることで、手が疲れることなく撮影しやすい。レンズを望遠側にセットすると、全長は約2倍になるが、もともと重心はレンズにあるためバランスを崩すことなく快適に撮影できる。ズームリングはやや重めのトルクを感じる滑らかな動作感。フォーカスリングもスムーズな動きで、適度なトルクを持つため、マニュアルフォーカスも気持ちよく行なえる。
AFはステッピングモーターを採用。使用してみると、いかに静粛性に優れているかわかる。どれほど静かかというと、室内でやっと駆動音に気づくくらいだ。野外などで撮影する場合はまず気になることはないだろう。AF速度も予想外に高速で、ストレスなく撮影できた。また、DMF(ダイレクトマニュアルフォーカス)に対応しており、ピント合わせの後にピントの微調整が行なえる。
なおこのレンズの装着時にNEXボディのAFモードをC-AF(コンティニュアスAF)にすると、ライブビューの画角が小刻みに変動し続ける現象が起こる。シーンセレクションの「スポーツ」も同様で、特に広角端での動きが大きい。コントラストAFを採用したミラーレス用レンズ特有の現象だが、特にこのレンズは目立つようだ。撮影画像に問題はないものの、広角端はS-AF(シングルAF)で使用した方が良いだろう。実際、C-AFを使うようなシーンは望遠側が多いことから、それほど撮影時に困ることはなかった。
タムロン独自の手ブレ補正ユニットVC(Vibration Compensation)も搭載しており、シャッタースピード換算で約4段分の補正が可能だ。撮影時からファインダー内は安定しており、特に近接撮影時や望遠撮影時には効果は絶大。安定した視野でしっかり構図を決めて撮影に臨むことができる。この優秀な手ブレ補正ユニットとNEX-5Nの高感度を合わせて使用すれば、長秒露光などの撮影を行なわない限り、三脚無しで朝から晩まで手持ち撮影ができそうだ。
画質に関しては、ズーム全域で非常にコントラストが高くシャープな描写が期待できる。絞り開放から極めてシャープなため、今までの高倍率ズームレンズのイメージは払拭されるに違いない。細かい部分を見ていくと広角端ではレンズ周辺の流れが確認できるが画像を等倍で見ない限り気にはならないだろう。望遠域の描写は一際シャープで被写体のディテールまで見事に描写しているのがわかる。ボケも単焦点レンズには及ばないが、高倍率ズームレンズの中では柔らかでクセが少ない印象だ。
今回、旅を想定して動物や街スナップ、小物、花、料理などを撮影したところ、改めて高倍率ズームレンズの便利さを感じた。開放F値が暗いといっても、一般的なキットレンズとさほど変わりない上、NEX-5NであればISO1600や3200などの高感度と組み合わせることで十分なシャッタースピードを得られる。そこにシステム全体のコンパクトさとレンズの描写力が加わり、とにかく使い易いレンズという印象だ。NEX-5Nとの組み合わせであれば、普通のバッグに入れて持ち歩ける。旅に限らず、日常的に持って歩きたくなる組み合わせといえるだろう。
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
- 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
NEX-5N / 18-200mm F3.5-6.3 Di III VC / 約3.7MB / 4,912×3,264 / 1/40秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO200 / WB:日陰 / 49mm |
2012/1/11 12:00