トキナー「AT-X 16-28mm PRO FX」

交換レンズ実写ギャラリー
Reported by上田晃司

D700 / AT-X 16-28mm PRO FX / 約5.1MB / 4,256×2,832 / 1/2,000秒 / F3.5 / +0.3EV / ISO200 / WB:晴天 / 28mm


D700に装着。発売は8月6日。価格は12万3,900円

 35mm判のイメージセンサーに対応した超広角ズームレンズ。8月6日に発売済みのニコン用に加え、9月中旬にはキヤノン用が登場する予定だ。今回はニコン用をD700で試用した。

 焦点距離は16-28mm。同じくズーム全域でF2.8の明るさを実現しているニコン純正の「AF-S NIKKOR 14-24mm F2.8 G ED」と比べると、望遠寄りにシフトしており、キヤノン純正の「EF 16-35mm F2.8 L II USM」に対しては、ズーム倍率が1.75倍と控えめなのがわかる。28mmからの標準ズームレンズにつなげやすいところは魅力だ。

 最短撮影距離は28cm。最大撮影倍率は1:5.26となっている。マクロレンズほどは寄れないが、作例のように花に止まっている蝶やグラスなどをある程度大きく撮影できる。

 また、AF駆動用のモーターには、静寂性の高いDCモーターの採用に加え、モーターと減速ギアを一体化して密封状態にした、新開発の「SD-M」(Silent Drive-Module)を採用。さらに静寂性を高めているという。超音波モーターよりは若干力強い音がするが、静かな室内で撮影してもほとんど気にならないレベルだと感じた。

 さらにAF制御センサーには、「GMRセンサー」(高精度磁気センサー)を搭載しており、通常AFセンサーとして使われる回転検出センサーに比べ、より高いフォーカス制御とAFスピードの向上を実現したという。確かにAF時にストレスを感じることは無く、AFスピードも速い。動いてる昆虫や花など、細かい場所へのピント合わせも思い通りに行なえた。ピント精度も高い。

 AFとMFの切り替えには、ワンタッチフォーカスクラッチ機構を採用。残念ながらフルタイムMFには対応していないが、フォーカスリングを前後させることでAFとMFを自由に変更できる。一見手間が掛かるように見えるかもしれないが、慣れてしまえば、フルタイムMFとあまり変わらない操作感になる。また、フォーカスリングはやや重めで適度なトルクがあり、非常に操作しやすい印象。微妙なピント位置の調整も快適に行える。

 レンズ本体の堅牢性もポイントだろう。フォーカス部を二重構造にしたほか、レンズマウント部分にはゴムのシーリングを施したことで、防塵防滴に配慮してあるという。本体のサイズは、最大径90mm、全長133.3mmとなっており、重さは950g。さすがにずっしりと重い。D700に装着しても重心はややレンズ側にある印象だ。

 ただし、インナーフォーカスを採用しているので、ズーム時やフォーカス時に大きくバランスが変わることは無い。なお前玉が大きく前に出ているため、PLフィルターなどは装着できない。

 画質に関しては、周辺まで非常に解像力がありシャープな印象。高コントラストで抜けも良い。また、超広角ズームレンズで頻繁に確認できるレンズ周辺の流れや色のにじみなどもほとんど見られないなど、完成度の高さがうかがえる。

 絞り開放でも、ピントの合っている部分には芯がありシャープで、ボケの部分は滑らかで美しい印象。絞り開放でも広角レンズとは思えないほど大きなボケを楽しむことができる。周辺減光は、絞り開放ではやや目立つが、F5.6くらいまで絞ればかなり改善される。

 ズーム全域でF2.8通しの超広角ズームは、基本的に高額な部類のレンズに入る。しかしこのレンズは価格が抑えられており、画質も純正に引けをとらないほど優秀。重量は若干重めだが、非常にコストパフォーマンスに優れた1本といえるだろう。

 超広角ズームでF2.8という明るさがあれば、風景撮影やスナップはもちろん、室内や暗めの場所でも手持ち撮影が可能になるなど、撮影の幅がぐっと広くなる。純正レンズの購入を躊躇していたユーザには、オススメの1本といって良い。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、別ウィンドウで800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。


D700 / AT-X 16-28mm PRO FX / 約5.8MB / 4,256×2,832 / 1/640秒 / F8 / +0.3EV / ISO200 / WB:晴天 / 16mmD700 / AT-X 16-28mm PRO FX / 約6.0MB / 2,832×4,256 / 1/1,250秒 / F8 / -0.3EV / ISO200 / WB:晴天 / 16mm
D700 / AT-X 16-28mm PRO FX / 約3.5MB / 4,256×2,832 / 1/1,600秒 / F3.2 / -0.3EV / ISO200 / WB:晴天 / 28mmD700 / AT-X 16-28mm PRO FX / 約5.7MB / 4,256×2,832 / 1/400秒 / F8 / +0.3EV / ISO200 / WB:晴天 / 16mm
D700 / AT-X 16-28mm PRO FX / 約4.6MB / 2,832×4,256 / 1/1,250秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 28mmD700 / AT-X 16-28mm PRO FX / 約3.0MB / 2,832×4,256 / 1/1,600秒 / F2.8 / -0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 22mm
D700 / AT-X 16-28mm PRO FX / 約2.8MB / 2,832×4,256 / 1/2,000秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 28mmD700 / AT-X 16-28mm PRO FX / 約2.8MB / 4,256×2,832 / 1/1,250秒 / F2.8 / +0.7EV / ISO200 / WB:晴天 / 28mm
D700 / AT-X 16-28mm PRO FX / 約4.6MB / 4,256×2,832 / 1/640秒 / F9 / -0.3EV / ISO200 / WB:晴天 / 16mmD700 / AT-X 16-28mm PRO FX / 約4.2MB / 4,256×2,832 / 1/400秒 / F9 / -0.7EV / ISO200 / WB:晴天 / 16mm
D700 / AT-X 16-28mm PRO FX / 約3.8MB / 2,832×4,256 / 1/100秒 / F2.8 / +0.3EV / ISO250 / WB:晴天 / 28mmD700 / AT-X 16-28mm PRO FX / 約3.7MB / 4,256×2,832 / 1/50秒 / F2.8 / +0.7EV / ISO250 / WB:晴天 / 28mm
D700 / AT-X 16-28mm PRO FX / 約5.3MB / 2,832×4,256 / 1/100秒 / F2.8 / -0.3EV / ISO400 / WB:晴天 / 16mmD700 / AT-X 16-28mm PRO FX / 約4.3MB / 2,832×4,256 / 1/60秒 / F2.8 / -1EV / ISO400 / WB:晴天 / 16mm
D700 / AT-X 16-28mm PRO FX / 約5.4MB / 2,832×4,256 / 1/5秒 / F8 / +1EV / ISO200 / WB:晴天 / 28mmD700 / AT-X 16-28mm PRO FX / 約3.9MB / 2,832×4,256 / 1/200秒 / F2.8 / +2.0EV / ISO400 / WB:晴天 / 28mm


D700 / AT-X 16-28mm PRO FX / 約4.9MB / 2,832×4,256 / 1/13秒 / F8 / +1.3EV / ISO200 / WB:晴天 / 17mm







(うえだこうじ)1982年広島県呉市生まれ。米国サンフランシスコに留学し、写真と映像の勉強しながらテレビ番組、CM、ショートフィルムなどを制作。帰国後、写真家塙真一氏のアシスタントを経て、フリーランスのフォトグラファーとして活動開始。人物を中心に撮影し、ライフワークとして世界中の街や風景を撮影している。現在は、カメラ誌やWebに寄稿している。
ブログ:http://www.koji-ueda.com/

2010/8/30 00:00