吉村永の「ホントに使える動画グッズを探せ!」

15品目:スタンド+クランプの便利でお得なセット

Manfrotto「1314B 背景紙サポートシステム」

どこでも「スタジオ」にしてしまえるのが背景紙サポートシステム。この写真のような屋外使用は極端な例だが、ちょっとした会議室などもすぐに撮影場所にしてしまえる便利さがある

この連載では“スチルカメラ愛好家”に向けて、動画畑出身のカメラマン 吉村永がレンズ交換式デジタルカメラで動画を撮る際に便利なグッズを見つけて紹介していく。時にプロ向けの高価な機材から、馴染みのないメーカーの製品まで積極的に試して紹介できたらと思う。

今回紹介するのは、タイトル通り背景紙を使うためのサポートセット。スタンド類では定番といえるManfrottoの製品だ。

Manfrotto「1314B 背景紙サポートシステム」

役立ち度:★★★★★
コスパ:★★★★
マニアック度:★★

優秀なスタンドとクランプのセット

まず、「背景紙なんて使う機会はあまりないよ」というユーザーも一旦聞いてほしい。背景紙を使わなくても、照明用のライトスタンドを使うことはないだろうか?

最近はライトスタンドといえばAmazonなどで数千円で手に入るものが多くなり、性能差は特にないだろうと安価な製品を求めてしまいがちだ。だが、実際に安価な製品を使うとネジ部分が緩くなってしまったり、連結部分の樹脂がちょっとしたショックで割れてしまったり……、と意外に壊れやすいものが多いことに気付かされる。

このスタンドの分野ではManfrottoがプロからも信頼を得ており、実際に僕も長年愛用して耐久性の高さもよく知っている。

その中で近年のスタンダードとなっているモデルが「1052BAC」だ。格納時86cm、伸長時237cmと使いやすいサイズ感に加え、型番でもわかる通りにエアクッションを搭載している。これは伸ばしたポール(3段式)を縮める時、空気抵抗の力でゆっくりと縮むようにしたもの。重い照明器具を載せた場合、ポールを押さえる手の力が緩いままに固定ネジを緩めると、照明部分の重みで勢いよくポールが下がってしまい、その衝撃でガラスのバルブが割れてしまう、といった事故を高い確率で防いでくれる。このスタンドは実勢価格で1万2,000円前後だ。

このスタンドは複数をしまうときに積み重ねると写真のように連結でき、とても片付けやすい。先端はオスダボの海外仕様。日本仕様のものはメスダボになっているが、これは日本のいくつかの照明メーカーだけに対応するものなので、現代のスタンドはこの海外仕様の方がコンパクトで便利だ

今回の背景紙サポートシステムは、このスタンド2本のセットに物干し竿のような3段伸縮式の「272B テレスコピックポール」(実勢価格1万1,600円前後)を組み合わせたもの。

さらにバック紙や布を押さえておく用途で「275 ミニスプリングクランプ」(実勢価格2,120円前後)も2個ついてくる。このクランプは通常、紙を押さえるのに使われるエレンクリップに、スタンドに取り付けられるような仕掛けが施されたもの。これがレフ板をスタンドに取り付けたりする時にとても便利に使えるのだ。

スタンドとクランプで、レフ板のサポートシステムがすぐに組める。少人数での撮影時にはレフ板をどうするのか問題になりがちだが、この組み合わせで解決できる場合も多い

さて、最初の話に戻るのだが背景紙を使わない人でも優秀なスタンドとクランプのセットならば出番が多いと思う。スタンド2本とクランプ2個を買うだけで2万9,000円前後。テレスコピックポールを入れれば4万円オーバーだ。さらにこれらを全部収納できる長ものバッグがついて実勢価格3万5,000円前後となれば、セットで買うのがお得ではないだろうか?

もちろん、背景紙サポートシステムとしても優秀で、他社の主な類似製品に比べて圧倒的に軽量。

実はこのセット、最近1万円ほどの値上げがあり、それまではスタンド2本とクリップ1個を買うよりも安価なセットだった。今ではそこまでのバーゲンプライスではなくなってしまったのは残念だが、それでもお勧めしたいセットなのだ。

これらの全部が収納できる長ものバッグがセットに。セット全体が軽量なので持ち運びがとても楽だ
吉村永

東京生まれ。高校生の頃から映像制作に目覚め、テレビ番組制作会社と雑誌編集を経て現在、動画と写真のフリーランスに。ミュージックビデオクリップの撮影から雑誌、新聞などの取材、芸能誌でのタレント、アーティストなどの撮影を中心とする人物写真メインのカメラマン。2017年~2020年カメラグランプリ外部選考委員。