写真展レポート

夜だけ開かれる写真展「Red Bull Illume」日本初開催

エクストリームスポーツの一瞬に込められた物語

(c) Suguru Saito / Red Bull Content Pool

東京・赤坂サカスで夜だけ開かれる写真展「Red Bull Illume(レッドブル・イリューム)」が開催中だ。高層ビルに囲まれた静かな空間に、ライトアップされた60のイメージが並ぶ。ギャラリーとはまた違う幻想的な写真体験がそこには待ち受けている。会期は4月27日(金)まで。

3年に一度の国際写真コンテスト

展示された写真はレッドブルが主催する国際写真コンテスト「Red Bull Image Quest 2016」の入賞作55点と、今年初めて行なった「ナショナル・モバイル・コンテスト」の最優秀賞5点だ。テーマはアクション&アドベンチャースポーツ。緻密に計算された構図に目を奪われた後、一瞬を止めることで見えてくるストーリーが次々と湧き上がってくる。

2007年、初めての写真展が米国のロッキー山中に位置する街、アスペンで開かれて以来、3年に一度、世界各国で催されてきた。今年はオーストラリアで15ヵ所の展示ツアーを実施すると同時に、日本で初開催されることになった。

「Red Bull Image Quest 2016」の応募総数は世界120ヵ国のフォトグラファー5,645人による3万4,624点に上る。

2016年の頂点を極めたのがロレンツ・ホルダー氏。彼は2013年にも総合優勝を果たしており、今回、「ナショナル・モバイル・コンテスト」の審査員も担当した。

グランプリは沖縄在住のアマチュアカメラマン

4月18日、同会場で開かれたオープニングナイトでは、「ナショナル・モバイル・コンテスト」のファイナリスト4名(Jason Halayko氏は2点受賞)が招かれた。この夜、その5点から最高位となるグランプリ1点がロレンツ・ホルダー氏から発表。

選ばれたTakehito Takahashi氏には公式スポンサーであるヨドバシカメラから10万円分の商品券などが贈られた。

ロレンズ・ホルダー氏から賞を受け取るTakehito Takahashi氏。
Takehito Takahashi氏と作品。(c)Suguru Saito / Red Bull Content Pool

Takehito Takahashi氏は「shizuku_collections」の名前でインスタグラムに写真を発表する沖縄在住のアマチュアカメラマンだ。写真歴はまだ1年にも満たない。

BMXを中心にエクストリームスポーツを撮影するフォトグラファーの才王氏と出会い、その影響で写真を撮り始めたという。才王氏の撮影する姿を間近で見ることで、「カメラのさわり方とかを学びました」とTakahashi氏は話す。

当初、このコンテストに応募する気持ちはなかったそうだが、沖縄で初めて開かれたBMXの大会を見ていた時、不意に思いついたそうだ。

「BMXの第一人者である小田拓さんが、沖縄の子どもたちに本物のBMX競技を見せたいと開催したイベントでした」そんな彼の想いをこの1枚に込めた。

展示作品をはじめ、過去の入賞作品はレッドブルイリュームの公式サイトで見ることができる。そこにはそれぞれの写真が持つ撮影のエピソードも綴られている。スマホでそんなストーリーを読みながら、神秘的な光の世界を楽しむのも一興だろう。

Red Bull Illume(レッドブル・イリューム)

会場

赤坂サカス
東京都港区赤坂5-3

開催期間

4月19日(木)〜4月27日(金)

開催時間

18時〜22時

休館

無休

入場料

無料

市井康延

(いちいやすのぶ)1963年、東京生まれ。ここ数年で、新しいギャラリーが随分と増えてきた。若手写真家の自主ギャラリー、アート志向の画廊系ギャラリーなど、そのカラーもさまざまだ。必見の写真展を見落とさないように、東京フォト散歩でギャラリー情報の確認を。写真展の開催情報もお気軽にお寄せください。