写真展

東京写真月間2014
いのちの伝承−日本の世界自然遺産をめぐる いとなみ
堀江重郎「神々からの伝言」

(オリンパスギャラリー東京)

© 堀江 重郎

樹齢数千年の屋久杉が息づく屋久島は「奇跡の島」とも呼ばれています。

亜熱帯から亜寒帯まで日本列島の自然が凝縮された島は、世界屈指の降雨量と気候によって、多彩な植生と生命の多様性があります。森に一歩足を踏み入れると、600種類以上の苔が地表を覆い尽くし、圧倒的な緑の世界は神秘的で人々に癒しと感動を与えます。

また、森の象徴として威厳を放つ、樹齢数千年の屋久杉は圧巻です。

まさに「神の領域」と称されるのもうなずけるはずです。しかし、花崗岩の島ゆえ、多量の雨で土も流され、もともと養分が乏しい土地は、植物にとって過酷な環境にあります。

植物の種子は落ちる所を選べません。落ちた所が運命の場所として命が生まれるのです。そして成長するごとに樹冠は光を求め、根は絡まり、のたうちまわり、共生もあれば戦いもある。このような生命が交差する森は屋久島ならではの光景です。

それから、ただ立ち尽くすだけの木々は、冬の豪雪や夏の台風など、自然界の力によって命を絶たれたものがあります。

それと、藩政の時代から人の手にかかって倒された屋久杉。だが、その死は無駄にはならず、今度は再生に必要な土壌に変わり、世代交代して命を育む場所となっています。

森では厳しい環境の中、自然界の脅威と向き合いながら、命ある限り懸命に生き続けようとする植物や動物の姿があります。

森で生を受け、また森に帰るという循環を繰り返し、神々が与えた試練と自然の営みがある島、それが屋久島なのです。

(写真展情報より)

  • オリンパスギャラリー東京
  • ・住所:東京都千代田区神田小川町1-3-1 NBF小川町ビル1F
  • ・会期:2014年5月29日木曜日~2014年6月4日水曜日
  • ・時間:10時~18時(最終日15時まで)
  • ・休館:日曜日・祝日
  • ・入場:無料

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