蜂谷直子写真展「ハーモニカ長屋 -消えゆく炭鉱住宅-」(ニコンサロンbis新宿)


筑豊最大の炭都として栄えた“田川”。そこに、炭鉱で働く人々の暮らしを守ってきた炭鉱住宅、通称「ハーモニカ長屋」があった。

2006年から11年まで、作者は数度にわたってこの地を訪れ、その姿をフィルムに収めた。

その平地を流れる彦山川は、かつて「ぜんざい川」と呼ばれていた。石炭粉で黒く汚れたこの川の水は、飲用はもちろん農業用としても使えず、流域で暮らす人々はたいへん苦しめられたという。

松原炭鉱住宅は、1936年~48年に三井鉱山が建築したスレート屋根、吹き抜け天井の四軒長屋で、ひとつの家族のようにつながり、肩寄せ合って、働く男たちを支えた。

2010年6月7日、松原炭鉱住宅のハーモニカ長屋の解体が開始された。地元の人々が保存を切に願いながらも、消えゆく昭和の風景。この場所に刻まれた、人と人のつながり、家族の支え、助け合って生きてきた人々の暮らしが消えようとしていた。

この地に残されているものは、受け継がれてゆくべき“人の想い”。

ハーモニカ長屋には、炭鉱(ヤマ)の歴史とそこに生きた“炭鉱(ヤマ)の人たちへの想い”が刻まれていた。カラー40点。

(写真展情報より引用)

  • 名称:蜂谷直子写真展「ハーモニカ長屋 -消えゆく炭鉱住宅-」
  • 会場:ニコンサロンbis新宿
  • 住所:東京都新宿区西新宿1-6-1新宿エルタワー28階
  • 会期:2012年8月28日〜2012年9月3日
  • 時間:10時30分〜18時30分(最終日は15時まで)
  • 休館:会期中無休

(本誌:鈴木誠)

2012/8/10 15:45