鶴巻育子写真展「Brighton - a little different」(オリンパスギャラリー東京)


(c)鶴巻育子

ブライトンは、ロンドンから電車で1時間のドーバー海峡に面したリゾート地。アートやゲイカルチャーが盛んで、何より、映画「さらば青春の光」の舞台になった場所でモッズの聖地として知られている街です。私は1997年の1年間をそこで暮らしていました。そのころは、自分自身若かったせいか、何もかも新鮮でカッコ良く見えて、「楽しい街」といったシンプルな言葉でしか感じていなかった気がします。
15年が経ち、昨年、写真を撮る目的でこの場所を訪れました。確かに海は気持ちよく、モッズカルチャーの匂いもどことなく感じ、美しい街であることは変わりない。ですが、何かおかしい。そういえば、海岸沿いにもかかわらず潮の香りがしません。リゾート地らしいゆったりとした時間の流れと一緒に忙しなく落ち着きのない雑然とした時間が混ざり合っていて、サブカルチャーやゲイカルチャーに溢れ明るい部分を見せつつも切なくて寂し気な空気等に違和感を感じるわけです。ロンドンからさほど遠くもないのに、洗練された印象よりも、どこか滑稽で垢抜けない街並みや人々。
ある日、現地の友人宅に食事を招待されたとき、日本から持ってきた梅酒をお土産に持っていきました。そこで、その中の一人が梅酒を口にしたあと「different」って言ったのです。不味くないけど美味しいとは言えない。そのとき、私は「これ!」って思いました。ブライトンって、「different」なんです。ステレオタイプなブライトンのイメージではない、平凡でちょっと可笑しい、"so Brighton"(ブライトンっぽい)日々を感じていただけたらと思います。
※タイトルの "different" とは、ここでは「違った」と言う意味ではなく、「独特の・変わった」と言った意味。

出展作品数:約40点
(写真展情報より引用)

  • 名称:鶴巻育子写真展「Brighton - a little different」
  • 会場:オリンパスプラザ東京
  • 住所:東京都千代田区神田小川町1-3-1 NBF小川町ビル
  • 会期:2012年6月14日〜2012年6月20日
  • 時間:10時〜18時(最終日は15時まで)
  • 休館:日曜・祝日



(本誌:鈴木誠)

2012/5/31 00:00