キヤノン、タイのインクジェットプリンター工場が一時操業停止


 キヤノン株式会社は14日、タイでインクジェットプリンターを生産しているCanon Hi-Tech (Thailand) Ltd.(キヤノンハイテクタイランド)の2工場が、洪水の影響で6日15時から操業を停止していることを明らかにした。

 操業を停止しているのはアユタヤ県のハイテク工業団地にあるハイテク工場と、同じくアユタヤ県のロジャナ工業団地にあるロジャナ工場。

 ハイテク工場では、インクジェット複合機およびインクジェットプリンターを生産している。13日現在で工場自体は浸水していないものの、周囲を大量の水で囲まれている状態だという。

 一方のロジャナ工場は、プリンター用紙を主に生産している。こちらは11日の段階で、腰の高さまで浸水しているという。現在は退避命令のため工場を見に行けず、その後の状況はわかっていないという。

 「現在、被害状況の把握と対策の検討を行なっている。現地では今も雨が降るなどしていて、復旧の時期はわからない」(広報部)。

 今後の対策として、10月から操業に入るCanon Hi-Tech (Thailand) Ltd.の第2工場(ナコンラチャシマ県)やベトナム・ハノイにあるCanon Vietnam Co., Ltd.のプリンター工場に一時的に生産を移管する事も検討している。ナコンラチャシマ県の新工場は、生産準備などを経て11月ごろから量産を開始する見込みという。

 市場への影響については、「影響が出ないように対策をとっていきたい」(広報部)とした。

 なおインクジェットプリンターのうち、高級機は福島キヤノン(福島県福島市)で生産を行なっている。福島キヤノンは東日本大震災で生産設備などが被災したが、現在は全面復旧している。

 今回の洪水では、デジタル一眼レフカメラや交換レンズを生産するニコンの工場(ロジャナ工業団地)やレンズ交換式デジタルカメラ、交換レンズ、コンパクトデジタルカメラを生産するソニーの工場(ハイテク工業団地)も操業を停止している。

 JETRO(独立行政法人 日本貿易振興機構)によれば、ロジャナ工業団地に入居する全218社のうち日系企業は147社。またハイテク工業団地は、入居する全143社のうち日系企業が7割を占めている。




(本誌:武石修)

2011/10/14 15:29