オリンパス、ペンシリーズ好調も減収に。営業利益は5割増


ペンシリーズの1つ「E-P1」(2009年7月発売)

 オリンパスは10日、2010年3月期第3四半期の連結業績(累計)を発表した。

 売上高は6,519億3,700万円(前年同期比13.6%減、以下同)、営業利益は450億4,600万円(50.4%増)、純利益は436億8,500万円(前年同期は276億7,200万円の赤字)だった。世界的な景気低迷や円高により減収だったが、原価低減や一般管理費の削減などで増益となった。なお純利益には、2009年8月に米ベックマン・グループに譲渡した分析機事業の売却益463億円が含まれる。

 デジタルカメラを含む映像事業は売上高1,359億7,200万円(27.9%減)、営業利益35億7,500万円(3.2%減)。マイクロフォーサーズシステム規格に準拠したレンズ交換式デジタルカメラ「ペン」シリーズが内外で好調だったが、円高に加えて景気低迷に伴う販売台数減および単価下落で減収となった。営業利益は経費削減により前年並を確保した。

 デジタルカメラの売上は1,239億7,700万円(28.2%減)で、全分野に占める割合は19%だった。通期では1,640億円(20%減)、同18.2%を見込む。

 医療事業の売上高は2,557億4,900万円(11.8%減)、営業利益は562億8,000万円(3.7%増)。処置具製品や中国市場における医療用内視鏡などの売上が拡大したが、円高の影響で減収となった。

 ライフサイエンス事業の売上高は583億7,900万円(33.7%減)、営業利益は24億6,000万円(4%減)。中国市場向けの生物顕微鏡が好調だったが、世界規模での設備投資抑制を受けたことに加えて分析機の譲渡により減収となった。

 情報通信事業の売上高は1,345億8,300万円(22.2%増)、営業利益は32億2,300万円(前年同期は3億8,300万円の赤字)。企業買収などによる携帯電話端末の販売網拡大により増収となった。

 その他事業の売上高は672億5,400億円(13.3%減)、営業損失は20億1,200万円(前年同期は95億2,700万円の赤字)。非破壊検査機器分野のフェイズドアレイ探傷器の新製品が堅調に推移したほか、人工骨補填材の売上が拡大したが世界的な設備投資の抑制を受けて減収となった。

 通期の予想は、2009年11月6日発表の予想に対して売上高を200億円減の9,000億円(8.2%減)とした。営業利益は前回予想を据え置いた590億円(70.6%増)。純利益は60億円増の460億円(前年同期は1,148億1,000万円の赤字)をそれぞれ見込む。売上高については、映像事業において単価下落の進行を織り込んだ。一方利益面では営業外損益の改善により純利益を上方修正した。




(本誌:武石修)

2010/2/10 20:18