本橋成一写真展「屠場<とば>」(大阪ニコンサロン)



大阪・松原の新旧屠場で働く人々を約30年にわたって記録したものである。

人が自らの手で牛を殺す。それは作者が初めて見る光景であった。

屠場で牛と向い合う彼ら作業員の姿には威厳があった。それは、いのちを奪うものとして長い差別の中で彼らを支えてきた職人としての誇りではないか。その誇りを保ち続けてきた源は、日々のいのちとの関わりではないだろうか。

いつから私たちはいのちが見えなくなったのだろうか。

本来いのちあるものは己のいのちを保つために、いのちがけで他のいのちを食(は)む。そうして生と死を日常的なこととして付き合ってきた。しかし、いま日本をはじめ、食にあふれた国々では、食する生きものたちを屠るために機械や電気を使い、自らの手で殺さなくなった。便利になり、合理化され、きれいになったことにより、その生と死がいつの間にかベールに包まれたように見えなくなってしまったようだ。モノクロ約50点

(写真展情報より)

  • 名称:本橋成一写真展「屠場<とば>」
  • 会場:大阪ニコンサロン
  • 住所:大阪府大阪市北区梅田2-2-2ヒルトンプラザウエスト・オフィスタワー13階
  • 会期:2012年8月9日〜2012年8月22日
  • 時間:10時30分〜18時30分(最終日は15時まで)
  • 休館:8月18日、8月19日

(本誌:折本幸治)

2012/7/25 17:13