由良環写真展「TOPOPHILIA CITIES -After sunrise・Before sunset-」(銀座ニコンサロン)


作品は、作者が決めた多くの基準(*)をもとに、世界の10の都市で撮影を行ったものである。
基準を設けた理由は、「都市」に共通した規則性や普遍性、あるいは偶然性といったものを写真表現の中で呼び覚まし、再認識させることが目的であった。
1都市に1カ月滞在し、その期間中朝夕1度ずつの撮影のほか、日中は次の撮影地の下見を行った。撮影地の下見を含め、作者は黙々と街を歩き、ある都市では自転車に乗り、またある都市ではバスや地下鉄を利用してその都市の全体像を、感覚的に把握することに、ひたすら時間と労力を費やした。すべての五感を研ぎ澄ませ、その都市の音や匂い、空気や味覚といったものを敏感に捉えながら、1カ月間生活した。
それは、多くの基準を前提にしつつも、臨場感にあふれ、気持ちの高揚や感覚的なものが伝わる写真を撮りたい、という強い欲求からであった。
出来上がった10都市の写真から匂い立つ空気は、そこに立った者にしか感じることのできないその都市の世界観であり、ひとつの都市が「ぎゅっ」と凝縮された姿であった。
 本作品は、「都市とは…」という問いに対する、作者の解釈といえる作品である。
*「多くの基準」:撮影時期は春か秋。各都市の、都市を取り巻く環状線(環状道路、環状鉄道、城壁等)を基準に、そこから中心に向かって撮影をする。各都市およそ25地点(25日間)の撮影を行う。撮影は日の出1時間後と日の入り1時間前の、正確な時刻に行う。カメラの高さは160センチと一定で、地面に水平に保つ。使用機材、フィルム、レンズの絞り値等、すべて同一で撮影する。モノクロ30組(約60点)
(写真展情報より引用)

  • 名称:由良環写真展「TOPOPHILIA CITIES -After sunrise・Before sunset-」
  • 会場:銀座ニコンサロン
  • 住所:東京都中央区銀座7-10-1 STRATA GINZA(ストラータ ギンザ)1階・2階「ニコンプラザ銀座内」
  • 会期:2012年7月18日〜2012年7月31日
  • 時間:10時30分〜18時30分(最終日は15時まで)
  • 休館:会期中無休

(本誌:鈴木誠)

2012/7/4 00:00