セリーン・ウー写真展「光、その揺らぎ」(ENTRE DEUX)



デジタルカメラの普及と共に、最新技法を駆使したイメージングをさまざまなシーンで目にするようになりました。

日進月歩のデジタル技術によって、写真の新たな表現領域が急速に拡大している事は、本当に素晴らしいことです。

ただここには、ひとつの落とし穴があります。デジタルの持つ利便性がアートの中で写真を決定的に優位にしてきた“表現における時間との関係”を根底から揺るがす可能性を秘めている点です。ある場所、ある時点で、シャッターを切ったという写真家と世界が出会った瞬間の存在に対する信憑性が危ういものになるとしたら、それは写真の定義そのものに関わってくるからです。

さて、今回の展覧会「光、その揺らぎ」はデジタルカメラで撮影されたデジタル・プリントです。オリジナルな表現に辿りつくために、写真表現の必然として作家はデジタルを選択し、その場に止まり、その瞬間、シャッターを切りました。そしてその世界観を深めるべく、伝統と最新技術を融合させる表現として、人間国宝の漉く和紙にイメージを定着させました。

現代の水墨画とも言える「Presence in between 〜はざま〜」には、決意のある表現だけが持ちえる静けさが確かな存在として刻まれています。

新たな写真表現は、"美の系譜"を支えてきた伝統素材を受け継ぐことでさらなる力を得るようです。

展示点数:27点

(写真展情報より)

 7月20日および7月24日に、セリーン・ウー氏とキュレーターの太田菜穂子氏によるギャラリートークが行なわれる。時間は各日とも14時30分〜15時、16時〜16時30分の2回。

  • 名称:セリーン・ウー写真展「光、その揺らぎ」
  • 会場:FINE PHOTO GALLERY ENTRE DEUX(アントル・ドゥ)
  • 住所:東京都文京区関口2-10-8(椿山荘/フォーシーズンズホテル椿山荘 東京 ロビー階)
  • 会期:2012年7月3日〜2012年7月30日
  • 時間:10時〜18時

(本誌:折本幸治)

2012/7/3 13:11