大西みつぐ写真展「近所論・臨海に曝す」(トーテムポールフォトギャラリー)


 1995年の東京都写真美術館総合開館記念展「写真都市TOKYO」に出品したスナップショットのシリーズ「NEWCOAST1987-1994」(カラー)以来、葛西や浦安といった臨海地域を自分のかけがえのない環境として飽くことなく撮ってきた。デジタルカメラの近接撮影、あるいはポラロイドフイルムによるセルフポートレイト、さらにはピンホール撮影など、まるで少年のような好奇心で遊んできたとも思える。そこでは自分の足もとを撮ることの意味や、光りのもとに露にするところの写真行為の至福をあらためて知ることになったのは確かだ。しかしあまりも楽観的であったことを、昨年3月11日の震災により知ることになった。それ以後の近隣環境のささいな変貌は、見えない存在としてそこに横たわり、ある予兆や不安をもたらしながら、こちらをも次第に巻き込みはじめたようだ。私たちは「ここ」にいることを問われている。そしてこの身体を、臨海にじっくり曝らせば曝すほどに、生きていく上での覚悟を強く意識せずにはいられなくなる。(写真展情報より)

  • 名称:大西みつぐ写真展「近所論・臨海に曝す」
  • 会場:トーテムポールフォトギャラリー
  • 住所:東京都新宿区四谷4-22 第2富士川ビル1F
  • 開催日:2012年5月8日~2012年5月20日
  • 時間:12時~19時
  • 休館:月曜




(本誌:武石修)

2012/4/24 00:00