NEC、Adobe RGBを100%カバーした液晶ディスプレイモジュールを開発

新型白色LEDバックライトを採用し、Adobe RGBカバー率100%を実現した液晶ディスプレイモジュール

 NEC液晶テクノロジーは29日、Adobe RGBの色域を100%カバーする液晶ディスプレイモジュールを開発したと発表した。今後は、超広色域の実現方法の一つとして実用化に向けた研究開発を重ねる。

 開発したのは、Adobe RGBカバー率100%(面積比108%)、NTSCカバー率97%(面積比103%)のアモルファスシリコンTFTカラー液晶ディスプレイモジュール。サイズは12.1型で、画素数は800×600ドット。駆動方式は、a-Si TFTアクティブマトリクス方式。画素配列はRGBの縦ストライプ。画素ピッチは0.3075×0.3075mm(横×縦)。輝度は570cd/平方m。電源電圧は3.3V。バックライトは交換可能。

 バックライトに新開発の白色LEDを採用したことに加え、新型白色LEDに最適化したカラーフィルタも新たに開発。これらの組み合わせにより広色域を実現した。採用した白色LEDは、近紫外線LEDチップの光をR、G、Bの蛍光体に照射して発光させ白色を得るタイプ。青色LEDチップの光を黄色の蛍光体に照射して白色を得る従来方式の白色LEDでは、赤や緑の波長成分が乏しく、現在の主流となっている冷陰極管バックライトに比べて演色性などが十分では無かった。また、従来型の白色LEDに広色域タイプのカラーフィルターを組み合わせても、赤や緑といった色域の再現に限界があり、Adobe RGBをカバーすることは難しかった。

 なお同社は2005年3月に、R、G、BそれぞれのLEDを組み合わせることでAdobe RGBの色域を再現したTFT液晶ディスプレイモジュール「NL160120BC27-10」(21.3型)を製品化している。



(本誌:武石修)

2009/5/29 18:17