岡嶋和幸の「あとで買う」
1,109点目:戦前日本の写真を牽引した写真家の作品集
『安井仲治作品集』
2024年5月13日 07:00
ネットショップのカートの中にある「あとで買う」には、様子見をしているなど気になるアイテムがたくさん入っています。この連載では、フォトライフに関連する製品を中心にその中身をお届けします。どのような物に興味を持ち、どのような視点で選んでいるのかなど、日々の物欲をお楽しみください。
『安井仲治作品集』
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愛知県美術館、兵庫県立美術館、東京ステーションギャラリーを巡回した『生誕120年 安井仲治 僕の大切な写真』は、20年ぶりの回顧展ということで鑑賞された読者も多いことでしょう。「安井仲治を知らずに日本の写真は語れない!」といわれるほどで、プロアマを問わず私の周りの人たちも大絶賛の展覧会でした。
私はというと、都内の仕事場から歩いて行けるのに、ケガや多忙のためチャンスを逃してしまいました。戦災を免れた貴重なビンテージプリントをこの目に焼き付けたかったのですが、この作品集のページをめくりながら、いつの日か見られることを期待したいと思います。販売価格は3,740円です。
戦前に亡くなられ、空襲で代表作のプリントやネガフィルムが失われてしまいましたが、土門拳や森山大道といった写真家たちが彼の仕事を評価したことで、現在のように広く知られる存在になったそうです。さまざまな技法を駆使した作品など、もちろんオリジナルプリントには敵いませんがいろいろ楽しめる1冊といえるでしょう。