岡嶋和幸の「あとで買う」

913点目:作品と言葉から写真の楽しみ方を探る本

マガジンハウス『ブルータス No. 995』

ネットショップのカートの中にある「あとで買う」には、様子見をしているなど気になるアイテムがたくさん入っています。この連載では、フォトライフに関連する製品を中心にその中身をお届けします。どのような物に興味を持ち、どのような視点で選んでいるのかなど、日々の物欲をお楽しみください。

マガジンハウス『ブルータス No. 995』

発売日にSNSなどで話題になっていたので、すでに読まれた方もいらっしゃると思います。私もひさしぶりに書店に足を運んで購入しました。販売価格は840円で、Kindle版もあります。これまでも『ブルータス』の写真関連の特集号はほとんど購入し、永久保存版として書棚に並んでいます。今でもたまに読み返したり、資料として活用したりしています。

表紙で俳優の仲野太賀さんが手にしているカメラは富士フイルムのGF670 Professional。アイルランドを一緒に旅するなど私も愛用していましたが、数年前に手放しました。2009年の発売時に25万円くらいで新品を購入しましたが、中古カメラ市場での現在の相場は30万円前後。フィルムカメラはどんどん高くなりますね。

今号の特集は「写真はもっと楽しい。」です。カメラはあまり登場しないのでもの足りなく感じる人もいるかもしれませんが、写真好きの人には十分に楽しめる1冊だと思います。仲野太賀さんの「光景を”肯定”して撮る」、上田義彦さんの「あっ、と思った衝動を逃さない」、小浪次郎さんの「カメラを介して交流する」など見応え、読み応えのある内容です。Book in Bookでは「ブルータスの写真幸福論」と題し、主にプリントについて語られています。

ブルータスとは関係ありませんが、写真をもっと楽しみたい人に向けた写真表現講座を12月に開講します。漫然と美しいだけの写真、ただ記録しただけの写真、承認欲求を満たすための写真を脱却し、写真表現とはなにかを探る内容になっています。定員6名の少人数制で、応募多数の場合は抽選となります。11月23日(木)まで申し込みいただけます。興味のある人はぜひウェブサイトをのぞいてみてください。よろしくお願いします。

1967年、福岡県生まれ。東京写真専門学校卒業。スタジオアシスタント、写真家助手を経てフリーランスとなる。作品発表のほか、セミナー講師やフォトコンテスト審査員など活動の範囲は多岐にわたる。写真集「風と土」(インプレス)など、著書多数。主な写真展に「ディングルの光と風」(富士フイルムフォトサロン)、「潮彩」(ペンタックスフォーラム)、「学校へ行こう! ミャンマー・インレー湖の子どもたち」(キヤノンギャラリー)、「九十九里」(エプソンイメージングギャラリー エプサイト)、「風と土」(ソニーイメージングギャラリー)、「海のほとり」(エプサイトギャラリー)などがある。