岡嶋和幸の「あとで買う」

658点目:著名写真家の肉声をデジタル保存したい

サンワダイレクト「400-MEDI043」

ネットショップのカートの中にある「あとで買う」には、様子見をしているなど気になるアイテムがたくさん入っています。この連載では、フォトライフに関連する製品を中心にその中身をお届けします。どのような物に興味を持ち、どのような視点で選んでいるのかなど、日々の物欲をお楽しみください。

サンワダイレクト「400-MEDI043」

最近は出番が減りましたが、以前は写真雑誌などで写真家のインタビュー記事をよく担当しました。インタビューしながら撮影するのですが、2000年くらいまでフィルムカメラ、2005年くらいまでカセットテープレコーダーを使っていました。取材は楽しいのですが、アナログ環境だとその後のフィルム現像やプリント、テープの文字起こしが大変です。近年はデジタルカメラで撮影、ICレコーダーやスマートフォンで録音するので、そのような取材もずいぶん楽になりました。録音した音声はデータファイルとして保存されるので、整理や管理の負担も少ないです。

コロナ渦で押し入れを整理していたら、インタビューなどを録音したカセットテープが大量に出てきました。それらを再生する機器はもう手元に残っていないので、中の音声を聞くことはできません。文字に起こしてあるとはいえ記事に必要な部分だけで、インタビュー前後の雑談や、話が脱線したときのやり取り、オフレコの会話などはありません。カセットテープには日付と、岩合光昭さん、海野和男さん、篠山紀信さん、長倉洋海さん、中村征夫さんといった著名な写真家の名前が書かれています。時間があるときにまた聞き返したいし、そのためにも劣化する前にデジタルデータ化が必要です。

この製品はカセットテープの音源をMP3ファイルに変換してUSBメモリーにデジタル保存できるプレーヤーです。カセットテープに録音したり、ラジオを聞いたりなどもちろん普通の“ラジカセ”としても使えます。販売価格は6,500円前後です。Windows用ですが、パソコンとケーブル接続してデジタル変換するもっとコンパクトかつシンプルな「400-MEDI002」という製品もあります。

お知らせ

今日と明日は「GR SNAP WEEKEND Vol.3」というイベントが開催されます。今夜は大和田良さんと私が担当する、RICOH GR作品の講評会のライブ配信があります。GRユーザーはもちろん、そうでない方もぜひご視聴ください。

1967年、福岡県生まれ。東京写真専門学校卒業。スタジオアシスタント、写真家助手を経てフリーランスとなる。作品発表のほか、セミナー講師やフォトコンテスト審査員など活動の範囲は多岐にわたる。写真集「風と土」(インプレス)など、著書多数。主な写真展に「ディングルの光と風」(富士フイルムフォトサロン)、「潮彩」(ペンタックスフォーラム)、「学校へ行こう! ミャンマー・インレー湖の子どもたち」(キヤノンギャラリー)、「九十九里」(エプソンイメージングギャラリー エプサイト)、「風と土」(ソニーイメージングギャラリー)、「海のほとり」(エプサイトギャラリー)などがある。