最新デジカメ19機種で16GBメディアをチェック

Reported by上田晃司

 デジタルカメラマガジン2009年8月号で掲載中の「主要15機種+サブカメラ4機種 CF SDHC買い替えのススメ」から、16GBメディアの計測データをピックアップした。また、計測を担当した上田晃司カメラマンのコメントも収録している(編集部)。


計測に使用した被写体(クリックすると無補正の撮影画像を表示します)

 各機種での計測方法は次の通り。基準コマ数まで連写し、連写が終了した瞬間からアクセスランプが消えるまでの時間をストップウォッチで計測。基準コマ数は、右の被写体を連写したときの連写可能コマ数のうち、最も少なかったコマ数を採用している。

 

 カメラはそれぞれ初期設定とし、JPEGの最高画質とRAWで計測。3回計測した平均値を掲載した。


 テストで用いた記録メディアは下記の製品。

・CF

SDCFX4-016G-J45(Extreme IV)SDCFX3-016G-J31A(Extreme III)TS16GCF300QCF12-16G
製品名発売元転送速度実勢価格
SDCFX4-016G-J45
(Extreme IV)
サンディスク45MB/秒39,300円前後
SDCFX3-016G-J31A
(Extreme III)
サンディスク30MB/秒2万2,800円前後
TS16GCF300トランセンド45MB/秒1万3,710円前後
QCF12-16GPQI Japan18MB/秒3,670円前後

 

・SDHCメモリーカード

SDSDX3-016G-J31(Extreme III)SDSDH-008G-J95(Ultra II)TS16GSDHC6Turbo SDHC Class6
製品名発売元スピードクラス実勢価格
SDSDX3-016G-J31
(Extreme III)
サンディスクClass69,500円前後
SDSDH-008G-J95
(Ultra II)
サンディスクClass47,900円前後
TS16GSDHC6トランセンドClass63,600円前後
Turbo SDHC Class6A-DATAClass62,980円前後

 

 いずれも容量は16GBで、それぞれ1. 性能に定評のあるサンディスクExtremeシリーズ、2. 所有者が多いと思われる旧Extremeシリーズ、3. 通販サイトでの売れ筋、4. 通販サイトでの最安値品というセレクトを行なった。

 

オリンパス

E-30

  • JPEG:連写コマ数17・1コマ当たりのファイルサイズ5.8MB
  • RAW:連写コマ数13・1コマ当たりのファイルサイズ11.2MB

E-620

  • JPEG:連写コマ数6・1コマ当たりのファイルサイズ5.1MB
  • RAW:連写コマ数5・1コマ当たりのファイルサイズ11.8MB

E-P1

  • JPEG:連写コマ数15・1コマ当たりのファイルサイズ5.6MB
  • RAW:連写コマ数10・1コマ当たりのファイルサイズ12.3MB

 E-30とE-620はJPEG撮影時の記録速度に大きな差が見られないのが特徴。JPEG撮影の場合、上位3位のメディアはどれを使っても体感的に速度は変わらない。ただし、グラフから分かるようにRAWでの記録速度はメディアによって若干ばらつきがある。一番優秀だったのは、トランセンド。E-30とE-620の場合JPEGとRAW両方で、期待のサンディスク陣営を抜いて一位という結果には驚かされた。ただし、E-620でRAWを多用するユーザーは、バッファ量がE-30に比べて半分以下なので、いざというときのためにサンディスクにしておくと安心だろう。

 E-P1は、ほかの2機種と違いメディアの種類によって記録速度に大きな差があるが、「RAW」、「JPEG」に関わらずサンディスクのExtream IIIとの相性が抜群だ。

 

キヤノン

EOS 5D Mark II

  • JPEG:連写コマ数7・1コマ当たりのファイルサイズ6.2MB
  • RAW:連写コマ数11・1コマ当たりのファイルサイズ23.9MB

EOS 50D

  • JPEG:連写コマ数45・1コマ当たりのファイルサイズ5.8MB
  • RAW:連写コマ数15・1コマ当たりのファイルサイズ20.6MB

EOS 40D

  • JPEG:連写コマ数56・1コマ当たりのファイルサイズ3.7MB
  • RAW:連写コマ数17・1コマ当たりのファイルサイズ12.5MB

EOS Kiss X3

  • JPEG:連写コマ数18・1コマ当たりのファイルサイズ2.5MB
  • RAW:連写コマ数8・1コマ当たりのファイルサイズ19.1MB

EOS Kiss X2

  • JPEG:連写コマ数18・1コマ当たりのファイルサイズ3.6MB
  • RAW:連写コマ数6・1コマ当たりのファイルサイズ14.4MB

 機種ごとに相性のよいメディアがあるように感じた。まず、EOS 5D Mark IIは、上位3位のメディアはどれも安定してしておりJPEGでの書き込み速度の差はほとんどない。ただし、RAWでの書き込み速度は若干の差がある。トランセンドとExtreme IVはほとんど差はないが、2,000万画素を超えるファイルを断続的に書き込むならばExtreme IVが安心だろう。

 EOS 50DとEOS 40Dは書き込み速度に大きな差があるのがグラフからわかる。EOS 50Dならば上位3位のメディアならばストレスはほとんど感じないが、EOS 40Dの場合はRAW、JPEGに関わらず全体的に書き込み時間が長いので、最も高速なExtreme IVの効果が高い。

 EOS Kiss X3とEOS Kiss X2は画素数の少ない分、若干EOS Kiss X2の方が速い。しかし傾向はほとんど同じだ。ただしRAWでの書き込み時間が長いので、RAWを使う場合はExtremeIIIが賢明な選択だろう。

 

シグマ

・DP2

  • JPEG:連写コマ数4・1コマ当たりのファイルサイズ2.7MB
  • RAW:連写コマ数3・1コマ当たりのファイルサイズ14.1MB

 DP2は連続撮影コマ数が少ないため、上位3位のメディアの場合、JPEGでの書き込み速度の差は僅差。書き込み速度も若干遅めなので、連写した場合はストレスを感じるかもしれない。RAWもJPEG同様、サンディスクのExtreme IIIが最も速い。バッファが少ないこともあり、JPEG、RAW、連写する・しないに関わらずExtreme IIIにしておくと安心だ。

 

ソニー

α900

  • JPEG:連写コマ数20・1コマ当たりのファイルサイズ6.5MB
  • RAW:連写コマ数13・1コマ当たりのファイルサイズ35.8MB

α380

  • JPEG:連写コマ数30・1コマ当たりのファイルサイズ4.9MB
  • RAW:連写コマ数7・1コマ当たりのファイルサイズ13.5MB

 α900は2,000万画素越えのカメラな上、連続撮影コマ数もJPEG・RAWともに多い。そのため、Extreme IVでもJPEGで5秒台後半、RAWで11秒台前半と、結構記録時間に時間が掛かっているのがわかる。Extreme IVに次いでトランセンドとも相性がいいようだ。Extreme IVに比べ若干遅く感じるが、想像以上に健闘している印象。

 また、α380はサンディスクの2製品がほかに比べはっきりと速い。連写をしないユーザーやJPEGをメインで使用するユーザーは、Ultra IIでも問題はないが、RAWで連写を多用する場合は、Extreme IIIを持っておくのもの手だ。α900とα230はメディアの種類が違うが、どちらもサンディスクのメディアとは特に相性が良いようだ。

 

ニコン

D700

  • JPEG:連写コマ数25・1コマ当たりのファイルサイズ4.8MB
  • RAW:連写コマ数17・1コマ当たりのファイルサイズ10.6MB

D300

  • JPEG:連写コマ数24・1コマ当たりのファイルサイズ5.9MB
  • RAW:連写コマ数17・1コマ当たりのファイルサイズ11.6MB

D90

  • JPEG:連写コマ数14・1コマ当たりのファイルサイズ5MB
  • RAW:連写コマ数9・1コマ当たりのファイルサイズ9.8MB

D5000

  • JPEG:連写コマ数14・1コマ当たりのファイルサイズ5.3MB
  • RAW:連写コマ数8・1コマ当たりのファイルサイズ10MB

 ニコンのカメラは、基本的にRAWよりもJPEGデータの記録に時間が掛かるようだ。また、機種に関わらず書き込み時間が長め。CFを使用するD700とD300は、上位3位のメディアの記録速度がRAW、JPEGのどちらも同じなのがわかる。Extreme IVとExtreme IIIの差もほとんどない。また、トランセンドもExtreme IVに続いて2位と安定した記録速度だ。連写するしないに関わらず上位3位のメディアであれば、どれを使っても問題なさそうだ。

 SDHCを使用するD90とD5000も書き込み時間はやや長め。記録速度はCFほどそろっていないが、サンディスクが優勢だ。ただし、D90のJPEG記録ではサンディスクの2枚より3秒近く速い。そのほかではExtreme IIIが優位に立つ。D5000も同じで、Extreme IIIが安定してトップとなっている。SDHCに関しては、Extreme IIIを導入する効果は抜群だ。

 

パナソニック

LUMIX DMC-GH1

  • JPEG:連写コマ数5・1コマ当たりのファイルサイズ5.4MB
  • RAW:連写コマ数4・1コマ当たりのファイルサイズ14MB

LUMIX DMC-G1

  • JPEG:連写コマ数10・1コマ当たりのファイルサイズ4.4MB
  • RAW:連写コマ数5・1コマ当たりのファイルサイズ13.9MB

 DMC-GH1、DMC-G1ともにExtreme IIIが好成績を収めている。JPEGのみで撮影する場合は、上位3位のメディアであればさほどストレスは感じなく撮影できるだろう。ただしRAWの場合は、書き込みに約10秒ほど掛かってしまう。連続撮影コマ数もDMC-GH1で4コマ、DMC-G1で5コマと少なめなので、すぐにバッファがフルになってしまうので、快適に撮影するには、できるだけ高速記録の可能メディアが必要だ。それを満たすのは、圧倒的な速さを誇り、パナソニックと相性のよいExtreme IIIだろう。

 

ペンタックス

K-7

  • JPEG:連写コマ数20・1コマ当たりのファイルサイズ10.8MB
  • RAW:連写コマ数13・1コマ当たりのファイルサイズ14.3MB

K20D

  • JPEG:連写コマ数16・1コマ当たりのファイルサイズ10MB
  • RAW:連写コマ数12・1コマ当たりのファイルサイズ14.5MB

 K7、K20ともメディアの種類によってはっきりと差が出た。2機種ともExtreme IIIと相性がよく好成績を収めている。特にK7は上位3位のメディアで、JPEG、RAWに関わらず記録時間はほぼ同じ。安定した書き込み時間が期待できる。K20はRAWよりもJPEGの記録速度が速め。JPEG、RAWに関わらずExtreme IIIであれば安心だ。

 

まとめ

 デジタルカメラの多画素化が進み、中には2,000万画素越えの機種も出てきており、画像1コマ当たりのデータ量も大きくなっている。記録メディアの値段も下がり、16GBの製品が手に届きやすくなった。とはいえ、市場には容量のメディアが多く存在し、容量が同じでも価格には大きな差ががあるのが現実だ。

 今回テストしたメディア4製品を見ても、価格は3,670円〜1万7,445円(CFの価格)と大きな差があることがわかる。実際に、価格もバラバラであれば検証結果からわかるように書き込み速度もバラバラであることががわかる。当初、高価で定評のあるサンディスク Extreme IVが圧倒的に速いかと思っていたが、実際に計測してみると、Extreme IVよりも価格の安いトランセンドの方が速い機種も意外と多くあった。また、約3倍の価格差となるExtreme IVとExtreme IIIで、記録速度に劇的な差がある機種と、ほぼ同等の機種があることも分かった。使用しているカメラに合わせてベストな1枚を見極めることが重要だ。

 ただし、あまりにも安いからといって、安価なメディアを選択してしまうと書き込みに30秒〜40秒近く掛かってしまうメディアもあるので注意が必要だ。書き込み待ちのせいで、シャッターチャンスを逃してしまうともったいない。今回の検証とは関係無いが、PCでの転送速度は価格に比例して高速になる傾向にあるようだ。これらの計測の結果を基に相性のいい16GBのメディアを見つけて快適な撮影ライフを楽しんでいただきたいと思う。


 デジタルカメラマガジン2009年8月号では、レンズ交換式デジタルカメラの主要15機種について、画質・機能・操作性などに関する徹底検証記事を掲載しています。また、本ページに載っていない8GBメディアでの計測データや、動画記録時の速度についても収録しています(編集部)。



(うえだこうじ)1982年広島県呉市生まれ。米国サンフランシスコに留学し、写真と映像の勉強しながらテレビ番組、CM、ショートフィルムなどを制作。帰国後、写真家塙真一氏のアシスタントを経て、フリーランスのフォトグラファーとして活動開始。人物を中心に撮影し、ライフワークとして世界中の街や風景を撮影している。現在は、カメラ誌やWebに寄稿している。
ブログ:http://www.koji-ueda.com/

2009/7/24 10:00