自分の色を表現する。私のColor PENcil
新しいものにはない、落ち着いた色に惹かれて〜泉大悟さん
時間が作り出した色合いが放つ魅力とは
2016年8月25日 07:00
スタイリッシュで小さくて、でも機能は本格的なミラーレスカメラ、「OLYMPUS PEN-F」。そのPEN-Fが持つ多彩な機能のうち、表現したい表現が撮影現場で得られる「カラープロファイルコントロール」「モノクロプロファイルコントロール」が人気を博しています。
この連載では、PEN-Fを使った現在話題の若手写真家による作品とともに、写真家になったきっかけや、写真への想いをインタビューしています。
今回登場するのは、重厚なモノクローム作品で知られる泉大悟さんです。モノクロームの世界で表現を追求する泉さんにとって、色(Color)とはなんでしょうか。(編集部)
写真・キャプション:泉大悟
イラスト:ナカムラエコ
現在、どのような写真関連の仕事をされていますか?
出版社や企業から依頼を受けて、取材の撮影に出かけることが多いです。普段は決して行くことができない場所や、専門的な知識を持った方々のお話が聞けたりするのでやりがいを感じます。
また私は作品の制作もしており、一年に一度個展を行っています。
写真を撮るようになったきっかけは?
ギャラリーで見たモノクロームのプリントに惹かれたことをきっかけに写真を始めました。
バライタ紙に焼かれた写真をじっと見つめていると、滲む灰色や黒色の部分に言い知れぬ心地よさを感じました。深い黒の先には宇宙が透けているかのようで、モノクロームのプリントは心を遠くに連れていく力があると感じました。
いつまでも見ていたくなる感覚をあたえてくれる写真を私も作りたいと思い、制作に取り組むようになりました。
影響を受けた写真家、写真集、メディアは?
私が師事していた写真家の渡部さとる。それ以外では、アンドレ・ケルテス、ヨゼフ・スデク、ブラッサイ、清家冨夫などのモノクローム作品に惹かれています。
また2015年にイギリスを訪れた際、美術館で目にした画家Vicken Parsonsの小さな作品にとても興味を持ちました。どの作品も一人静かにじっと眺めていたくなるものです。
その影響は自分の作品のどんなところに現れていますか?
好きな作品については、なぜ惹かれたのか、どこに惹かれたのかといったことを自問自答しているので、自然と物の見方や考え方に影響が出ていると思います。
また銀塩写真で作品を作っているのは、惹かれた作品のほぼすべてが銀塩写真だったからです。彼らと同じ技法を今も使うことができるのであれば、私も体験すべきだと単純に思ったのがきっかけでした。今は自宅から少し離れたところに暗室を作り、そこで制作をしています。
泉さんにとって写真の色(Color)とは?
私は強い色よりも落ち着いた色調を好みます。落ち着いた色調は様々なことをほのめかしてくれるように感じるからです。真新しいものにはない、時間の経過により生まれた色彩には独特の魅力があると思います。
以前読んだ寺田寅彦の随筆に、「婦人の人工的な色彩をした服も、半年戸外につるして雨ざらしにしたら少しは落ち着いたいい色調になるかもしれない」といったことが書かれていました。大正時代でも同じようなことを考えていたんだなと共感を覚えました。
PEN-Fのカラープロファイルコントロールについて。
デジタルカメラを使っていると、実際に見ているときよりも色がくっきりと出ているように思うことがあります。PEN-Fの「カラープロファイルコントロール」は撮影後のパソコンのモニター上ではなく、撮影をしているその場で調整を手早く行うことができるので大変便利でした。
泉さんにとって、写真を使って表現することとは一体?
私が惹かれる作品は、見ていると心が遠くにいくもの、ゆっくり見つめていることができるものです。見つめていると別のものに見えたり、何かを考えたり想像したりするものです。私もそうしたものを作りたいと思っています。静止画である写真はそれに向いていると思います。
今後取り組みたいシリーズやテーマは?
2010年頃から2つのシリーズの制作に取り組んでいます。どちらも銀塩のモノクローム写真です。漠然とですが、どちらも20年ほど続けることができれば何かが見えてくるのではないかと思っています。定期的に発表をしながらコツコツと取り組んでいくつもりです。
写真展の開催や写真集の発売など、告知があればぜひ!
2016年11月8日(火)〜13日(日)、銀座月光荘画室3で個展をします。詳しくはウェブサイトで告知いたしますので、よろしければぜひお越しください。
デジタルカメラマガジン2016年9月号では、泉大悟さんが編み出したOLYMPUS PEN-F「カラープロファイルコントロール」テクニックが掲載されています。あわせてごらんください。
協力:オリンパス株式会社