新製品レビュー

SIGMA dp0 Quattro(外観・機能編)

ウルトラワイドレンズを搭載したQuattro第4弾

SIGMA dp0 Quattroに、オプションの外付け光学ビューファインダー「VF-51」を装着

シグマ「dp Quattro」シリーズは、独自の「Foveon X3ダイレクトセンサー」を搭載し、クリアーな発色と精密な細部描写を実現したレンズ一体型のデジタルカメラだ。その最新作として「SIGMA dp0 Quattro」が登場した。

注目は、レンズ一体型では希少な21mm相当のウルトラワイドレンズを備えること。同シリーズはこれまでに、28mm相当のdp1 Quattroと、45mm相当のdp2 Quattro、75mm相当のdp3 Quattroの3製品を発売しているが、今回の21mm相当はもっとも画角が広く、もっともマニアックなスペックといっていい。

発売は7月10日。価格はオープンプライスで、実勢価格は税込11万円前後。今回のレビューでは、その外観と機能、アクセサリーを取り上げよう。

レンズ部が大型化して迫力が増したボディ

実機を見てまず驚くのは、個性的な外観デザインだ。横長で板状の本体をベースにして、その端に円柱形のレンズを装備。無駄を削ぎ落とした骨組みのみのような形状であり、斜め後ろに突き出たグリップ部のシルエットラインは特にユニークだ。

画角91度、最短撮影距離18cmのウルトラワイドレンズを搭載。レンズキャップは着脱式。58mm径のフィルターが装着できる
ボディは、高品位なマグネシウム合金製。背面ボタンのレイアウトおよび操作性はこれまでの製品を継承する

このボディの基本フォルムは、これまでのdp Quattroシリーズから継承したもの。そのうえで、レンズ部がいっそう長くなり、デザインの個性と迫力がさらに際立っている。

上から見ると、レンズの長さがいっそう目立つ。ホールドバランスは意外と悪くなく、レンズ部を左手で包むようにして構えると安定する
底面には三脚穴やバッテリースロットを装備。外装は、精悍さを感じるツヤ消しの黒で、鏡胴部のみ光沢仕上げとなる

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ボディサイズは、幅161.4mm×高さ67mm×奥行き126mm。幅と高さはこれまでの3台と同じだが、レンズの全長が伸びた分、奥行きが増している。重量もアップし、シリーズ中で最も重い500g(電池、カードを除く)となる。

レンズには、本モデル用に新開発した焦点距離14mmの超広角レンズを搭載。35mm換算の焦点距離は約21mm相当で、開放値はF4。FLDガラスとSLDガラスによって倍率色収差を補正し、非球面レンズによってディストーションを1%以下に抑えているという。

鏡胴部には幅の広いフォーカスリングを装備。細かい溝が掘られた部分だけでなく、その先の光沢部分も回転する
側面の端子カバー内には、SDカードスロットおよびUSB/レリーズ専用端子を備える。カバーの開閉は相変わらず固い

LCDビューファインダーLVF-01を試す

電源ボタンを押すと、約2秒強で起動し、液晶モニターが表示される。液晶には、これまでと同じく約92万ドットの3型TFTを採用。表示の精細感はまずまずで、視野角は十分なレベルだ。

3型で約92万ドットのTFTを装備。グリッドやヒストグラム、電子水準器の表示に対応する

明るい屋外では視認性が低下するが、そんなときはオプションの「LCDビューファインダーLVF-01」が役に立つ。液晶のまわりを覆うことで外光をカットしつつ、内蔵のルーペによって液晶表示を2.5倍に拡大して見られるアクセサリーだ。付属ブラケットを三脚穴にセットしたうえで、横からスライドするようにして装着する。

LVF-01を装着した状態。携帯性はやや悪くなるが、屋外での視認性とホールド性は確実に向上する
接眼部のリングを回すことで-2〜+1の視度補正ができる
金属製のアイピースキャップが付属する

他社のコンパクトデジカメやミラーレスカメラで使われる電子式のビューファインダーとは異なり、LVF-01は液晶表示を単純に拡大しているだけなので、表示の精細感には物足りなさが残る。その代わり、表示が非常に大きいことと、ファインダーに電源を使わないことはメリットだ。

内面反射はややあるが、遮光の効果は十分に高い。接眼部を額に押し当てて使うので、ホールドバランスが安定する効果もある。屋外での使用機会が多いユーザーなら、是非入手したいアイテムといっていい。なお、LVF-01が付属する「SIGMA dp0 Quattro LCDビューファインダーキット」(実勢価格税込12万円前後)としての発売もある。

そのほか、ホットシューに装着できるタイプの光学式のビューファインダー「VF-51」を使用したり、ホールド感を高めるためにベースグリップ「BG-11」を三脚穴に装着する、という選択肢もある。

倍率0.41倍のアルバダ式逆ガリレオファインダーを採用した光学式ビューファインダー「VF-51」。厳密な構図決定には向かないがフィルムカメラ感覚でスナップしたいときに役立つ
三脚穴に装着できるベースグリップ「BG-11」。剛性感のある金属素材で、綾目のローレットが刻まれている。重量は90g
標準付属する樹脂製のねじ込み式レンズフードを装着した状態。デザイン的な見栄えもアップする

機能と操作性はこれまでのシリーズを継承

AFは、既存モデルと同じくコントラスト検出方式を採用する。AFスピードはまずまずのレベル。動体や暗所以外なら、大きなストレスを感じることなくスムーズに合焦する。

測距点は、背面十字キーの下を押して9点から選択でき、測距点のサイズは3段階に変更できる

AFの作動範囲を制限する「AFリミットモード」や、AF作動中のライブビュー表示を停止する「速度優先AF」を利用することでAFスピードをさらに高めることも可能だ。

十字キーの上ボタンを押すと、AFからマニュアルフォーカスへと移行し、鏡胴部のリング回転によってピント調整がダイレクトに行える。その際、液晶モニターには距離目盛りのほかに、被写界深度の目安を表示。この仕様はこれまでと同じだが、焦点距離が短い超広角レンズなので、ピントを固定してパンフォーカスでスナップを撮る際には特に重宝する。

マニュアルフォーカス時の液晶表示。被写界深度の目安は緑色のバーで表示。たとえば絞りをF8に設定し、ピントを1mと無限遠の間にセットすれば、約1mから無限遠までが被写界深度内となる

撮影モードは、プログラムAEのほか、シャッター優先AE、絞り優先AE、マニュアルの4モードが用意。絞りやシャッター速度、露出補正は、天面にある2つの電子ダイヤルを回すことで、それぞれ1/3ステップ刻みで調整できる。

そのほかの機能としては、オートブラケット撮影やインターバルタイマー、トーンコントロール、アスペクト比の切り替え、白とび軽減、カメラ内RAW現像などに対応する。

撮像素子には、これまでと同じく垂直色分離方式のFoveon X3ダイレクトセンサーを搭載。センサーサイズはAPS-Cサイズ相当で、有効画素数は2,900万画素。画像処理エンジンにはTRUE IIIを備える。

記録メディアはSDXC/SDHC/SDカード。Eye-Fiカードも利用できる
電源はリチウムイオン充電池「BP-51」。撮影可能枚数は約200枚となる

使い込むほど楽しく感じる個性派カメラ

SIGMA dp0 Quattroは、21mm相当のワイドレンズ専用機という、最近ではほかにはない個性が際立った製品だ。何でも撮れるオールマイティなカメラとは対極に位置する存在であり、被写体を選ぶカメラといっていい。

少々大柄で斬新なデザインのボディに加え、広い範囲が写りすぎる超広角の単焦点レンズなので、使い始めの段階では取り回しに戸惑うこともあるだろう。だが、ひとたび慣れてしまえば、直感的にあやつれるようになり、撮ること自体が無性に面白くなる。今回の試用で感じた率直な感想だ。

趣味として撮影を楽しむ人の中でも、自分の写真にマンネリをおぼえ、近ごろ撮ることに飽きてきた。そんな人にもお勧めできる、超個性派の1台である。

永山昌克

広告スタジオを経て、1998年よりフリーランスのフォトグラファー。以後、主に雑誌やウェブ、広告の分野で活動。得意分野は都会のスナップ。写真展に「チャイニーズ・ウエスタン」(銀座ニコンサロン)、著書に「写真の構図&アングル練習帳」(ソーテック社刊)などがある。