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【新製品レビュー】RICOH LENS A16 24-85mm F3.5-5.5

Reported by 大浦タケシ

 「RICOH LENS A16 24-85mm F3.5-5.5」(以下A16)ユニットは、APS-Cサイズのイメージセンサーに光学3.5倍ズームレンズを搭載するGXR用カメラユニットである。レンズマウントユニット「GXR MOUNT A12」を含めるとユニットとして6番目の登場となる。APS-Cセンサーのカメラユニットはこれまで「GR LENS A12 50mm F2.5 MACRO」および「GR LENS A12 28mm F2.5」の2つがあるが、いずれも単焦点レンズなので、ズームレンズを搭載するA16の登場を待ち望んでいたGXRユーザーも少なくないことだろう。早速その実力を見てみることにしたい。

 本テキスト執筆時における大手量販店のA16の店頭価格は、GXRボディとのキットは7万4,200円前後、A16単体のみが5万9,100円前後となる。

独特のスタイリング

 A16のルックスは、他のカメラユニットと異なり、イメージセンサーなどの入るベース部に対し鏡筒が大きく、独特の形状といえるものだ。しかもレンズ先端側にいくほど鏡筒が細く絞り込まれていくようなシェイプではなく、どの位置でも同じ太さの円柱状であるため、より強くそのように感じられる。鏡筒にフォーカスリングやズームリングがないのも、このカメラユニットの佇まいを独特のものにしている。この印象はGXR本体に装着しても大きく変化することがなく、いわゆる押しの強いスタイルといってよい。

 さらにA16+GXRでは電源を入れ撮影できる状態にレンズが繰り出すと、そのことがさらに強調される。カメラ本体と鏡筒との見た目上のバランスは、正直にいえば決してよいようには思えないが、見かけとは裏腹にホールディングしたときの印象は概ね良好だ。むしろ、他のカメラユニットよりも質量があるため、風などの影響を受けづらく、カメラが不安定になることも少ないように思われる。

カメラユニットA16をベース側から見たところ。鏡筒がベース部上部より、はみ出していることが分かる。 電源を切った状態。当然のことながら、この状態がもっとも鏡筒が短い。
電源をONにし、ワイド端にセットした状態。レンズ先端が僅かに繰り出す。 同じくテレ端にズーミングした状態。かなり前玉が繰り出してくる。

“ローパスレス”を実感

 搭載するイメージセンサーは、カメラユニットとしては新採用となるAPS-Cサイズで有効1,620万画素のCMOSセンサーである。同じAPS-Cサイズのイメージセンサーを搭載するこれまでのA12シリーズ(GR LENS 50mm F2.5 MACRO、GR LENS 28mm F2.5、GXR MOUNT)が有効1,230万画素だったので、画素数としては余裕のあるものとなった。さらに特筆すべきところとしては、ローパスフィルターレスとしていることだろう。このところ、ローパスフィルターの効果を弱めたものや、ローパスフィルターを省略したものをしばしば見受けるようになってきたが、本モデルもその時流に乗ったものといえる。
 
 ローパスフィルターレスで期待できることといえば、いうまでもなく解像感の向上である。イメージセンサーが本来持つ鮮鋭度の高い描写が得られ、風景撮影では特に効果的である。ただし、解像感が向上するとレンズの描写特性もシビアに影響してくるようになるため、メーカーにとっては諸刃の剣でもある。実際、ローパスフィルターの効果を弱めたとするニコンのデジタル一眼レフカメラ「D800E」は35mmフルサイズ・3,630万画素の高画素モデルということもあり、推奨レンズを公表しているほどだ。

 A16がローパスフィルターレスとしたことは、イメージセンサーとレンズが一体であることから、互いに最適化を図ることが容易だったからだろう。そのことは撮影した画像を見ても容易に察しがつくもので、画面全体に渡りシャープネスが高く立体感のある描写が得られる。さらに、ローパスフィルターレスで発生しやすいモアレについては、今回の撮影では見受けられず、安心して使えるといってよいだろう。

オプションのレンズフード「LH-2」を装着した状態。アウターの鏡筒先端の飾りリングがないのは、筆者の失念。 自動開閉式レンズキャップ「LC-3」を装着したA16。レンズはワイド端の状態。

 感度はISO200からISO3200。拡張としてISO100相当のLOも搭載する。センサーサイズからいえば2世代ほど前のデジタル一眼レフのようなISOレンジで、ユーザーによっては物足りなく感じることもありそうだ。

 ノイズレベルについては、どちらかといえば多め。ただし、高感度で現れやすい色の変化やスジのようなものは見当たらず、またノイズ自体も粒が揃ったようなものであるので、撮影意図や被写体によってはさほど気にならないことだろう。感度を応用した機能としては、絞りとシャッタースピードを固定し、ISO感度をシフトさせるISOブラケットが新たに搭載されている。

 撮影部のその他のスペックとしては、シャッタースピードは最高1/3,200秒、画面アスペクト比は最大画素数となる3:2(4,928×3,264)のほか16:9(4,928×2,768)、4:3(4,352×3,264)、1:1(3,264×3.264)の選択を可能としている。

ベース感度はISO200。最高感度はISO3200となる。最高感度はあと2段ほど高いといいのだが……。 アスペクト比は最大有効画素数となる3:2のほか16:9、4:3、1:1から選べる。掲載した作例の一部は筆者の手違いのため4:3で撮影している。

レンズ操作リングを省略。逆光・ボケは好感触

 AFは、同じカメラユニットであるGR LENS 50mm F2.5 MARCOにとくらべると格段に速く、もう一方のGR LENS 28mm F2.5とくらべても遜色ないもので、ストレスを感じるようなことはない。

 ちなみに、前述したとおりA16はフォーカスリングが省略されている。そのため、マニュアルフォーカスはGXR側のボタン操作で行なうこととなるが、動きはまどろっこしく感じることも少なくなく、個人的にはリング操作でできたらと思うこともあった。これは同様にズーム操作にもいえることで、機構的に難しかったのかもしれないが、マニュアルでの操作なら、もっと速やかに、しかも思った位置に画角を決めることができるように思えた。

 ただ一方で、この割り切り方は潔さを感じる部分でもあり、鏡筒のシェイプとともにこのカメラユニットのアイディンティティともいえる。

鏡筒の後端、グリップ側は、カメラをホールドした指と干渉することがないように削られている。 カメラユニット底部の鏡筒の一部も、雲台やアクセサリーシューを装着した際、干渉しないように削られGXR本体と“ツライチ”となる。

 内蔵するレンズの実焦点距離は15.7〜55.5mmで、ズーム比は光学3.5倍となる。レンズ名では35mm判相当に換算した焦点距離で表されるが、時としてちょっと紛らわしいようにも感じられる。他のカメラユニットも同様であり、ユーザーの意見の分かれるところだ。

ズームミングは、ステップズームが可能。単焦点レンズを選ぶような感覚で画角を設定できる。

 前述した解像感以外のレンズの描写については、画面周辺部の色のにじみや像の流れといったものはよく抑えられており、絞りを開いたときに発生しやすい周辺減光も絞り込んだ画像と比較しないかぎり見極めにくいレベル。フレアやゴーストにも強く、極端に強い光源が画面のなかに入ってこない限りほとんど発生しない。

 ボケに関しては、テレ端の開放値がF5.5と暗いこともあって、被写体に寄らないとなかなか大きなものは得られにくいものの、それでも柔らかく、濁りのようなものは少ないようである。また、点光源のボケを見る限り、絞ってもボケは丸く、好感の持てる部分といえる。

 撮影していて残念に思えたのが、手ブレ補正機構が省かれていること。コストアップやカメラユニットが大きくなるのを嫌ってのことのように思えるが、搭載されていたらどれだけ心強かったことか……。今後に期待したいところだ。

GXR本体に内蔵されたストロボは、A16の装着によりケラレが生じるようになった。ストロボ発光が必要な場合は、外部ストロボGF-1を使用する。 A16の電源は他のカメラユニット同様GXRから供給される。センサーのサイズ等を考えると、ちょっと心もとないように見えるが、実際はフル充電で約400カットの撮影が可能(CIPA準拠)。

描写で納得のカメラユニット

 レンズの交換をイメージセンサーを含むカメラユニットごと行なうGXRのコンセプトに、発売開始当初、筆者は戸惑ったものである。しかしながらその拙い考えは見事に裏切られ、今や6種類のユニットをリリースし、多くのリコーファンから支持されている。今回チェックしたRICOH LENS A16 24-85mm F3.5-5.5も、見た目は特異な形状ながら優れた描写で、GXR人気の理由を実感するには十分すぎるものである。

 GXRボディとのキットは7万円を越し、カメラユニット単品なら6万円近いものであるが、デジタル一眼レフと同等かそれ以上の描写が得られることを考えると、ともに決して高くない買い物のように思える。

実写サンプル

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。

・画角

広角端 望遠端

・ISO感度
共通設定:4,928×3,264 / F8 / 0EV / 15.7mm

ノイズリダクション:オフ

ISO100(Lo) ISO200
ISO400 ISO800
ISO1600 ISO3200

ノイズリダクション:AUTO

ISO100(Lo) ISO200
ISO400 ISO800
ISO1600 ISO3200

ノイズリダクション:弱

ISO100(Lo) ISO200
ISO400 ISO800
ISO1600 ISO3200

ノイズリダクション:強

ISO100(Lo) ISO200
ISO400 ISO800
ISO1600 ISO3200

ノイズリダクション:MAX

ISO100(Lo) ISO200
ISO400 ISO800
ISO1600 ISO3200

・絞りによる変化
共通設定:4,928×3,264 / -0.4EV / ISO200 / 55.5mm

F5.5 F8
F11 F16
F22

・作例

GXR A16 / 約2.9MB / 4,352×3,264 / 1/250秒 / F7 / 0EV / ISO200 / 27.3mm GXR A16 / 約2.8MB / 3,264×4,352 / 1/200秒 / F7 / -0.3EV / ISO200 / 55.5mm
GXR A16 / 約3.0MB / 3,264×4,352 / 1/400秒 / F9.6 / 0EV / ISO200 / 31.8mm GXR A16 / 約3.0MB / 3,264×4,352 / 1/160秒 / F4.5 / -1EV / ISO200 / 21.8mm
GXR A16 / 約3.0MB / 4,352×3,264 / 1/250秒 / F9 / +0.3EV / ISO200 / 55.5mm GXR A16 / 約2.9MB / 4,352×3,264 / 1/400秒 / F10 / +0.3EV / ISO200 / 55.5mm
GXR A16 / 約3.0MB / 4,352×3,264 / 1/400秒 / F9.8 / -0.3EV / ISO200 / 50.2mm GXR A16 / 約4.9MB / 4,352×3,264 / 1/250秒 / F10 / +0.6EV / ISO200 / 55.5mm
GXR A16 / 約5.0MB / 4,352×3,264 / 1/160秒 / F6.8 / +0.3EV / ISO200 / 46.5mm GXR A16 / 約5.1MB / 4,352×3,264 / 1/250秒 / F7.8 / -0.6EV / ISO200 / 50.2mm





大浦タケシ
(おおうら・たけし)1965年宮崎県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、二輪雑誌編集部、デザイン企画会社を経てフリーに。コマーシャル撮影の現場でデジタルカメラに接した経験を活かし主に写真雑誌等の記事を執筆する。プライベートでは写真を見ることも好きでギャラリー巡りは大切な日課となっている。カメラグランプリ選考委員。

2012/4/13 00:00