メルセデス・ベンツのレンタカーで北海道を巡る!

有名撮影地が続々!写真家・萩原俊哉がたどり着いたのは……

“青い池”からオンネトーへ 撮る意欲を盛り上げる優雅でスムーズな走り

ヤナセがニッポンレンタカーと期間限定でコラボレートしている「ヤナセ プレミアムカー レンタル」。このサービスを利用して、写真家の萩原俊哉さんが北海道の大自然を写真に収める撮影旅行に出ました。後編では前回のメルセデス・ベンツGLA180からC180アバンギャルドに乗り換え、再び北海道の有名撮影スポットを巡ります。(編集部)

北海道の撮影旅にはこれまでも何度も訪れているが、今回はヤナセ協力のもと、同社がニッポンレンタカーとコラボで実施しているプレミアムカー レンタルを利用させてもらっている。

輸入車、それもメルセデス・ベンツに乗るということはステータスだと思う。撮影地に颯爽とメルセデス・ベンツを乗り付けて機材を取り出し優雅に撮影する――。レンタカーとは言え、テンションもおのずと上がってくる、というものだ。

「ヤナセ プレミアムカー レンタル」で借りられるメルセデス・ベンツは営業所によって異なるが、北海道で借りられるのは、GLA 180とC180アバンギャルドの2車種。地域によっては、CLA180シューティングブレークやE250アバンギャルドなども借りることができるのだという。

せっかくの機会なので、千歳空港営業所で借りたGLA 180を旭川空港前営業所で乗り捨て、今回はC180アバンギャルドを借りることにした。ニッポンレンタカーは道内のどの営業所でもワンウェイ・レンタル(乗り捨て)が可能なのだ。

旭川空港で対面したC180アバンギャルドは、セダンタイプのいかにもメルセデス・ベンツらしいフォルムだ。

そういえばセダンを運転するのは何十年ぶりだろうか。自動車免許を取ったばかりの頃に乗った車以来だから30年以上ぶりかもしれない。シフトをDレンジに入れてゆっくりアクセルを踏むと静かに走りだす。メーター周りも操作系もカーナビもメルセデス・ベンツそのもの。

コンパクトSUVからセダンに乗り換えても違和感なく運転できる。この時にはすでにぽつぽつと雨が降り始めていたが、渓流や滝は雨で岩肌が濡れるととても美しい情景となる。そこで白金温泉にある白髭の滝へと向かうことにした。

白髭の滝

白髭の滝は橋の上から俯瞰することになる。つまり撮影ポジションが限られている滝だ。しかし橋の上を行き来することで滝と対峙する角度を選ぶことはできる。

駐車スペース側に近い場所に一本の樹があり、新緑が美しい。そこで、滝と新緑を対比させるポジションを選んで撮影したものだ。

ニコンD810/AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR/42mm/絞り優先AE(F11、1/3秒、-0.3EV)/ISO 100/WB:太陽光(B1)/C-PLフィルター

美瑛から白髭の滝までの途中に「青い池」がある。数年前から有名になった場所で、人工堰堤に水が溜まり池となった場所だ。駐車場に車を止めて5分ほど歩くと池畔に到着する。以前訪ねたときよりも青い池らしい青い色合いだ。

しかしこの日は降雨となり、雨粒が水面をたたいている。ふつうに撮影しても青い池の神秘的な色を出すことは難しい。ならばどうするか。そのキーワードは「超スローシャッター」だ。

減光フィルターのND32を装着したうえで、水面の余分な反射を取り除くためのPLフィルターを重ねがけし、さらにF16とISO64を選択することで5秒という露光時間を得ている。水面のざわめきが消失することで乱反射を抑え、青い池の神秘的な色合いを表現している。

ニコンD810/AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR/42mm/絞り優先AE(F16、5秒、-0.3EV)/ISO 64/WB:太陽光(B1)/ND32、C-PLフィルター

青い池の撮影を終えて駐車場に戻ると、C180アバンギャルドがひときわ目立って見える。

トランクルームを開けて、背負っていたバッグと三脚を入れる。後部座席はトランクスルーにできるので、三脚を伸ばしたまま収納することが可能だ。

美瑛の丘

再び車に乗り込むと美瑛の丘へとハンドルを切った。前回述べたように、美瑛の丘では心に響いた場所に車を止めて撮影するというスタイルで撮影している。

後続車が近づいてきたらすぐによけて先行させる。被写体を見つけたら十分なスペースがあるか確認し、近くに駐車スペースがあればそこに止めるといった塩梅だ。いうまでもないことだが、畑の中には絶対立ち入らない、農作業用の道に入り込まないなど、マナーを守って撮影を楽しんでいただきたい。

畑のラインのリズム感だけを望遠レンズで切り取ったものだ。奥の畑にピントを合わせて開放絞りを選ぶことで、手前から奥のラインへと鑑賞者の視線を誘導させている。RAW現像時に周辺減光効果を加えて視線誘導効果をより強調しているのもポイントだ。

ニコンD810/AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II/140mm/絞り優先AE(F2.8、1/100秒、-0.7EV)/ISO 100/WB:太陽光(B1)

作業用の道路とシラカバ林の佇まいがなんともよい味わいだ。背景にちらりと見える丘もよい雰囲気。だが、輝度差が強すぎてハイライトとシャドウがほどよく再現できない。そこでHDR撮影を行っている。

ニコンD810/AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR/42mm/絞り優先AE(F11、1/3秒、-1.0EV)/ISO 100/WB:太陽光(B1)/HDR(2EV、弱め)

この場所はお気に入りの1つ。左右からの丘の重なりを考慮しながらシンプルに切り取っている。

ニコンD810/AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II/140mm/絞り優先AE(F11、1/5秒、-0.7EV)/ISO 100/WB:太陽光(B1)/C-PLフィルター

日差しを和らげるためのものだろうか? 人工的なものだが、そのリズム感がなんとも美しく感じられてレンズを向けたもの。中景のライン、背景の並木との調和が心地よい。

ニコンD810/AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II/140mm/絞り優先AE(F11、1/4秒、-0.3EV)/ISO 100/WB:太陽光(B1)/C-PLフィルター

ジェットコースターの道の駐車スペースで一息ついているとき、湧き立つ霧に気がつき撮影したものだ。手前の畑のラインと遠景に見える牧場のサイロとの位置関係を考慮して構図を追い込んでいる。

ニコンD810/AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II/140mm/絞り優先AE(F11、1/6秒、-0.3EV)/ISO 100/WB:太陽光(B1)/C-PLフィルター

周囲もだいぶ暗くなり、宿泊先へと向かう。旭川での宿泊は、少しグレードが高めのホテル。エントランスにメルセデス・ベンツを乗り付けると、なかなかさまになる。ちょっとリッチな気分に浸れるのもまんざらではない。だが、そこは北海道取材。翌朝は早めにホテルを出ることにした。

エントランスで待機しているC180アバンギャルドのドアを開けるとステップの「Mercedes-Benz」の文字が誇らしげに出迎えてくれる。シートに体を預けてシートベルトを締めると、きゅっとシートベルトが締まってロックしていることを車が確認するのも心地よい。

あたかもクルマがドライバーに対して意思表示をしているかのように思え、愛おしく感じるのだ。メルセデス・ベンツのオーナーは、きっとその次もメルセデス・ベンツに乗り続けるのであろう。

層雲峡

旭川を出て東へと車を走らせる。今日の目的地はオンネトーだ。カーナビに道中を案内させながら道央自動車道へ向かう。

ところでこのカーナビ、手元のダイヤル操作で拡大と縮小を自在に替えることができる。ジャンクションの位置やルートの全容、交差点での右左折のタイミングなどの把握がしやすい。

道央自動車道から旭川紋別自動車道に入り上川層雲峡ICで降りて大雪国道に入る。ここから先はしばらく山道だ。左右にハンドルを切るドライバーの意思に対して、C180アバンギャルドが的確に応えてくれる。カーブを曲がるときの安定感があり乗り心地も上々だ。

層雲峡に差し掛かったころ、霧が湧き立ち岩にまとわりついているのが見えた。そういえばこの先に流星・銀河の滝があったことを思いだし、少しだけ立ち寄ることにした。

流星・銀河の滝駐車場に車を止めてしばらく撮影していたところ、雲間から光が差し込み滝だけに光が当たる瞬間があった。なんとも幸運だ。滝を高速シャッター速度で止めようと考えていたところで、開放絞りを選択していたが、適度な周辺減光効果と相まって印象的に表現することができた。

ニコンD810/AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR/42mm/絞り優先AE(F2.8、1/160秒、-1.0EV)/ISO 100/WB:太陽光(B1)/C-PLフィルター

双瀑台に登れば双方の滝を望むことができるのだが、あくまでも目的地はオンネトー。このカットを撮ることができたこともあり、後ろ髪をひかれつつも層雲峡を後にした。

大雪湖から国道273号線に入り、上川国道を南下する。しばらく走行すると三国峠に差し掛かる。北海道の国道で最も標高が高い1,139mほどの峠で、この日の最初の目的地でもある。この峠に架かる橋から見下ろす樹海は圧巻だ。

このあたりに差し掛かったころには雲の切れ目も多くなり、それほど強くはないものの陰影がよいアクセントとなっていた。そこで手前の新緑に光があたるタイミングを待ちながら撮影を行った。

ニコンD810/AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR/29mm/絞り優先AE(F8、1/60秒、-1.3EV)/ISO 100/WB:太陽光(B1)/C-PLフィルター

オンネトー

6月の北海道はまだまだ新緑の美しい季節。常緑樹と新緑の織りなす美しさは筆舌に尽くしがたいものがある。

三国峠の樹海の撮影もそこそこに、足寄を抜けていよいよオンネトーに到着。オンネトーといえば北海道三大秘湖に数えられる湖で、見る角度や季節によってさまざまな色合いに変化して見えることから五色沼とも呼ばれている湖だ。

背景の明るい空に対して手前の森はかなり暗い。そのため、このカットもHDR撮影で輝度差を埋めて撮影している。天気が良ければ、雌阿寒岳と阿寒富士を背景に従えた姿を撮影することができるのだが、この日はかろうじて阿寒富士だけを望むことができた。

ニコンD810/AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR/29mm/絞り優先AE(F11、1/50秒、-1.0EV)/ISO 100/WB:太陽光(B1)/HDR(2EV、弱め)/C-PLフィルター

この日は比較的風があり、湖面に時折さざなみがたつ。よくよく観察してみれば水面から突き出たトクサと絡めそうだ。そこで撮影したのが下のカットだ。さざなみとトクサをイメージよりに撮影したものだが、このような表現ではあまり欲張らずになるべくシンプルに画面を構成するほうがよい。

ニコンD810/AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II/160mm/絞り優先AE(F8、1/160秒)/ISO 100/WB:太陽光(B1)/C-PLフィルター

岸の先にある若いシラカバの並びと、ゆるやかに描く岸辺のカーブとの調和を美しく感じて撮影したもの。湖沼で遠近感を加えるには、手前から奥へと伸びる岸辺をうまく利用したい。

ニコンD810/AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR/34mm/絞り優先AE(F11、1/15秒、-0.3EV)/ISO 100/WB:太陽光(B1)/C-PLフィルター

湖面を渡る風は一様にさざなみとなるわけではなく、ところどころ模様を映しだす。そこで、湖面のさざなみをラインとして表現した。見当をつけて構図をつくっておき、風が渡ってくるタイミングを見計らってシャッターを切っている。

ニコンD810/AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR/34mm/絞り優先AE(F11、1/15秒、-0.3EV)/ISO 100/WB:太陽光(B1)/C-PLフィルター

展望デッキでオンネトーを望むと手前にトクサが水面から出ているのを見つけた。大きな風景として捉えず、さざなみとトクサのリズム感を抽出するように撮影したものだ。自然風景の中からこういうパターンを探し出すのも面白い。

ニコンD810/AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II/98mm/絞り優先AE(F11、1/10秒、+0.3EV)/ISO 100/WB:太陽光(B1)/C-PLフィルター

次の写真は同じトクサの群落と湖面、背景の森をそれぞれラインとして捉え、風景的に表現したもの。もちろん、このカットもさざなみのタイミングを見計らっている。雌阿寒岳と阿寒富士を背景にした定番カットだけでは面白くない。いろいろとアイデアを巡らせてバリエーションを探してみよう。

ニコンD810/AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR/46mm/絞り優先AE(F11、1/50秒、-0.7EV)/ISO 200/WB:太陽光(B1)/C-PLフィルター

いつもと違った気分で撮影旅行を!

オンネトーを後にして、阿寒横断道路へと向かい、双湖台と双瀑台へ行ってみたが、霧が濃く視界がほとんどない。かといって屈斜路湖や摩周湖まで行く時間もさすがにない。もうしばらく北海道を駆け巡りたいところだが、帰りの便を考慮するとこれでタイムリミットだ。

今回の北海道取材は、3日間だけとはいえメルセデス・ベンツのオーナー気分に浸れて、とても贅沢な満足度の高い時間を過ごすことができた。心なしか撮影に対するモチベーションも、いつもとは違うようにも思える。3日間とはいえ、心豊かな気持ちで被写体と対峙できたように思う。

そういえば、富良野から美瑛へ向かって走行しているときにカーラジオから流れてきた言葉が脳裏に浮かぶ――。

「クルマはつくらない。クルマのある人生をつくっている。」

ヤナセのラジオCMだ。せっかく北海道へ撮影旅行に行くのだから、レンタカーもプレミアムなクルマに乗り優雅な気分で撮影を楽しみたいという人にぜひお勧めしたい。

普段はフェリーで北海道に向かう機会が多いが、やはり飛行機とレンタカーで行く旅は、かかる時間的にも体力的にもずっと気が楽だ。北海道はこれからが最もよい季節となる。「ヤナセ プレミアムカー レンタル」を使って、いつもとは一味違う優雅で洒落た北海道撮影旅行を楽しんでみてはいかがだろうか。

今回は北海道の撮影旅行だったが、10月20日までの期間限定で実施している「ヤナセ プレミアムカー レンタル」では、東北や関東、九州、沖縄などにもサービスを提供している地域があるらしい。機会があれば、他の地域でもメルセデスで撮影の旅をしてみたい……という気持ちになった。

協力:株式会社ヤナセ

萩原俊哉

(はぎはらとしや)1964年山梨県甲府市生まれ。浅間山北麓の広大な風景に魅せられ、2008年に本格的に嬬恋村に移住。カメラグランプリ選考委員 ニコンカレッジ講師 日本風景写真家協会(JSPA)会員
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