ソニーサイバーショットDSC-RX100【第5回】

つかないはずのフィルターをつけてみる

Reported by 本誌:折本幸治


 前回に続き、サイバーショットDSC-RX100用のサードパーティアクセサリーを紹介してみたい。ブツは、Lensmateの「SONY DSC-RX100専用 フィルタークイックチェンジアダプター」。DSC-RX100のレンズ鏡筒先端に、レンズフィルターを装着可能にするアダプターだ。

 仕組みは単純で、鏡筒先端に両面テープでフィルター枠を貼付ける。そこにフィルターを装着するわけだ。


Lensmate「SONY DSC-RX100専用 フィルタークイックチェンジアダプター」を使用し、ケンコー・トキナーの「クローズアップレンズNo.3」を装着したところ。前回に続き、リチャードフラニエックのカスタムグリップも取り付けたままだ

 主な部品はホルダーレシーバーとフィルターホルダーの2つ。鏡筒先端に固定されるのはホルダーレシーバーで、フィルターホルダーとホルダーレシーバーの装着はバヨネット式となっている。フィルターホルダーは、49mm径と52mm径のどちらかを購入時に選択可能だ。

 鏡筒への取り付けは若干厄介だが、詳しい手順がオリエンタルホビーに掲載されている。それを参考にすればそれほど苦労はないだろう。

 あくまでも両面テープによる貼付けのため、ホルダーレシーバーを頻繁に付け外しすることは想定されていない。そこでバヨネット式のフィルターホルダーが威力を発揮する。フィルターホルダーに使いたいフィルターを装着しておき、必要に応じて素早くフィルターホルダーを装着。撮影が終わればフィルターホルダーを外しておく……という流れが基本的な使い方になる。


ホルダーレシーバーをDSC-RX100のレンズ鏡筒先端に貼付けたところ。手前のリングはフィルターホルダーホルダーレシーバーにフィルターホルダーを装着

電源をオンにしたところ

 この製品の存在を知ったとき、まずうれしかったのは「これでクローズアップレンズが使える!」ということ。

 というのも、DSC-RX100の最短撮影距離は5cmと短く、APS-Cサイズの撮像素子を採用するレンズ固定式機のライバル(DP1 MerrillやGXR 28mmユニットなど)よりも被写体に近づけるのが強みだ。

 ただしそれは広角端での話で、最短撮影距離は望遠側にズームさせるにつれて伸び、望遠端では約55cmも被写体から離す必要が出てくる。事実上、マクロは広角端のみというこの使用感は、一般的なコンパクトデジタルカメラでよくあるものだといえば、わかってもらえるだろうか。

 とりわけ筆者は旅行先などで食事を撮ることが多く、画角がほぼ広角端(28mm相当)に制限されることで、思ったような構図で撮れない点を残念に感じていた。もちろん、一眼レフカメラで難しいワイドマクロ撮影が簡単に行なえることは、本機ならではの魅力だろう。しかしレンズ交換ができない分、画角に制約が出るのは逆に不便を覚えるものだ。無い物ねだりなのはわかっているが……

 それをクローズアップレンズで解消しようというのが、今回このアクセサリーを購入した目的だ。

 用意したクローズアップレンズは、ケンコー・トキナーのMCクローズアップレンズ1〜3。ベーシックなクローズアップレンズとして知られており、フィルターサイズも40.5mmから82mmまでと選択肢が幅広い。


ケンコー・トキナーのクローズアップレンズNo.1、No.2、No.3。昔からおなじみの定番製品だ

クローズアップレンズNo.3を装着した状態

 さっそく使ってみたのが以下のサンプルだ。

 まずはiPhone 4Sのカメラ(何だかんだいって一番よく料理を撮影している)の画角に類似した、35mm相当での最短距離。


35mm相当 / クローズアップレンズなし35mm相当 / クローズアップレンズNo.1
35mm相当 / クローズアップレンズNo.235mm相当 / クローズアップレンズNo.3

 最後だけアングルを変えてしまったのは私のミス。それでも、少しずつ被写体に近寄れているのがわかると思う。クローズアップレンズなしの最初の写真と比べると、その差は大きい。

 次は50mm相当で。私にとってはリコーGXRのレンズユニット、GR LENS A12 50mm F2.5 MACRO(以下50mmユニット)でおなじみの画角だ。


50mm相当 / クローズアップレンズなし50mm相当 / クローズアップレンズNo.1
50mm相当 / クローズアップレンズNo.250mm相当 / クローズアップレンズNo.3

 さすがにGXRの50mmユニットほど撮影距離の自由度はないものの(50mmユニットの最大撮影倍率は1/2倍)、No.3ならそれなりに料理の好きな部位をクローズアップできることがわかった。それにしても、目の前にある被写体を遠近感を出さずに切り取れる感覚は、いままでのDSC-RX100にないもの。試していてちょっと興奮してしまった。

 結論としては、No.3をフィルターホルダーにはめっぱなしにしておき、料理を撮りたくなったらホルダーレシーバーに取り付ける方法が、私にとっては一番のようだ。

 また、フィルターがつけられるようになったことで、クローズアップレンズ以外にも色々と撮影の可能性が広がったのもうれしい。

 例えばNDフィルターがあれば、日中でも絞りを開けたままボケを意識した撮影ができる。これからの季節なら、紅葉写真をPLフィルターを使って撮ってみたい。

 鏡筒先端から突き出たホルダーレシーバーがちょっと格好悪いような気がするものの、今まで以上に強化されたDSC-RX100。これからも持ち歩き、使い込んでいきたい。






本誌:折本幸治

2012/10/23 00:00